見出し画像

今週の全米アルバムチャート事情 #238- 2024/6/1付

まず最初に、今週ガザ地区ラファで行われたイスラエル軍による非人道的残虐行為に強く抗議します。イスラエル軍によるここ最近の戦争行為には目に余るものがあり、今回のラファの事態はその中でも最悪。日本政府は人道的観点からしっかりイスラエルへの抗議を行うべきです。ラファで何があったかについてはXその他で伝えられているので是非皆さんも事実を自分で確認して下さい。

さて気を取り直して。MLBが佳境に入るのと並行して、先週からは男子バレーボールのネイションズ・リーグが始まり、日本男子チームの大ファンの我が家の女性軍と共に連夜TVの中継に釘付けになってます。オープニングのアルゼンチン戦からいきなり3連勝、特に3戦目のキューバ戦はフルセットの熱戦を驚異の逆転勝利で勝っただけに4戦目も、と期待させましたが強豪イタリアに圧勝され最初のリオデジャネイロ・シリーズは3勝1敗。それでもエース2人がいない中で立派な戦績だったのでは。来週からの福岡シリーズではその2人も合流するのでパワーアップした戦いを期待。夏のパリオリンピックに向けても熱い戦いが楽しみです。

"The Tortured Poets Department" by Taylor Swift

さて今年一番の首位争いのマッチアップとなった今週の全米アルバムチャート、6月1日付のBillboard 200の首位は、先週の予想に反して、テイラーの『The Tortured Poets Department』が何とチャートイン5週目にもかかわらず45%のポイント増で378,000ポイント(うち実売210,000枚で通算4週目の週間売り上げナンバーワン)で、今週1位を取るんではないかと思われたビリー・アイリッシュの『Hit Me Hard And Soft』が339,000ポイント(うち実売191,000枚)というビリー自身のこれまでの週間ポイント記録(2019年『When We All Fall Asleep, Where Do We Go?』の初週の313,000ポイント)をしっかり更新する出力を見せたにもかかわらず、テイラーは余裕でそれを上回る出力で5週目の首位をガッチリキープしたんです。実はテイラーが5週目にもかかわらず大きくポイントを伸ばしたのには背景があるんですが、この点いろんな議論を呼びそうなポイントでもあり、ちょっとビリーのアルバムとの比較で検証してみましょう。

"Hit Me Hard And Soft" by Billie Eilish

1.そもそもなぜテイラーが5週目なのにポイントを大きく伸ばせたのか?

通常アルバムはリリース初週に最大の売り上げ、ストリーミングを記録することで最大ポイントを記録して、その後は週を追うごとにポイントが減衰していくのが普通です。テイラーとて例外ではなく、直近の『1989 (Taylor’s Version)』は初週1,653,000ポイントが5週目には141,000ポイント(91.5%減)、『Speak Now (Taylor’s Version)』は初週716,000ポイントが5週目60,000ポイント(91.6%減)、『Midnights』でも初週1,578,000ポイントが5週目177,000ポイント(88.8%減)と大体9割減となってるはずが今回は初週2,610,000ポイントから85.5%しか減しておらず、しかもV字増加しているというのは2015〜16年のアデル25』の5週目がちょうどクリスマス週末にあたり、ホリデーショッピングで反転V字増加(825,000→1,190,000ポイント!)して以来のこと。今回のこのV字反転増の大きな要因は、今回追加で行われたテイラー・チームのアグレッシヴなマーケティング・ブラスト(強力な販促戦術の投入)ですね。

このアルバムに関しては、リリース当初からテイラー・チームのアグレッシブなマーケティング戦略が目立っていて、当初16曲入りのスタンダードバージョンリリースからわずか2時間後の同日に更に16曲追加した31曲のデラックス・バージョンをデジタルリリースしたり、20種類以上の異なる楽曲組み合わせのバージョンを提供するなど、明らかにセールス・ストリーミング両方の底上げをあからさまに狙ったリリースで、一部から「こんだけ売れてるテイラーがここまでせんでいいんじゃないか」といった批判を集めてました。このリリース初週のやり方自体が問題あるとは自分は個人的に思ってませんが、今回それに加えてローンチした下記のマーケティング・ブラストはさすがに「うーんそこまでするんか」と思わせる内容のように思えます(ただしUSの顧客のみ対象)。

* 自身のウェブストアで、新たな6種類のデジタル・ダウンロード・アルバム(標準16曲+ボートラ1曲)を1枚$5.99(約900円)でリリース。それぞれのボートラは3種類の「ファースト・ドラフト電話メモ」レコーディング(初期のデモをスマホに録音した音源?)か3種類の直近のパリでのエラス・ツアー(5/9〜12)でのライブ音源のいずれか
* 自身のウェブストアのみで購入可な、標準16曲に「But Daddy I Love Him」のアコースティック・バージョンをボートラ追加した新CDバージョンを$7.99(約1,200円)でリリース、5月9日、24時間限定で販売。

今週トータル11種類となったCDの売上だけで実に先週の5.6倍、デジタルアルバムに至っては11.8倍増えたようなので、いかにもテイラー・ファンの購買行動をプッシュするような限定バージョンの安価でのリリース、これが今週のポイントV字回復を大きくプッシュしたのは間違いないところ。このマーケティングがビリーのアルバム・リリースの週めがけてローンチされたというのには明らかに意図を感じますし、既にリリース4週で200万枚以上を売り上げているこのアルバム、これ以上売りにかかる必要があったのか?と思う人は自分も含めて多いですよねえ。

2.では、ビリーはテイラーの必要以上にアグレッシブなマーケティングの犠牲者なのか?

一方これでビリー・チームがごく普通のマーケティングをやってるのであれば、テイラー・チームのマーケティングが一方的じゃないか、ということにもなるのですが、ビリー・チームも実はなかなか負けずに今回アグレッシヴなマーケティング・ブラストをローンチしてます

* 9種類の色違いヴァイナル・バージョンのリリース(うち1種類はビリーのウェブストア限定のサイン入り)
* 4種類のCDバージョンのリリース(標準、ウェブストア限定のサイン入り、ビリー特製のブックレット入り、ポスター同梱の小売チェーンのターゲット限定)
* カセットテープバージョンのリリース
* 4種類のデジタル・アルバムのリリース(標準10曲、標準+10曲のボーカルのみトラック収録、標準+10曲のスピードアップ・バージョン収録、標準+10曲の「スロー&リヴァーブ」バージョン収録)。標準以外はボーカルのみが$9.99(約1,500円)、最後の2つのバージョンが$6.99(約1,050円)。
* リリース日(5/17)前日の5/16にはカリフォルニア州イングルウッドのキア・フォーラム、その前日の5/15にはNYブルックリンのバークレイ・センターでアルバム・リスニング・パーティ・イベントを開催。併せてリリース日には全米100箇所以上の映画館チェーン、AMCシアターズの映画館でリスニング・イベントを上映。

いやあビリー・チームも頑張ってますね。ビリーほどのアーティスト・パワーでこれだけ腰の入ったマーケティングやったら、初週ポイント30万超えも当然のように思えます。普通だったらブッチギリ首位のポイントですもんね。なので、テイラーのマーケティングが行き過ぎで狙いすぎの感はあるものの、ビリーが理不尽にやられたというのはおそらく言い過ぎかなあと。むしろ、テイラーが31曲で攻勢してるのに対して、基本ビリーはすべてのバージョンを標準10曲で勝負している分、ストリーミングのポイント獲得力は大きくテイラーと比較して不利なはずなんですが、今週のこの2枚のストリーミング・ポイントは166,500ポイント(テイラーは2億1700回相当、ビリーは1億9400回相当)とビリー、テイラーに全く引けを取っていないのがすごいと言えます。従って、わずかに総ポイントではビリーテイラーの後塵を拝してますが、この勝負、見事に互角だったと評価すべきだと思いますし、大幅なディスカウント販売や追加マーケティングといったギミックを弄したテイラーより、王道のマーケティングに徹したビリー・チームの方がマーケティング的な評価は高くてしかるべきでしょう。

これでリリース2週目以降にビリーがボートラ追加したデラックス・バージョンとかをドロップすれば、この後はビリーが逆転首位、という展開も大いに可能性がありますし、そうなって欲しいなあ、というのが個人的な希望でもあります。内容的にも安定したおなじみのビリーの世界観が展開されているこのアルバム、音楽メディアではあのジョニ・ミッチェルの名盤『Blue』(1971)に例えているところもあるほど音楽メディアの評価も高いですし(メタクリティック89点)、ファーストシングル「Lunch」も好調にHot 100トップ5に初登場を決めており、順位では負けても勝負に勝ったこの勢いでこの後も頑張ってほしいもんです。

"Room Under The Stairs" by Zayn

今週のトップ10初登場はビリーのみですが、圏外11〜100位の初登場、今週は久しぶりに多めで6枚登場しています。その先頭を切って15位にチャートインしてきたのが、元ワン・ダイレクションゼインことゼイン・マリクのソロ4作目『Room Under The Stairs』。ゼインワンダイ最後のアルバム『Made In The A.M.』(2015、US 2位UK1位)リリース前に一足先に脱退して真っ先にソロ活動を開始。ファースト・アルバム『Mind Of Mine』(2016、USUK共に1位)とシングル『Pillowtalk』(USUK共に初登場1位)のヒットで華々しいソロ活動をスタートさせたんですが、その後ヒットも出ず、セカンドもサードもアルバムチャートのトップ40も外してしまうくらい低迷。その間特にハリー・スタイルズが一気にポップ・スーパースターになってしまい、ますます彼の影が薄かっただけに今回のこの順位はカムバックとしてはまずまずです。

その内容ですが、もともとワンダイのメンバーの中では一番一貫してR&Bサイドに寄ったサウンドを自らのスタイルとしてきていたゼイン、今回は何とアメリカーナやオルタナ・カントリーの近年の代表的プロデューサーで、あのクリス・ステイプルトンをブレイクさせたデイヴ・コッブをプロデューサーに起用してるのにまずビックリ。そして聴いてみると確かにインディ・ロック風だったり、アメリカーナ風だったりと、これまでとガラリと違うサウンドスケープが意外に悪くないのに改めてまたちょっとビックリ。今回アルバム作りに当たってそのクリス・ステイプルトンウィリー・ネルソン(!)を聴いて作曲のインスピレーションを得たというゼイン、よりストレートなサウンドで自らの心情をストレートに表現しようとしている感じが聴き取れます。多分ノア・カーンあたりの影響も受けてる感じが。果たしてそれが功を奏しての今回のカムバックなのか、もう少し聴き込んで見たいと思います。

"Better Off Alone" by A Boogie Wit da Hoodie

続いて18位に初登場は、NYはブロンクスのラッパー、ア・ブギー・ウィット・ダ・フディー(ABWDH、本名:アーティスト・ジュリアス・デュボーズ)の5作目のアルバム『Better Off Alone』。ファースト・アルバム『The Bigger Artist』(2017、4位)でいきなりブレイクして以来、セカンド『Hoodie SZN』(2018)のナンバーワンを含め安定してトップ10をキープしてましたが今回初めてトップ10を逃してます。コロナ明け以降、ロック系とトラップ系のアーティストでそれまでチャート上位常連だったのがチャート下位に沈むパターンが散見されるようになってきましたが、ABWDHもいよいよそのパターンに陥って来たのか。

とはいえ、クリスプで達者なフロウは相変わらずだし、トラックの方もロンドン・オン・ダ・トラックヒットメイカ、ゼイトーヴェンら売れっ子ヒップホップ・プロデューサーを始め、いろんなサウンドメイカーを集めて作り込んだ構成になっていて、最近のトラップ作品ではかなりしっかり作られてる感じ。少なくとも先週のチーフ・キーフみたいな暗さはないし、ゲスト参加もフューチャーリル・ダークといった大物ラッパーや、マライア・ザ・サイエンティストなどR&Bシンガーも配して間口広く、内容的にはトップ10でもおかしくなかったのになあ、と思いました。

"Valedictorian" by ian

ぐっと下がって54位チャートインは、今回が初チャートインとなるテキサス州ダラスのラッパー、イアン(本名:イアン・オニール・スミス)のデビュー・ミックステープ『Valedictorian』。ジャケにはボタンダウンシャツなんか着たごくごく普通の風貌風体の白人の学生っぽい人が写ってますが、どうもこれが問題のイアンらしいです。もともと地元ダラスのラッパー等にトラックを提供したり、プロデュースっぽいことをしていたようですが、自らもSoundCloudYouTubeでこの3月に「Grand Slam」というトラックをアップしたところこれが評判を呼んで、今回のミックステープのリリース、さらにいきなりチャートインを果たしたという、かなり短期間にブレイクしたパターンのようです。

曲を聴くと、こういうにーちゃんがしてるとは思えない、結構黒いドスの効いたフロウをかましてるので可愛げなアイドル風の風貌とそのギャップがすごいといえば凄い。スタイル的には、やはり白人ラッパーのイートや、非アメリカ的フロウが独特のプレイボーイ・カーティあたりを思わせるもので、声はエフェクターをかましていて、白人っぽく聞こえないのも得点高いのかもしれません。こういう風にストリーミング・プラットフォームを効果的に使うと結構いとも簡単にブレイクできてしまう最近の状況を象徴するようなブレイクと言えます。

"Still Kids" by New Kids On The Block

そのすぐ下の56位にチャートインしてきたのが、こちらがまた180度違う世界のニュー・キッズ・オン・ザ・ブロックの何と11年ぶりになる新作『Stil Kids(俺達まだガキだぜw)』。既にメンバー全員アラフィフなんで「Still Kids」もないもんですが、まあ「気持ちは若く」ってことなんでしょう。それを体現しているというか、ほぼ全14曲、BTSの「Dynamite」の共作・プロデュースで知られるデイヴ・スチュワートユーリズミックスの人ではない)作の「Kids」以外はダニー・ウォールバーグジョーイ・マッキンタイアを中心にしたニューキッズのメンバーが自作していて、いずれもタイトなビートが若々しいダンス・ポップ・ナンバーが並んでいます。横で聴いてたカミさんが「Kポップみたい」。そうね、セブチとかTXTあたりをかなり意識してるかも。

しかし一時期グループ名もNKOTBに変えたりして従来のボーイズバンドのイメージから脱却しようとしていた節もあったのですが、ここ10年はポーラ・アブドゥルボーイズIIメン、デビー・ギブソンソルトンペッパなど、80〜90年代の懐かしのポップ・スター達とのツアーをやってたみたいですね。アメリカだとよくあるパターンですよね。夏になるとビーチで70年代のスティックスジャーニー、REOスピードワゴンとかが一同に会してフェス風にやるとか。しかし今回は新譜まで出してきたニューキッズ、ある意味ではかなり気合が入っているようです。DJジャジー・ジェフをフィーチャーした「Get Down」では何とあのダイアナ・ロスの「Upside Down」を派手にサンプリングしたり、テイラー・デイン(まだやってたのか!)をフィーチャーした「Old School Love」ではイントロのシンセから90年代ポップ感満載と、昔からのファンへのアピール度が熱い内容になってますし。まあそれもあって前作『10』(2013年6位)のようにトップ10、ってわけには行かなかったんですが、まあ充分でしょう(笑)

"Neon Pill" by Cage The Elephant

またそのすぐ下、57位初登場は、ケンタッキー州ボウリング・グリーン出身、現在ロンドンをベースに活動する、マットブラッドシュルツ兄弟を核にしたオルタナ・ロック・バンド6人組、ケイジ・ジ・エレファント(CTE)の6作目『Neon Pill』。CTEは2008年のファースト『Cage The Elephant』(59位)でブレイクしてから、セカンドの『Thank You, Happy Birthday』(2011年2位)を頂点に、常にアルバムを出せばトップ20近辺に送り込んできて楽曲もロックチャートの1位になる、という安定した人気を誇って来たんですが今回は大きく順位を落としてます。これも先程触れた、コロナ以降ロック系とトラップ系が大きく順位を落としている傾向にはまってしまっているパターンでしょうか。それでも今回のアルバム・タイトル曲でもある「Neon Pill」は4月にオルタナティブ・エアプレイ・チャート11曲目のナンバーワンを4週記録しています

90年代オルタナ・ロックの雰囲気をまといながら、ブルースやファンクなどいろんな要素を楽曲に取り入れている、どちらかというと通好みのバンドですが、個人的にはスプーンのちょっと渋い系とか、QOTSA(クイーンズ・オブ・ザ・ストーン・エイジ)の大人しめ系、といった受け止め方をしてます。つまり結構好みの線ではあるんだけど、もう一つ突き抜けた感じが欲しいなあ、というのが個人的な感想第62回グラミー賞最優秀ロック・アルバムを受賞した前作『Social Cues』(2019年21位)同様、ジョン・ヒルがプロデュースしてますがここ2作はこういった線をキープしてる感じです。あ、もう一つ、スマパンをぐっとメインストリームにした感じのバンド、という言い方もできるかも。ライブで見ると盛り上がりそうな感じもあるから、SZAがキャンセルされちゃった後のフジロックに来たりしないですかね。まあヘッドライナーは無理でしょうけど。

"Orgy Of The Damned" by Slash

そして今週最後の初登場98位に入って来たのは何で今?という感じのスラッシュ(ご存知元ガンズン・ローゼズのギターですが)の6作目のソロ・アルバム『Orgy Of The Damned』。と思ったら彼、2010年以降はコンスタントに2年毎くらいにアルバム出してるんですね。ただ彼もコロナ前までの4作は3枚トップ10、4作目も27位と堅実なチャート成績を出してましたが、ポストコロナの5作目の前作『4』(2022年、93位)から低迷期に入ってるようです。ただUKでは今回初チャートインで今週8位に初登場と、なかなか人気を集めているようです。

多分その大きな理由の一つとしては、このアルバム、様々なロック系のミュージシャンと60年代ロックやブルースの名曲をデュエット・カバーしている、ということがあるんでしょうね。オープニングがブラック・クロウズクリス・ロビンソンとやってるステッペンウルフ1969年のブルース・ロック「The Pusher」のかなり原曲に忠実なカバーで始まって、いきなりブルース・ギターの若きカリスマ、ゲイリー・クラークJr.との何とクラプトンで有名な「Crossroads』、マディ・ウォータースの名演でつとに有名な「Hoochie Coochie Man」をZZトップビリー・ギボンズと、そしてクリス・ステイプルトンフリートウッド・マックのブルース期の名曲「Oh Well」とまあ、ブルース・ロック好きな人だったらたまらん企画です。スラッシュのギターも気持ちよく唸っていて、何だか昔の真夜中のFEN聴いてるみたいな感覚でたまにはこういうのもいいね。イギリス人もこういうの好きだもんなあ。

ということで今週の100位までの初登場はつごう7枚でした。一方Hot 100の方に目を移すと、今週のアルバム初登場でビリー・アイリッシュの「Lunch」が初登場1位か?と思われたんですが、しぶとくポスティモーガン野郎の「I Had Some Help」が2週目の首位をキープ、ビリーの「Lunch」は5位初登場にとどまってます。それ以外のトップ10は大きく変わってませんが、ビリーのアルバム収録された10曲は、その「Lunch」を筆頭に全曲、トップ40内に初登場してますね。では今週のトップ10、おさらいです(順位、先週順位、週数、タイトル、アーティスト、<総ポイント数/アルバム実売枚数、*はHits Daily Double調べ>)。

*1 (1) (5) The Tortured Poets Department - Taylor Swift <378,000 pt/210,000枚>
*2 (-) (1) Hit Me Hard And Soft - Billie Eilish<339,000 pt/191,000枚>

3 (3) (64) One Thing At A Time ▲5 - Morgan Wallen <75,000 pt/1,357枚*>
4 (2) (2) One Of Wun - Gunna <56,000 pt/144枚*>
5 (4) (9) We Don’t Trust You - Future & Metro Boomin <48,000 pt/138枚*>
*6 (5) (176) Dangerous: The Double Album ▲6 - Morgan Wallen <45,000 pt/413枚*>
7 (6) (78) Stick Season ▲ - Noah Kahan <38,000 pt/3,094枚*>
8 (8) (39) Zach Bryan ▲ - Zach Bryan <38,000 pt/2,263枚*>
9 (7) (76) SOS ▲3 - SZA <37,000 pt/1,779枚*>
10 (9) (6) Fireworks & Rollerblades - Benson Boone <33,000 pt/760枚*>

テイラービリー、今のポップシーンを代表する二人が首位を巡って激しく激突した今週の「全米アルバムチャート事情!」いかがだったでしょうか。最後に恒例の来週1位予想(チャート集計対象期間:5/24~30)ですが、BTSRM(シングルがHot 100を逃したのは意外でしたが)、トウェンティ・ワン・パイロッツ、そしてちょっと遅れて5/27にリリースされるKポップのエスパなどトップ10に来そうなアルバムはいくつかありますが、来週の首位は引き続きテイラービリーの一騎打ち状態が続くことが予想されます。今週突発で売上伸ばしたけどストリーミングは現象傾向のテイラーとおそらくそんなに減衰しないのでは、というビリーとの戦いで、希望的観測も含めて来週はビリーが首位奪取してくれるでしょう。ではまた来週。

いいなと思ったら応援しよう!