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今週の全米No.1アルバム事情 #61 - 2021/1/9付

既に仕事始めで忙しい方も多いと思いますが、ここに来てのコロナ感染拡大に慌てたかのように緊急事態宣言を出す菅政権。なぜ前回の緊急事態宣言時に今回くらい(本当はもっと必要だと思いますが)徹底して、一気に感染を抑えようとしなかったのかとか、何故4知事からの要請があって初めて動いたのかとか理解に苦しむ対応に、一番ダメージを受ける飲食業の皆さんのご苦労、お察しします。何とか今回は一気に押さえ込みたいですね。あ、総理、飲食の皆さんにちゃんと保障は厚めにお願いしますよ

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さて新年2週目のBillboard 200チャート、今週の1位は、新年の商いの薄い時期にその間隙を縫って僅か100,000ポイント(実売10,000枚)という規模で1位初登場を果たしたのは、アトランタ出身のラッパー、プレイボーイ・カーティ(本名ジョーダン・テレル・カーター)の2作目のフルアルバム『Whole Lotta Red』でした。前回の初フルアルバムの『Die Lit』(2018)は賛否両論の中初登場3位と好調だったし、今回のアルバムはカニエがエグゼクティブ・プロデューサーやって、「Go2DaMoon」でも共演してるということでそれなりの成績は予想されてましたが、まさか1位とはね。これは予想できなかったな。テイラーの売上・ポイントが予想以上に年末最終週に細った(「Evermore」は58%減の71,000ポイントで2位)というラッキーもあったと思うけど、今回のアルバムは発表されてすぐツイッター等でファンには内容を「クズだ」とボロクソに叩かれてたらしいしね。しかもジャケでカーティが付けてる「逆さ十字」は悪魔(サタン)のシンボルとされてるらしく、そこに最近ゴスペルアルバム出してるカニエが肩入れするなんて、という反感もかなりあったみたい。

もともとフューチャーの子分的なトラップ系のマンブル・ラッパーなんですが、件の「Go2DaMoon」ではもっぱら威勢良くラップしてるのはカニエの方で、カーティは後ろでマンブルしてるだけというのもネット上でファンからは笑いのネタ(カニエのラップには賞賛が集まってたみたいだけど)になってたみたいですね。ラナ・デル・レイのアルバムにもフィーチャーされたくらい結構一時期人気はあったと思うんだけどこのアルバムでファンの間では人気を下げたのかも。一時期カーティを評価していたうちのヒップホップヘッズの息子にも聞いてみよう。

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今週トップ10内初登場はこれ1枚ですが、3位には先週の46位からグーンとアップしてきた、先頃凶弾に倒れて他界したキング・ヴォンのマブダチ、シカゴ・ドリル・シーンで最近のしてきてる、リル・ダークの『The Voice』(66,000ポイント、実売不明)。この急上昇は、このアルバムが僅かリリース5時間前にリル・ダークがネットでアナウンスされてドロップされたのが、クリスマス・イブ、つまり先週のチャートの集計期間の最終日だったんですね。その1日だけの売上とストリーミングで23,000ポイントを稼いで先週46位に登場、今週はフルウィークのポイントで3位に急上昇してきたというわけ。だからリリースを25日にしておけば今週2位だったかも

リル・ダークカーティと違ってかなりクリスプなラップを聴かせるやつで、何といってもドレイクの「Laugh Now Cry Later」(2020年最高位2位)にフィーチャーされたのが一大ブレイクになったわけで、今回の人気もよく判るところですね。先行シングルだった6ラックヤング・サグをフィーチャーした「Stay Down」の再登場をはじめ、故キング・ヴォンをフィーチャーした「Still Trappin’」など今週はHot 100に5曲がエントリーしてますね。この人はトラップなんだけど、ドヨーンとしてなくて結構ビートがハッキリしているので聴きやすい感じ。「Laugh Now Cry Later」のフィーチャリングではグラミーのラップ2部門にもノミネートされているので、ここからガッと盛り上がるかもしれませんね。

さて今週のトップ10おさらい。今週は集計期間が2020年最終週ということで、先週までトップ10過半数を占めてたクリスマス・アルバムがごっそり去ったので、その穴を通常のアルバムが埋める形で5作がトップ10再登場。どれもポイントは先週比減らしてるんですけど。今週は圏外も200位まで初登場ゼロという静かなチャートになってます(順位、先週順位、週数、タイトル、アーティスト)。

*1 (-) (1) Whole Lotta Red - Playboi Carti
2 (1) (3) Evermore - Taylor Swift
*3 (46) (2) The Voice - Lil Durk
4 (11) (26) Shoot For The Stars, Aim For The Moon - Pop Smoke
5 (14) (9) Positions - Ariana Grande
6 (8) (23) folklore ▲ - Taylor Swift
7 (17) (6) Good News - Megan Thee Stallion
8 (19) (60) What You See Is What You Get ▲ - Luke Combs
9 (16) (5) El Ultimo Tour del Mundo - Bad Bunny
10 (3) (49) Music To Be Murdered By ● - Eminem

さて来週の1位予想。集計期間の1/1〜7はリリース作品数も極端に少ないのと、目につくものが懐かしやピクシーズの2004年のライブ盤と、カナダのシンガーソングライター、グライムスの去年のアルバムの「レイヴ・バージョン」くらいといういずれも来そうにない作品なので、今週の勢いでリル・ダークが伸ばしてくればカーティを蹴落として1位か、今週4位以下で一番ポイントの下げ幅の少なかったポップ・スモーク(3%減)が、相対的に残って1位になるという可能性もあるかなあと。いずれにしても来週は地味ーなチャートになりそうです。ではまた来週。

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