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今週の全米アルバムチャート事情 #267- 2024/12/21付

いよいよ2024年の全米アルバムチャートもラス前の週になりましたが、今週も先週に続いて治療入院で病室からこのブログを書いてます(笑)。といっても体調はそんなに悪くない(これから治療の副作用が出るかもしれませんが)ので、週末退院後は残りの今年をゆっくり過ごしたいものです。といっても年賀メールや年明けすぐやってくるグラミー賞の予想なんかもやんなきゃいけないんですけどねw インフル流行ってるようなんで皆さんも体に気を付けて今年の残りを駆け抜けてください。

"The Tortured Poet Department: Anthology" by Taylor Swift

今年ラス前の今週の全米アルバムチャート、12月21日付のBillboard 200、テイラー陣営のマーケティング・ブラストの影響は先週限りで、今週はKポップ勢が炸裂するんだろうと思ってたら、テイラーのファン層ってやっぱり裾野が広いというか、売れる規模が違うというか、今週も240,000ポイント(うち実売まだ201,000枚売れてる!)と強力な出力を維持しているテイラーの『The Tortured Poets Department』が先週に続いて首位をキープ、これで通算17週目の1位を記録してます

2024 Billboard Year End Issue

さて今週発売の、チャートファン待望のビルボード誌年間チャート号(The Year In Music)で2024年の年間チャートが発表されましたが、テイラーは「トップ・アーティスト部門」「女性トップ・アーティスト部門」「Hot 100アーティスト部門」「Hot 100ソングライター部門」1位、「Hot 100プロデューサー部門」では盟友ジャック・アントノフに次いで2位、「Hot 100ソングス部門(年間シングルチャート)」では「Cruel Summer」が12位、アルバム部門に至ってはこの『TTPD』と『1989 (Taylor’s Version)』が「ビルボード200アルバム部門(年間アルバムチャート)」の1位2位を独占しているという、正に「2024年はテイラーの年だった」を証明する結果になっています。唯一弱めなのがストリーミングで、「ストリーミング・ソング部門」では上位50位に「Cruel Summer」「Fortnight」「I Can Do It With My Broken Heart」の3曲がランキングされているのみで、6曲ランキングしているモーガン野郎などとはファンの音楽消費パターンの差がはっきり見て取れるところです。

"Rosie" by ROSÉ

さて今週炸裂するんじゃ、と思っていたKポップ勢の対決、上回ると思われていたTWICEを押さえて102,000ポイント(うち実売70,000枚で今週アルバムセールス3位)で3位に初登場してきたのは何とブラックピンクロゼ(ROSÉ)の方でした。デビューソロ・アルバム『rosie』がチャートインしてきたロゼ(アルバムは今週UKでも4位初登場)、既にトニー・ベイジルの「Mickey」(1982年1位)をオマージュしたブルーノ・マーズとの先行シングル「APT.」(8位)がグローバル・チャートで首位独走中(今週で8週連続1位継続中)ですが、アルバムの方もブルーノDマイルシルク・ソニックの黄金コンビをはじめ、サーカット、オマール・フェディ、ザ・モンスターズ&ストレンジャーズ、グレッグ・カースティンなどなど、今のポップ・シーンを代表する大物サウンドメイカー達を配した豪華万全な構成で、このデビューソロが一大イベントであることを感じさせますね。

全体エレクトロなちょっとオルタナ・ロック寄りのポップナンバーの楽曲はこうした手練れのサウンドメイカーたちとロゼが全曲共作。ただ楽曲スタイルや、ロゼの歌唱スタイルは全盛期のアギレラを思わせる堂々としたもので、彼女の充実感と自信が伝わってくるポップアルバムになってますね。既にナンバーワンを持つ実績やこれまでの人気からTWICEの方が上に来るかと思いましたが「大人の女のイメージ」とオルタナ寄りの音楽性がより今回幅広く受けたんですかね。

"Strategy: 14th Mini Album (EP)" by TWICE

そしてそのTWICEの14作目のEPになる『Strategy (EP)』(7曲入り)は88,000ポイント(うち実売81,000枚で今週アルバムセールス2位)というやや弱めの出力で4位初登場でした。今年初のナンバーワンを記録した「With YOU-th」に続くトップ10です。冒頭のタイトル・ナンバーはいきなりミーガン・ザ・スタリオンをフィーチャーという、王道ポップ路線のTWICEにしてはすわ新境地か??と思わせますが、楽曲自体はヒップホップ・フレイバーは感じるものの、いつもの王道ダンスポップ路線に、後半ミーガンが絡んで来る、というものなので大きな方向性に変更はないですね。ミーガンとのコラボは、何とあの「Mamushi」のリミックスにTWICEが参加した縁とのこと。このリミックス、聴きましたがTWICEの日本人を含むメンバーが一人ずつチバ・ユウキミーガンの日本語ラップパートをガチでやる、という奴でファンは大喜びでしょう。

それ以外の楽曲はいつもの安定TWICE印の王道ダンス・ポップ路線で統一されていて、それぞれ一定以上のクオリティを確保してます。元々北欧系のソングライターを起用することが多かったTWICEですが、今回キャッチーな「Kiss My Troubles Away」ではマルタ系イギリス人ソングライターのローレン・アキリナとアルバニア系アメリカ人ソングライターのアルバート・スタナジを起用するなど、いろんなところから作品を集めて来てるようです。

"Fruitcake" by Sabrina Carpenter

トップ10内初登場はこのKポップ2組ですが、今週10位には昨年サブリナ・カーペンターがデジタル+ストリーミングのみでリリースしたクリスマスEP『Fruitcake』(6曲入り)が、今回ヴァイナル・CD・カセットでリリースされた関係で再エントリーして来てます(54,000ポイント、うち実売39,000枚で今週アルバム・セールス4位)。

このEPには彼女のブレイク作『Emails I Can’t Send』(2022年23位)収録のヒット曲「Nonsense」のクリスマス・リミックス・バージョンである「A Nonsense Christmas」が遊び心満点のアレンジと歌詞の差し替えで収録されてて、ホリデー・ムード満点なので、この時期ファンサービスとしてもうってつけですよね。これでサブリナのトップ10アルバムは『Short n’ Sweet』に続く2枚目になります。

さて今週も先週に続いて初登場はトップ10のKポップ2枚のみで、11位から100位までは初登場ゼロ。年末、クリスマスに向かう中で新譜のリリースは基本手控えモードのようです。一方Hot 100の方はクリスマスモード全開で、今週もマライアのあの曲が1位で通算16週目の1位を記録してます。先週3位にアップして最高位更新していたワム!の「Last Christmas」は今週4位にダウン。クリスマスチャート期間もあと2週で終わりなので、どうやらワム!の悲願の1位は今年は難しそうです。では今週のトップ10おさらいです(順位、先週順位、チャートイン週数、タイトル、アーティスト、<総ポイント数/アルバム実売枚数、*はHits Daily Double調べ>)。

1 (1) (34) The Tortured Poets Department - Taylor Swift <240,000 pt/201,000枚>
2 (2) (3) GNX - Kendrick Lamar <125,000 pt/2,523枚*>
*3 (-) (1) Rosie - ROSE <102,000 pt/70,000枚>
*4 (-) (1) Strategy: 14th Mini Album (EP) - TWICE <88,000 pt/81,000枚>

*5 (5) (16) Short N’ Sweet - Sabrina Carpenter <75,000 pt/26,051枚*>
6 (3) (3) Wicked: The Soundtrack - Cynthia Erivo, Ariana Grande & Various Artists <74,000 pt/31,764枚*>
7 (7) (123) Christmas ▲6 - Michael Buble <62,000 pt/6,910枚*>
*8 (9) (6) Ultimate Christmas - Bing Crosby <56,000 pt/2,793枚*>
9 (6) (30) Hit Me Hard And Soft ▲ - Billie Eilish<56,000 pt/15,993枚*>
*10 (RE) (3) Fruitcake (EP) - Sabrina Carpenter <54,000 pt/39,000枚>

年の瀬押し詰まってなお強しテイラー(字余り)だった今週の「全米アルバムチャート事情!」いかがでしたか。さて来週はいよいよ2024年最後のアルバムチャート、首位予想ですが(チャート集計対象期間:12/13~19)来週こそKポップが炸裂しそう。ストレイキッズの初のミックステープがどうやら2024年最後のアルバムチャートナンバーワンを飾りそうです。ではまた来週。


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