BtoBライティングでは、ターゲット設定が難しい
今回は、BtoBライティングの中でも、マーケティング系の記事についての話です。
記事を書く際には、まず、テーマ・ゴール・ターゲットを設定します。
テーマ:何について書くか、
ゴール:読者にどんなアクションを起こしてもらいたいか
ターゲット:どのような読者に読んでほいか
この3つのうち、BtoBライティングにおいては、特にターゲットの設定に難儀します。
BtoBは、情報収集・比較検討・決裁・使用で当事者が変わる
BtoBの場合、相手は法人です。法人とは、企業のような「人と同じように法律行為(契約とか)を行える組織」を指します。
法人は、一人の人物ではないため(一人のこともなくはないですが)、ターゲットとなる人が状況に応じて変わります。
これがBtoCだと、例えば女性向けのビジネスリュックを売りたいときには、ターゲットを割と明確にすることができます。
【ペルソナ例】キャリア志向のビジネスウーマン。30代。
書類やノートパソコンを楽に持ち運びたいと考えている。
少々雑ですが、このようなペルソナ設定が可能になるわけです。それは、商品を選ぶのも、買うのも、使うのも同じ人物だからです。
(※)ペルソナ:ターゲットユーザーや、仮想の理想客のこと
しかし、BtoBの場合、例えば「新しい労務管理システムを導入しよう」となったとき、「どんなシステムがあるのかな」と情報収集する人、「どれがいいかな」と比較・検討する人、「買ってもいいよ」という決裁権を持っている人、実際にそのシステムを使用する人が、異なるのです(兼任ももちろんあります)。
なので、どの人に向けて原稿を書くのか、見極めなければなりません。
BtoBのカスタマージャーニーを理解する
BtoBライティングにおいて読者ターゲットを見極めるには、カスタマージャーニーを理解する必要があります。
カスタマージャーニーとは、顧客が製品やサービスを購入するまでの過程や経験のこと。顧客の辿る道筋を「ジャーニー(旅)」になぞらえているわけです。
カスタマージャーニーは、これと決まったものはありません。業界・業種によっても違いますし、それぞれの企業で独自に定義するものです。
以下、ざっくりとカスタマージャーニーについて説明しておきます。
(ライターは、ざっくりとでいいので全体像を捉えておくことが大切だと思っています)
①認識段階
自社のニーズや課題を把握し、解決策を模索している段階です。この段階では、インターネットや人脈を通じて情報を収集することが多いようです。
②比較・検討段階
「①認識段階」で見つけた商品やサービスを、比較・検討する段階です。オプションを比較し、利点やコストを考慮します。この段階で、資料やデモをリクエストするなど、業者とコンタクトをとり、いい感じであれば、商談に進みます。
③購入段階
最終的な決定を下し、契約を結ぶ(クロージング)段階です。この段階で細かな交渉を行い、価格や契約条件を確定します。この段階では、信頼性や信用性、サービス品質、顧客サポートなどが重要なポイントとなります。
④導入段階
購入後、サービスや製品を導入する段階です。設置、トレーニング、カスタマイズなどを行います。ベンダー(販売業者)はスムーズな導入を支援し、問題が発生した場合には解決策を提供します。
⑤サポート段階
導入後の長期的な関係維持と、顧客満足度向上のためのサポートを行う段階です。ベンダーは顧客との継続的なコミュニケーションを図ります。また、問題解決やアップグレードなどの追加サービスを提案することもあります。
⑥更新・拡大段階
契約の更新や追加のサービスの導入を検討する段階です。ベンダーは顧客のニーズに応じてアップセル(※1)やクロスセル(※2)を行い、長期的なパートナーシップの構築を目指します。
(※1)アップセル:アップグレードや追加機能を提案し、売上を増やすこと。
(※2)クロスセル:関連性のある追加商品やサービスを提案し、顧客満足度と売上を向上させること。
とまぁ、カスタマージャーニーは、ざっくりこんな感じです。
記事の狙いは感動させることじゃない。コンバージョンだ!
カスタマージャーニーのどこにいるどの権限を持つ人に向けて書くのか、どんなアクションを狙って書くのか、ここをしっかり定めておくことが重要です。
どれだけ読み応えのある記事や感動的な記事を書いたとしても、狙ったアクションを達成(コンバージョン)できなければ、それはBtoBライティングにおいて「良記事」とは言えません。キビシイ世界ですね、ほんと。