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戯れうたCOMPLEX(22)
終演後ロビーに掲示されているアンコールの曲バッハのアリア
(2024/07/06)
一度は途絶えてしまったオーケストラのコンサートの鑑賞に、私が年に僅かの回数でも通うようになれたのは、2011年8月のあるアマチュア・オーケストラのコンサートがきっかけだった。
1990年代の前半まで、私は親しい友人二人と三人で、東京のサントリーホールや芸術劇場などのホールにしばしば出かけていた。体調さえ良ければ、平日夜のプログラムにも勇んで出かけていったものだった。その後に病を得、友人たちとの交流も途絶えてしまい、コンサートホールからは足が遠のいてしまっていた。
2011年と言えば、東日本大震災があったその年である。約半年後にそのコンサートは開かれたのだが、当時のSNSでやりとりをしていた知人たちが、言わば引っ張り出してくれたのだとも言える。それから早くも干支が一回りしてしまっていることに、驚きを感ぜざるを得ない。
さて今回は、一般的なオーケストラのコンサートのスタイルについて述べてみようと思う。プログラムとして事前に告知されているものは、通常三曲だと考えていただいていい。始め、五~十分程度の短い曲が演奏される。オペラの序曲や前奏曲、間奏曲などが演奏されることが多い。
続いて、指揮者が独奏者を連れて出てくると、「協奏曲」が奏でられる。十五~三十分かかる大曲である。この協奏曲というのは、ピアノやヴァイオリン、チェロといった独奏楽器とオーケストラの、まさに「共演」であって、コンサート前半の華と言ってよい。この協奏曲が終わると、独奏者による「アンコール」が奏されることがある。冒頭に掲げた短歌は、それを詠んだものだ。
これも終わると、場内は明転して十五~二十分の休憩になる。「今弾かれたアンコール、何だったかなあ」と思ってロビーに出ると、曲目が手書きで案内されていることがほとんどだ。
さて、そのアンコールでのバッハの「アリア」、何が演奏されたのだろうか。チェロでもピアノでもいいように(どの曲をご想像くださってもいいように)ぼかしておいた次第である。
十五分ほどの休憩が終わり、聴衆たちが席に戻ると、いよいよ後半、メイン・プログラムが始まるのだ。
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