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日常の中にある小さな幸せ 

今日のあなたへ、30の手紙 1/30

日常の中にある小さな幸せ

例えばティッシュを配っている人が町にいます。もしもあなたが今はティッシュはいらないんだよなって思っているとしたらどうしますか?

急いでるんで!相手にNOという態度ではっきりわかりやすく断りますか?それとも、そもそももらうつもりがないからなるべく相手が渡しづらいような歩き方をして足早に通りすぎていきますか?

私はティッシュは必要ではないんだけれど、相手は一生懸命仕事で配っているのだから早く配り終わった方がこの人も助かるだろうなって思っちゃう。いらないティッシュでも無駄になるわけではないからと苦にならないことだしなとここでもらっておきますか?

あぁもうこの人に今やつあたりしたいと思うくらいあなたがつらい時もありますか?

断ることは小さいことから大きなことまで意外とエネルギーがいるものだと私は思うのですが…どうですか?断ったとしたら相手はどんな態度をとるのだろうか?不安になる時があったり。

そんなこと断ることなんて全然大したことないって!と思えることの範囲は物事によって一人ひとり全く違うとしたら。たかがティッシュのようで人によってはたかがに、となんでかなれないことがある。

配っている相手の気持ちまで考える習慣がたまたまある人もいればたまたまそういうことを考えるきっかけがなかっただけの人もいる。

本当は実際にティッシュを配った経験がなければその立場になった人こその言葉は持てない。想像はできても想像。当たってたらいいかもの想像。

自分が経験ないことでもその人の気持ちと自分の気持ちを両方想像してみる人がいる。同じくらい自分事のように。最初から相手のことと両方浮かべずに過ごす人もいる。両方いる。

そういうきっかけにたまたま出会った人とそうでない人がいる。その感性の間にはキリないほどたくさんいろんな感じ方の人たちが多分存在している。

私はどれもちがってこう感じる、こう考えるよって人たちが書ききれないほどいる。時と場合によって考えたり考えなかったりするよって人も少なくなさそう。

多分ティッシュを配る仕事をしてみたことがある人たちからすると、また景色が全く違って見えるかもしれません。世の中いろんな人がいるんだなとか意外と人ってそうとは限らないんだなって出来事がたくさん起こってたりしてる。配ってる時間にたくさんの人たちとすれ違って。

コンビニの店員さん、掃除やメンテナンスの仕事の人、誰かにとっての繰り返しの日常の背景になっているような場所であたりまえのように中にいてくれる人たち、その人たちからしか見えない景色があるとしたら。

同じある一人の人間のことが見える位置から全く違う人間かのように印象が変わったりすることに遭遇する。

ティッシュを配っている人が辞めずに続けて配っていくうちに、だんだんどんな雰囲気の人がティッシュをもらってくれそうかがわかってくる瞬間があるかもしれません。

最初はとにかくもらってくださいと必死に来る人来る人に配ってあからさまにたくさん断られ続けて、自分もムッとしたりしていたのがだんだん何かが見えてくる。言葉というか空気、リズムのように、どんな人がもらってくれるのか、どんな人に余裕がないのか。

本当はそんなにいらないだろうって見えるのにわざわざもらってくれる人がいたり。天気が悪くなったり、暗くなってくるといつもなら足早に通り過ぎていきそうな風貌の人が、サッともぐようにもらっていって「エッもらってくれるんか」と驚いたりしたりして。

あなたはどうですか?自分って実のところいろんな所で「No」って言うの苦手なんだよな…って人がいたら、今読んでくださっているあなたがもしそうだとしたら、一つやってみませんか?たまにでいいので「今日は断ってみよう」と思ってみませんか?ティッシュがいらない時に。

例えばなんですけど、相手がティッシュをサッと出される瞬間の呼吸に合わせるようにこちらもスッと「ごめんよ!今はいらないよ!」って手でシュッと断ってみてください。なんか相手はチッてなったな、嫌だったみたいと思ったら、今度は相手との呼吸を感じて違う感じで断ってみようか。ともう一度気が向いた時にです。

そんなことをちょっとずつやっていっていたら、ある時にとても熟練したというか「おー!かっこいいな」っていう対応をするティッシュ配りの人にめぐり合えることがあります。何かがベテランなのかも。めぐりあえる確率はどのくらいかよかったら体感で感じてみてください。

変わらないような日常の中にいる景色の中のそんな人にめぐり合えた時なんかちょっとラッキー、さわやかな気持ちをもらえたりする。

なんてことのない小さなことなのに。
ささやかだけれど意外とそんな日が大吉じゃないかって思うのです。


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Bookきりん屋
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