今週の全米No.1アルバム事情 #72 - 2021/3/27付
緊急事態宣言も解除して良かったのかどうかやや不安な中、外は春爛漫、桜も満開で一気に暖かくなってしまって。ということで外で花見などやりたいところですが、皆さん、引き続き感染拡大予防にはおさおさ怠りないようにしましょうね。
さて、今週とうとうモーガン・ウォレンの『Dangerous: The Double Album』が、69,000ポイント(先週比11%減)実売4,000枚(先週比30%減)と、先週からのポイント減がやや大きくなってはきたものの、残念ながら今週もBillboard 200の1位をキープ、これで初登場から連続10週1位となってしまいました。これで初登場からの連続1位記録では、ドレイクの『Views』(2016年9週)も抜き去ってしまい、いよいよ歴代3位、前を行くのはスティーヴィー・ワンダーの『Songs In The Key Of Life』(1976-77年13週)とホイットニー・ヒューストンの『Whitney』(1987年11週)のみとなってしまったんです。
モーガンの問題発言にもかかわらず、このアルバムが聴かれ続け、買われ続けられることへの問題意識はもうここの記事で何度も触れているので繰り返しません。先週のグラミー効果でデュア・リパあたりが1位を取るかな、とも思いましたが残念ながら3位止まり。ただ、来週のBillboard 200ではどうやらようやくそのモーガンの独走に終止符を打ってくれるアルバムがチャートインしそうなので、楽しみにしましょう。
さて先週この作品が1位を奪取するかも、と予想してたんですが32,000ポイント(実売2,000枚)と思ったよりは地味な成績で、それでも5位に初登場してきたのは、昨年来話題のカリフォルニアはロングビーチ出身の新人R&Bシンガー、ギヴィオンのデビュー・アルバム『When It’s All Said And Done…Take Time』。ちょうど数年前にカリードが出てきた頃のことを思わせるような、独得の歌声を持った正当派のR&Bシンガーで、昨年2月にリリースされたドレイクのシングル「Chicago Freestyle」にフィーチャーされてその名を馳せ、シーンでも着実に注目を集めてました。デビュー・アルバム、といってもこのアルバム、実は昨年彼がリリースした2枚のEP『Take Time』と『When It’s All Said And Done』を束ねて、そこに新曲「All To Me」を加えたという、コンピレーション・アルバムになります。今流行ってるシングルはこの「Heartbreak Anniversary」で今週のHot 100で52位→30位と上昇中。ギヴィオンの歌い回しがサム・クックとかのクラシックな感じを彷彿とさせる素晴らしいバラードです。
このアルバム、最近ストリーミングでパワロテで聴いてるんですが、LP買おうと思ったらアマゾンで「えっ!」と目が飛び出るような高値で出ててビックリ。これ、いったいどういうことなんでしょうね。しばらくはストリーミングで我慢するしかなさそうだなあ。
そしてもう一つ、こちらもひょっとしたら、と言っていたメタルのボーカリスト、ロブ・ゾンビー。彼の5年ぶりの新作『The Lunar Injection Kool Aid Eclipse Conspiracy』(この人のアルバムタイトル、いつもながら長ったらしくて意味不明なんですがw)は28,000ポイント(実売26,000枚で今週堂々のアルバムセールス1位ですね)で9位初登場でした。彼が以前当時のガールフレンド、ショーンとやってたメタル・バンドのホワイト・ゾンビーが1995年のアルバム『Astro-Creep: 2000』(最高位6位)で大ブレイクしてから6作目になる今回のアルバム、これで6作連続トップ10入りを果たしてますが、基本的に芸風は一貫してますから、幅広い固定ファンが付いてるってことなんでしょうね。
今週のトップ10圏外の動きでは、12位にニック・ジョナスの4作目のソロ『Spaceman』、22位にはセリーナ・ゴメス初のラテン・アルバム・チャート1位を決めたスペイン語によるEP『Revalacion』、そして個人的に応援してるレイク・ストリート・ダイヴのナンサッチ・レーベルからの3作目『Obviously』がやや振るわず63位にそれぞれ初登場(今回のアルバムはなかなか良さそうですが2014年のブレイク以降ではチャート的には最低なのが残念)と、今週も比較的おとなしめのチャートになっています。ということで今週のトップ10おさらいです(順位、先週順位、週数、タイトル、アーティスト)。
1 (1) (10) Dangerous: The Double Album - Morgan Wallen
2 (2) (37) Shoot For The Stars, Aim For The Moon - Pop Smoke
*3 (6) (50) Future Nostalgia ▲ - Dua Lipa
4 (4) (52) After Hours ▲2- The Weeknd
*5 (-) (1) When It’s All Said And Done…Take Time - Giveon
6 (3) (6) Shiesty Season - Pooh Shiesty
7 (7) (55) My Turn ▲3 - Lil Baby
8 (5) (13) The Voice - Lil Durk
*9 (-) (1) The Lunar Injection Kool Aid Eclipse Conspiracy - Rob Zombie
*10 (29) (34) Folklore ▲ - Taylor Swift
さあ来週の1位予想です。リリース対象期間の3/19-25の初日に今回はジャスティン・ビーバーと、ラナ・デル・レイという強力なアルバムが2つもドロップされてますから、いかにモーガンでも来週はこのどちらかの軍門に降るのは間違いなさそう。ジャスティンは現在6作連続No.1だし、ラナもここ2作連続(去年でたスポークンワードの作品は除く)1位なんで、どっちが来てもおかしくないけど、ここはやっぱりストリーミング・ポイントもガッツリ取れるジャスティンが持って行っちゃうんでしょうねえ。ということでまた来週。