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「今すぐ使える」と「古典から得られる」は対立軸ではない

「古典よりも、今すぐ使える知識を勉強するほうがコスパがいいのでは?」

なるほど。

「今すぐ使える知識を勉強する」を、書店員である私の仕事に置き換えてみます。

まずジャンルに関係なく新刊をチェックし、読んでみることがそれに当たりそう。面白ければ追加注文したり、棚の担当者へ伝えたり。POPを作ることもできます。

全国の本屋で働く人々について書かれた本や店主さんの著書を買い、考えに触れることも該当します。選書や売り方のアイデアをもらえるし、立地や規模、客層の差異を踏まえてなお通底するものがある。たとえば「お店のことをいちばんわかっている現場の人間主導で棚作りをしよう」とか。

いずれもダイレクトに役立ちます。ただ書店員なら誰でも思いつき、実行できること。他の本屋及び同業者との違いを生むには、もっと意外なところから武器を見つけてこないといけない。

任天堂で「ゲーム&ウォッチ」「ゲームボーイ」などを開発した横井軍平さんが唱えた「枯れた技術の水平思考」を思い出しました。「既存の技術をこれまでとは異なる形で運用し、新しいものを創造しよう」と。

わかりやすいのは「孫子」です。古代中国の戦争に勝つためのスキルを、現代ビジネスへ応用する。

楽しく学べるという点では「三国志」もオススメ。クセの強い人材の活用法や情報の使い方など、ヒントがたくさん潜んでいます。

「三国志」関連だと、好きな人物にフォーカスした小説を読むのも有意義です。↓とか。

滅びの兆候が見えてきた蜀でひとり奮闘した智将。書店業界もある意味で似たような逆境ゆえ、彼の成功や失敗から学べることは少なくないはず。

「今すぐ使える」と「古典から得られる」は対立軸ではない。後者で支える土台を固め、その上に前者を組み上げて家を建てる。そんなイメージを抱いています。

お求めはぜひお近くの書店にて。

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