イベントの情報保障
皆さんはネットや新聞などで、「◯◯講座」などの開催案内の中に関心のあるテーマを見つけた時、どうしますか?
いつかな?
いくらかな?
どこでやるかな?(どんなツールでやるのかな?)
よし、参加しよう!
ポチ!あるいは、ビッビッ!(電話をかける音)
って感じでしょうか?
残念ながら、私にはそれができません。
なぜなら、そのほとんどに情報保障(支援)がないからです。
例えば、先日の我が区の区報に掲載されていた「夏休み子ども向けイベント」。
これだけの数ありながら、どこにも情報保障については書かれていません。
このような特別イベントだけではありません。母親学級、介護教室のような定番のものでも同じです。
でも、耳が聞こえない子だって、夏休みイベントに参加したい気持ちは同じ。
外国人で、日本語が苦手な妊婦さんだって、母親学級に参加したいはず。
あぁ、何かしらサポートが必要ならば自分で用意しろってことかな?
それとも、そもそも耳が聞こえない(聞こえにくい)人や子どもが参加することは想定してないってことかな?
私もこういう講座やイベントの案内を見ては、「耳が聞こえていれば、もっと気軽に申し込みして、もっと気軽に参加できるのになぁ」と何度も思ったものです。
耳が聞こえなかろうが、外国人だろうが、その講座に参加したい気持ちは同じなのにな、とも。
もちろん、少しずつではありますが、「保育付き」に並んで「手話通訳付き」って明示されたものも増え始めてます。
時には「必要な情報保障」として「手話」「要約筆記」が選べるようなケースもありました。
こちらは「手話」「点字資料」「その他」。
「いろいろな人が参加する」ことを想定している、って伝わってきて、ウェルカム!と言ってもらえそうな気がして嬉しくなります。きっと集客にも効果的だと思うんですがね。増えるといいな、こんな講座やイベント。
とはいえ、コロナ禍が長引き、「人を集める」「人が集まる」ことが難しい中、一気に増えたのがオンラインでのイベント。
オンラインイベントは直接、顔を合わせたり、触れ合ったりできない代わりに、全国どこにいても、いえいえ、たとえ外国にいても参加ができる、というメリットがあります。
これは移動の困難を抱えた障害のある人にとってはすごい朗報です。
東京でリアルに開かれるイベントに大阪に住む車イスユーザーが参加しようと思っても、なかなかハードルが高い。でも、オンラインなら、その時間に自宅から参加ができます。
午前中東京で開かれた講座を聴講して、午後はアメリカで開かれているイベントに参加する、そして夜は北海道の友達とオンライン飲み会!
これって革命的にすごいこと、ですよね。
でも、移動の困難はそれほどない私たち聴覚障害者にはこのオンラインもハードルになるのです。なぜならそこにやはり情報保障への配慮が足りないからです。
もちろん、2016年に障害者差別解消法が施行され、障害を理由にした不当な差別的扱いが禁じられ、合理的配慮の提供が義務付けられました。
だから、こういう講座に参加したい時は「参加のために情報保障が必要です」と申し出れば、主催者は可能な限り対応してくれることになりました。
聞こえる人が参加している講座やイベントを「聞こえないから参加できない」と諦める必要はなくなったといえます。
とはいえ、、なかなか言い出しにくいものですよね。
それに問い合わせ先が電話番号だけだったら、お手上げです。
ここでもやはり、参加したいのに聞こえないせいで参加できない。
そんなのおかしい。
参加できないのは聞こえないせいじゃない。
必要な情報保障がないからだ!
私だって区民の1人。
「参加したい!」って言ってもいいよね。
ということで、問い合わせしました。
イベントは「令和3年度第2回練馬区人権セミナー「多様な性・多様な生き方~LGBTQってなんだろう~」
申し込み書式でのサポートは「手話通訳」と「保育」のみでした。申し込みの時に要望とか書き込む場所がなかったので折り返し来た確認メールへの返事の形でメールしました。
練馬区総務部人権・男女共同参画課人権啓発担当係
担当者 様
令和3年度第2回人権セミナーを電子申請で申し込みし、確認のメールをいただきました。
申請の際、補足を記入する欄がなかったので、別途メールさせていただきます。
当方、聴覚障害がありますが、情報保障が会場での手話通訳のみとのこと、私自身、中途失聴で手話ではあまり理解できないため、文字による情報保障をお願いします。
練馬区はすでにUDトークによる音声認識でのリアルタイム字幕を運用されているはずで、他部署でのイベントなどではすでに対応されて実施されているようなので、可能と思います。
(ちなみに、手話通訳が必要な場合は会場参加しか選択できないのも、おかしいと思います。)
お手数お掛けしますが、対処よろしくお願いいたします
UDトークの生まれ故郷である練馬区は、すでに区としてUDトークを導入してるので、「知ってるよね」「やれるよね」前提での問い合わせでしたが、すぐに返事が来ました。
「いやぁ、気が付かなくって、メンゴ、メンゴ!
もちろんUDトークでの字幕つけますよ。
言ってくれてありがと!」
もちろん本当は真面目な文面です(笑)
そして、すぐにHP上の告知ページにも「UDトークを用いた字幕付き」の文字が加えられました。
https://www.city.nerima.tokyo.jp/kusei/keihatsu/jinkendanjo/jinken/event/jinkensemina2.html
オンラインでもリアル開催でも、リアルタイムに字幕を配信することはそんなに難しいことではありません。
文字による情報支援を、手話による情報保障と同じように捉え、同じように取り入れてほしいと思います。
そのためにも情報保障が必要な人がいるということを知ってもらわないと!
なので、私は自分が関わる講座やイベントではできる限りの情報保障への配慮をお願いしています。
だって、せっかくの機会なのに自分の仲間達に「ぜひ参加して!」って言えないのは残念ですから。
そして、皆さんにもお願いが。
イベントや口座講習会の案内を見かけたら、ちょっと考えてみて下さい。
聞こえない人は?
見えない人は?
外国人は?
皆さんが参加したいな、と思うイベントや講座には、そんな人たちだって同じように参加したいと思うのです。
そんなことを考えてくださる人が増えたら、きっと、、、
それも多様性理解への一歩につながると思うのです。