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今週の全米No.1アルバム事情 #60 - 2021/1/2付
皆さん明けましておめでとうございます!東京は快晴の元旦、皆さんはどんなお正月を過ごされてますか?大晦日には感染者数が急増するなど不安な状況もありましたが、明けない夜はない、ということで一人一人が意識ある行動をして行くことで状況は改善すると信じてます。今年が希望あふれる年になりますように!
さて今年最初の日付のBillboard 200の1位ですが、やはり先週の予想通りテイラーの『Evermore』が、CDリリースの追風を受けて169,000ポイント(実売102,000枚)で今週も2週目の1位をマーク。やはりというか当然というか、テイラーのアーティストパワーをまざまざと見せつけた2021年最初のチャートになりました。ただし、今回のアルバムのシングル「Willow」は先週Hot 100初登場1位を決めたものの今週は一気に38位にダウン、Hot 100内での1位からのダウン幅では、今年の6月の6ックス9イン&ニッキー・ミナージの「Trollz」の記録(1位→34位)を更新してしまいました(ちなみにチャート内ダウンに限らなければ2020年1月のマライアの「All I Want For Christmas Is You」が1位→圏外という記録があります)。これも含めて先週Hot 100内初登場した15曲中今週生き残ったのはこの「Willow」含めて4曲のみと、『Folklore』の時よりは勢いの減衰がかなり早いようで、やはり同じパターンはそうそう続かないなあ、という感じですね。
そして残念ながらそのテイラーに1位阻止されたのが2位に初登場のサー・ポールの『McCartney III』(107,000ポイント、実売104,000)。見て判るようにセールスでは今週ぶっちぎりの1位で、これは今回のリリースにあたり最近人気が盛り返しつつあるヴァイナル(LP)購買層を狙って、10種類の異なるバージョンでリリースされたヴァイナルの売上が32,000枚と、1991年にニールセン社のデータで売上をトラックし始めて以来歴代3位の売上を記録したことが大きかったようです。ちなみに歴代1位はホワイト・ストライプスのジャック・ホワイトの『Lazaretto』(40,000枚)、2位はパール・ジャムの『Vitalogy』の再発盤(34,000枚)でした。
このポールのアルバムは、当然ながらUKでは堂々初登場1位で、自分も買って聴きましたが、いろいろ頑張っていろんな楽曲をやってますけど「努力は大いに買うけどちょっと」というのが自分の印象でした。『NEW』(2013)の頃はまだ結構勢いあったし、その後の来日公演でも70代とは思えない素晴らしくパワフルなステージを見せてくれたんですけどねえ。もう少し聴きこんでみようとは思いますが。
今週、トップ10内でもう一つ目立った動きは、昨年(2020年が昨年というのがまだ慣れませんが)2月に1位初登場してたエミネムの『Music To Be Murdered By』が、オリジナルの20曲に17曲プラスされたデラックス・エディション(「Music To Be Murdered By Side B」というタイトルです)のリリースで先週の199位→3位にグーンと再上昇してきたこと(94,000ポイント、実売33,000枚)。最近よくあるヒップホップの「デラックス・エディション商法」ですが、ほとんど収録曲数が倍増しているのに同一アルバムカウントでチャートランキングする、というのもどうかなーと思ってしまいますが。しかしエミネム、あごひげなんて生やしちゃってかなりイメチェンしちゃいましたね。最初PV見た時判んなかったですわ。
それ以外の今週のトップ10は、集計期間がクリスマスイブまでということもあり、6枚がクリスマス・アルバムという完全クリスマス・モード。もう新年の我々にしてみたらちょっとギャップがありますけどね。その中で今週先週12位→10位にアップして最高位記録を更新してきたのが、ヴィンス・ガラルディ・トリオの『A Charlie Brown Christmas (Soundtrack)』(50,000ポイント)。1965年に放映された同名のTVアニメスペシャルのサントラ盤ですが、このアルバムとそこに収録の「Linus And Lucy」とか「Skating」(アニメではルーシーがスケートをする場面で演奏されるピアノ曲)はアメリカの家庭では間違いなくクリスマスの定番ともいえるレコードと曲で、うちの家族も今から20年くらい前NY駐在時にはこのアニメの再放送を必ずクリスマスに見てました。多分ヴィンス・ガラルディというジャズ・ピアニストの名前は知らなくても「ああ、あのチャーリーブラウンのクリスマスのピアノ曲!」という感じで、この時期ターゲットとかウォルマートとか行くと、レジの横に必ずCDが山積みになってる、そんなレコードです。でもこのアルバムがビルボードのチャートには1987年まで登場しなかったらしく、今回リリースから半世紀以上を経て最高位をマークするというのは素晴らしいことですね。
ということで今週のトップ10おさらい。今週は圏外も40位くらいまでは特にめぼしい初登場はなし。この状況は来週くらいまで続くでしょうね。マライアのクリスマスアルバムは先週6プラチナから8プラチナに昇格しました(順位、先週順位、週数、タイトル、アーティスト)。
*1 (1) (2) Evermore - Taylor Swift
*2 (-) (1) McCartney III - Paul McCartney
*3 (199) (48) Music To Be Murdered By ● - Eminem
*4 (4) (90) Christmas - Michael Buble
*5 (10) (99) Merry Christmas ▲8 - Mariah Carey
*6 (8) (56) The Christmas Song ▲6 - Nat King
7 (6)(13) My Gift - Carrie Underwood
8 (3) (22) folklore ▲ - Taylor Swift
9 (13) (18) The Best Of Pentatonix Christmas - Pentatonix
10 (12) (88) A Charlie Brown Christmas (Soundtrack) ▲4 - Vince Guaraldi Trio
さて来週の1位予想。対象リリース期間は12/25-31とまだ2020年モードなので商いはかなり薄い状況な上に全く目立ったリリースが予定されてないので、これは来週もテイラーの3週連続1位キープではないかと思いますねえ。ではまた来週、皆さんいいお正月をお過ごし下さい!