少年や障碍者による犯罪と問われる責任能力、減刑の実例とその要因

少年犯罪

20歳に満たない個人に対しては、少年院送りといったように罪を犯しても重罪でなければ刑罰を科さない扱いができる。また、成人のように刑を固定せずに懲役〇年~〇年といった不定期刑で対処できる。18歳未満に対しては死刑を禁じている。このような柔軟な姿勢があるのは少年に人格形成できる可能性が残っているため。更生し成長する可能性があるため懲役年数を固定化させることは適切ではない。しかし少年の更生の可能性は死刑裁判にとっては本質的ではない、少年が更生したところで市民社会の価値は変わらないし被害者にとっても関係ない。むしろ少年が凶悪犯罪を踏み台にして構成することは被害者側にとっては耐えがたいものだろう。

刑事裁判で問われる責任能力とは

法が働きかけるのは応答可能性を持つものに対してのみ。刑事責任年齢は14歳未満の子供についてはたとえ残酷な犯罪行為をしても刑罰を行わないこと。また、精神に異常をきたした人間が凶悪犯罪を行った場合、かつては裁判所が責任能力の点で死刑求刑を退けてきたことが多かった。たとえば新宿バス放火事件では、乗客を乗せて出発待ちしていたバスに放火して6名を焼死させた犯人が心神耗弱(限定責任能力)を認めたのは知的障害と飲酒酩酊があったため、無期懲役となった。しかし近年はこういった例でも死刑が言い渡される場合が増えている。下関通り魔事件で死者5名を出した犯人に有名な精神医学者が妄想性障害で心神耗弱という鑑定結果を出した際も裁判所はその結果を採用しなかった。さらに、上述の附属池田小学校でのスクールキリングでは犯人に脳腫瘍があったため(アメリカでのテキサス大学と系統事件の犯人と同じ)、死刑という判決には疑問を呈する見解も多かった。こういった現行法が規定をなし崩し的に無視して強引に精神障碍者の存在を否定していく動きに批判もあるが、死刑の本来の役割である社会防衛的には社会から逸脱している異常者から市民を守ることが目的であるため、そういった異常性が高ければ高いほど死刑への要請は高まる。

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