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名刺がわりの10冊 その1

いつのまにやら、フォロワーさんが200人を超えていました。
フォローしてくださった皆様、ありがとうございます。
そしてスキしてくださる皆様、読んでくだっさっている皆様、ありがとうございます。

日々本に関する駄文を書き散らしておりますが、よくよく考えたら自分についての自己紹介のような記事を全く書いていないことに気づきました。子供の頃からの読書体験について書いたり、感想の中で多少自分語りのようなものも入ってはいますが💦

でも改めて自己紹介するほどのトピックも無いので、Twitterの方に投稿している名刺がわりの10冊を自己紹介がわりにしてみます。

けっこうなバラバラ具合。
どういう基準でえらんだかといいますと、これまで進学や就職、転職や結婚などの関係で都合5回引っ越していて、その時々に処分したり実家に送ったりして本を整理したんですが、一度も手放さずにずっと手元に置いていた10冊です。
他に一度も手放さずに持っていたのはハヤカワのクリスティ作品で、これは好きもありますがコレクション的な意味合いもあるので外しました。
まず中学の時に新刊の単行本を母に頼んで買ってもらった遠藤周作の『深い河』。

氏の生涯のテーマ、日本人とキリスト教、キリスト教的唯一神論と日本的汎神論についての最終章とも言われるこの作品。
丸一日夢中で読んで読み切って、その年の読書感想文はこの本で書いて、それからも何度も読み返している大好きな作品。ここに入れる時、『女の一生ーキクの場合』とどっちを入れるか迷いましたが、キリスト教というものの飲み込みやすさ、複数の登場人物によって描かれる死と愛、人の惑い、後悔、欲、そして“神”の感じ方。氏の作品に通底しているテーマが全て入っていながら、これまでの作品からもう一歩進んで、カトリックからは異端と言われた氏の宗教観に対する苦悩ではなく、他宗教の文化においても共有しうるキリスト教観、“神の愛”の普遍性を描いているように思えるのでこちらを選びました。

2つ目の『球形の荒野』は、最初はドラマで見ました。平幹二朗さんと若村麻由美さんバージョンのものです。それがすごく良かったので原作も読んで原作も大好きに。松本清張作品を読むきっかけにもなった一作です。

『砂の器』や『ゼロの焦点』も好きなんですが、奈良、京都という古都の風情と亡霊として生きなければならない男の悲しさとがマッチする妙が本当に好きで。
推理小説ではあるのですが、父と娘の物語でもあり、あのラストの抒情性はなんとも言えないものがあります。ミステリですので内容にあまり触れないようにあっさりめでいきたいと思います。
ちなみに一度ハマるとその作家ばっかり読むという癖がありまして、ここから清張作品を読み漁るわけですが、多作なだけにハズレも中には……。それを例の母に愚痴ったところ、「清張はタイトルかっこええやつがハズレなしや。かっこええの読んどき」という大変主観的なアドバイスをもらいましたが、わりとその通りでした(笑)

三つ目の『二つの祖国』も山崎豊子週間に入っている時に出会いました。

NHKの『大地の子』やってた時にハマったんだったかな?『白い巨塔』ももちろん好きなんですが、あまり取り上げられることのない第二次世界大戦中の日系人というテーマも興味深く、自分の中にある二つのルーツに引き裂かれていく賢治の苦悩、日本を知らない妻との心のすれ違い、同僚井本梛子の悲しい運命、そして辛い結末。当時の日系人社会からの反発もあった作品で、賛否はあるかもしれませんが、その人のルーツと国とアイデンティティの問題とを描いた名作だと思います。長い作品ですが、こちらも何度も読んだ作品。『大地の子』もそうですが、権力とか巨大な組織とか、そうした大がかりな道具立てではなく、理不尽とも言える“戦争”に翻弄される人間を描いている所が魅力です。
山崎氏の主観も大いに入っているでしょうから、歴史として鵜呑みにはできないとは思いますが、それでもこの作品に出会わなければ日系人の強制収容なんて知らなかったかもしれませんし、読んで良かったと思います。

四つ目はこれまた毛色が違って歴史系エンタメ小説ですね。

『王妃の離婚』で直木賞を取られた佐藤賢一氏の冒険活劇。『双頭の鷲』や『傭兵ピエール』も好きなんですが、何と言ってもこの作品、主人公がダルタニアンとシラノ・ド・ベルジュラック。シラノ死んでなかったんかい!というツッコミは野暮なのでしないでください(笑)
一見荒唐無稽なこの組合せ。ところがなかなかのコンビで、宰相マザランの密命を受けて動くのですが、やがて宮廷の陰謀に行き当たり……といったお話。その中にそれぞれが登場した作品のエピソードもふんだんに盛り込まれて、楽しいんです。なにせ歴史学とフランス語史を学ばれた方が書かれていますから、時代背景の緻密な書き込みと、荒唐無稽な登場人物の組合せなのにしっかりと史実の中に落とし込むという巧みさもあいまって読み応えありの一作。
子供の頃に親しんだ物語の登場人物とこんな風に再会できるんだと思った素敵な作品なので、これもずっと手元においていますね。

五つ目からはミステリが続きます。
宮部みゆきさんもファンタジー以外は全部読んでいますが、何度読んでも完成度に唸らされるこの作品。

導入からラストまでこんなに完璧なことってありますかね?と個人的に思うぐらい大好きなミステリ。正直『理由』よりこちらの方が完成度が高いと思っているので、どうしてこっちで直木賞取れなかったのかいまだに不思議に思っています。なんといってもあの終わり方の潔さがいいですよね。最近は現実に辛いニュースが多くて現代物や社会派ミステリを書くのが辛いとおっしゃっていますが、これほどのものを書かれる方なので、また書いて欲しいなと思っています。
この作品はもう何を書いてもネタバレに繋がりそうなので、あっさり終わらせておこうと思います。今読んでも全く古くなっていないミステリの名作です!

半分で結構な長さになってきたので、一旦締めます。続きはまた明日💦

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