商標とは何か⑥ その他の知的財産権と商標権の変わった活用法

商標権を含む知的財産権のそのほかは?

特許権は「発明」が保護対象で、比較的工夫の程度が高いアイデアなどでモノや方法やモノの生産方法、ビジネスモデルなどを保護できる。出願から登録までに約1年審査期間がかかり、出願から20年で権利が切れる意匠権は「モノの形状・模様などの斬新なアイデア」が保護対象で、独創的な外観やデザインをした製品など。これも登録から20年で権利が切れる。実用新案権は「発明ほど高度ではない考案」が保護対象で、主婦の発明のような日用品の構造の工夫など、物の形に限定。無審査で登録でき、出願から10年で権利が切れる。著作権は「文学・学術・美術・音楽の範囲に属するもの」が保護対象で、雑誌書籍の文章、絵、彫刻、楽曲、論文、ゲームソフトなど。著作者の死後50年で権利が切れる。

商標に関する意外なルール

もし同じ日に同じ商品に対して同じ商標を出願しに来た人がいた場合は、出願人らに協議を促し、もし協議が決裂した場合はくじで出願人を決める。どの指定商品に自分の商標権の範囲を指定するかも重要で、広すぎるとそのぶん特許庁に支払う金額が増えてしまう(1つの商標登録で最低でも3万円以上の費用を支払う必要がある)。ちなみに東京スカイツリーという名前が決まる前には大江戸タワーなど数々の名前が予想され商標登録されたが、それらはすべて確認され全くかぶらないスカイツリーという名前が付けられた。また、年間で何万件も登録されるため、一定期間使われていない商標は権利が取り消されることもある。また、登録した際の商標とは違う使い方をしていても、使っていないと判断される可能性がある。そして特許権や意匠権を取りたいと考えた商品を、出願前に販売したりしてしようしてもいけないので、原則としては秘密の状態のまま最初に出願しに行く。ちなみに特許権や意匠権の9割は大企業が持っていて、年間30万件以上の特許出願がされるのはやはりその特許権が莫大な利益を上げるからと思われる。

商標はその国でしか権利が及ばないので、アメリカでのコンバースという商標と、日本でコンバースという商標を持っているのはそれぞれ関係ない企業。

商標の活用方法

①資格を商標登録→

漢字検定やアニメ検定、京都観光文化検定試験などを商標登録することでブランド価値を維持し年間何万人もの受験者をあつめられている。他にも加圧トレーニングなども商標としてサービスを独占していたがすでに特許は切れている。

②アニメビジネスにおける商標活用→

テレビアニメではグッズなどでアニメキャラビジネスを展開するために放映前に商標登録出願をしておく。ファンのなかには商標公報で次作品などを予想する人もいる。他にもSMAPやTOKIOなどは後に商標で争いが起きないようにデビュー前に商標として名前を登録していることが多い。

③外国資本を参入させない商標→

松阪牛は中国では似た商品がすでにあるとのことで商標登録ができなかったが、日本では外国から入ってくる商品や企業を阻止するために出願した商標登録は認められない。また、中国はAppleが参入する前に国内でiPadを商標登録していたためにアップル側から多額の権利料の支払いを受けたという事案もあった。

フランチャイズ

本部であるフランチャイザーが加盟店であるフランチャイジーと契約を結び、本部の提供するサービスの仕組みや看板である商標を貸し出すもの。

オリンピックと商標権

五輪ではスポンサーは原則1業種に1社と限定する宣伝広告の権利独占といった形がとられたり、自転車やマラソンのコースに広告掲出の規制を出したりした。そのためスポンサーでない企業が五輪に便乗してビジネス展開することを避けるため、JOCは数々の商標権を持っている。例えば「がんばれ!ニッポン」といった商標を持っているので、五輪に便乗してこれが書かれたTシャツを作って販売したりはできない。

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