私にとっての「白飯と焼き鮭」
TVゲームはお好きですか?
たまに気晴らしで遊びます。令和のご時世にスーパーファミコンを。数年前に発売された「ニンテンドークラシックミニ」じゃないですよ。中学生の頃にお小遣いとお年玉を貯めて買ったオリジナルの方です。
いまだに壊れていません。丈夫ですね。ちなみにいまプレイしているのは「ドラゴンクエスト1・2」の「1」です。
ウチは親が厳しくて初代のファミコンを買ってくれませんでした。友達の家で遊んだ「ドラゴンクエスト」をいつか思い切りプレイするのが夢でした。だから本体もソフトもないのに攻略本を買い、読み耽って空想に浸っていたのです。
そして社会人になったある日、先輩にその話をしたら「おまえスーファミ持ってるだろ? 1と2が一緒になったやつ出てるよ」と教えてくれまして。「え、そうなんですか?」と慌てて秋葉原へ買いに行ったわけです。
あれから何度遊んだかわかりません。攻略本はもう見なくても大丈夫ですが時々チェックします。「そろそろローラ姫を救出しよう」「スターキメラと戦う際、こっちのレベルが低いうちはマホトーンを使おう」など。あとリムルダールはファミコン版だと道具屋がないんですね。昨日知りました(笑)
たぶんこれからもお世話になります。子どもの頃に買った新潮文庫の夏目漱石「坊っちゃん」をいまだに読み返すように。展開を覚えていても楽しいし、なぜか毎回新しい発見があるのです。
「いちばん好きな小説は?」と訊かれたら「坊っちゃん」と答えます。「いちばん好きなゲームは?」と問われたら「ドラクエ1・2」と返します。私の中でそれらは決して飽きない「ご飯とみそ汁」みたいなものなのです。
落合博満氏は著書「采配」の中で「一杯の白飯に焼き鮭でもつけてもらえば十分に幸せ」と書いていました。あれほどの成功者と比べるのはおこがましいですが、私には彼の気持ちがとても理解できます。
「坊っちゃん」と「ドラクエ1・2」があれば人生は楽しい。ボロボロになった文庫本と攻略本を開くたびに少しだけ自分を誇らしく思います。