商標とは何か④ 商標における特殊なケース
似てない商品であれば同じ商標が存在できる
Appleという商標でもパソコンと中古車販売では商品やサービスが似ていないため、商標の権利はそれぞれ異なる企業が持っている。しかし過去には商標のPinoが商品であるアイスクリームのPinoと清涼飲料水のPinoplusが似ているのか争われた事案があり、特許庁は両商品は似ていると判断した。また、日本郵便のゆうメールというサービスも他社がすでに広告配布や情報提供といったサービスについて商標登録していたので、特許庁は似ていると判断。結局は両者が和解したのでどちらもサービス継続できている。ちなみにAppleのiPhoneは、日本で先にアイホン株式会社が似た商標「アイホン」を登録していたので商標権を取れなかった。そのためアイホン株式会社はAppleからかなり大きな商標権使用料をもらっていると言われている。
使われておらず登録だけされている商標はどうなる?
北海道夕張市の有名キャラ「メロン熊」が「melonkuma」で商標を持っている権利者と争った事案では、「melonkuma」という商標が登録後に商品化などで使用されておらず商標としての価値がなかったため特許庁は似ていないと判断した。また、寿司チェーン「小僧寿し」が「小僧」の商標権者から訴えられた事案では、小僧寿しが著名な店であり、小僧と寿司が合わさって不可分一体な呼び方になっているという理由で、両者は似ていないと判断された。
商標が有名になりすぎると機能が失われる
あつた蓬莱軒がもともと「ひつまぶし」で商標登録していたが今は商品名として当たり前になっているので誰でも使用して良い状況となっている。他にも、ういろう・エレベーター・セロテープ・シャープペンシル・キャタピラー・正露丸・うどんすきなど、元々は商標だったのに商品名が有名になりすぎて目印としての機能がなくなり、誰もが使用できるようになった。マイクロソフトやウィンドウズはそれを防ぐために🄬が付けられている。言い換えれば、普通の言葉は商標として登録できないということ。つまり商品「時計」について「時計」といった商標は登録できない。そのため商品の牛肉に「北海道牛」という商標も地名が普通の言葉であるため登録できない。また、ありふれた氏名も商標登録できない(バイクのKAWASAKIやホンダなどは相当に有名かデザインが文字に施されているので商標として機能している)。実際にプロゴルファーの青木功が自身の名前で商標登録しようとしたが、同姓同名の人に許諾を得ていないとして登録は認められなかった。ただよほどの有名人でない限り故人の名前は登録できる場合もある。