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「寛容」の必要性

おはようございます!!! 書評行きます!!!

「推し、燃ゆ」 
河出書房新社 2020年出版 宇佐見りん著 144P

(以下は読書メーターのアカウント https://bookmeter.com/users/49241 に書いたレビューです)

不条理な生き辛さの物語。生きる糧はカネと食料に限らぬ。夢中になれる何かが必要。その尊さを誰もが認めつつ、学校や仕事をおざなりにすると態度豹変。ちゃんとしろと言う。他ができなくなるぐらい夢中になれることこそ才能なのに、わからぬ鈍感どもが「みんなと同じに」させようとする。何度も言わすなできねえんだよ。「行き遅れる」なんて言葉を吐くオヤジは殴っていい。あかりには文章を書く才能がある。ブロガーやアイドルライター、あるいは作家。私小説じゃなくても太宰並みにリアル。21歳で芥川賞候補。「候補」が外れるのは時間の問題。

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特定のアイドルを「推す」ことのない人生を送ってきました。

でも好きなものに夢中になり過ぎて他のすべてがおざなりになる経験は人並みに豊かです。日常の大部分が「世間へのポーズ」「周囲を納得させるためのアリバイ作り」に費やされているという違和感もいまだ健在。これは割と普遍的な感覚だと思います。

ならば当然「推す」側のみならず「推される」側にも同じ鬱憤が溜まるはず。「アイドルなんだからそういうのは出すな」という批判は「お金をもらっているんだからちゃんとしろ」という作中に出て来るクソオヤジの価値観と五十歩百歩。そういう感情を自由に吐き出すためにはアイドルを辞めないといけないんですか? 違いますよね。

辞めて欲しくないなら、ファンも世間も彼らの心の叫びにもう少し寛容になるべき。誹謗中傷に耐えかねて人生そのものを辞めてしまうケースも増えているわけですし。

そう、この作品の裏テーマは「寛容」なのです。多数派とは異なる人間や自分には理解できない生き方への寛容。とかく全体主義&滅私奉公万歳のプロテスタンティズムに染まりがちな昨今の世相に向けた、痛々しくも瑞々しいアンチテーゼ。

推しを人生の背骨に据えるしかない生き方、あなたはどう捉えますか? 私は是です。著者も一緒でしょう。学校や仕事よりも、まずは楽しく生き延びてこそ。ドン・キナシじゃないけど生きてるうちが花なんだぜ!


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