陽炎
短い物語のプロローグにかえて
平和とは───永劫回帰的にホモ・サピエンスは争いの次に平和を考え、束の間の反省のあとふたたび争いを引き起こしてきた。
永い時間をかけて欲望のベクトルを理性に向けて他者との共生を目指すようになったはずが、その理性は消耗的な資本主義を土壌に効率と格差と分断を引き起こし、また新たな争いの種をまく。
希望は一部の特権階級の子どもたちのもので、その他の子どもたちはどうだろうか。
こうして僕がこれを書いている今、この瞬間も、どこかで貧困や紛争、抑圧にもがきようもなく押しつぶされている力なき者たちがいる。
ロシアのウクライナ侵攻はニュースに上がるがウイグル自治区やロヒンギャなどアジア諸国での問題や、ソマリア、マリ、コンゴなどアフリカなどグローバル・サウスでの問題などは、ほとんどニュースに流れて来ない。
ホモ・サピエンスたちの欲望の果てに加速している温暖化による気候変動でいちばん被害を受けているのもこうした国々ではないか?
力なき者たちの声を聞くために耳を澄まし少しだけでも目線を高くして、遠くを時々見つめていたい。
やがて地球は荒廃した砂漠になる運命だとしても、いまは温かな血を通わせたい。
陽炎
あとがき
#シロクマ文芸部 さん初投稿です。
前回の投稿を少し変えてInstagramにスズキヒロ名義で掲載したものを投稿しました。
いただいたサポート費用は散文を書く活動費用(本の購入)やビール代にさせていただきます。