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戯れうたCOMPLEX(19)
「うた」には何種類もの漢字をあてることができる。歌、詩、唄、謳――。四つ目の「謳う」には、「幸せであることを隠しだてしないで言い立てる。謳歌する」の意味があるのだという。今回は、そのように生を「謳った」短歌を自作から探してみた。
寒空に若木一本凛として空掴まんと枝を広げて
(25/01/09)
冬の冷たい空気には、人を凛とさせるものがあると感じてきた。詠んだのが冬の寒い時期だったので、「寒空」に「凛として」が出てきたと思う。そこに浮かんだのが、一本の樹。凛としているのだから、老木や大樹ではなくて、「若木」だろうか。冬の寒空の下、若木がすっくと、凛として立っている。そんなことがイメージされた。
冬だから葉は落ちているだろうが、広がった枝は両手を広げている様を想起させた。志を持って、空=理想を掴もうとしているのだろう。私の内側には、こうした「青年」を住まわせておきたいものだと思う。
おおぞらをつないでうたいわきいずるいのちことほぐよろこびのうた
(24/07/01)
先の歌よりも、こちらの方が先にできているのだが、これは全部ひらがなで綴ってみた。正しくは、「綴ってみたかった」。
分断を乗り越えてつながっていく。連帯していく。そのことをうたう――。「いのち」には、元来そのような力があると思う。そして、それは体から、あるいは心の内奥から湧き出てくるものなのではないか。その「いのち」を寿ぎ、うたうのだ。大いなる喜びをもって。人間には、そうした力もまた備わっているはずだ。
本当の幸いは何と問われるもあなたは既に答えを持ってる
(25/01/22)
人間の幸福って何? 疑問を持ち、問われる人もあるだろう。しかし、その「幸福」とは何かについて、人は、あるいはわれわれは、既に答えを持っているし、知っているのだろうと思う。それは、自分の内側にある。内側にある答えを忘れているのだろう。それを見つけることが大切なのだ。外側に探すのではなくて、内側に求めればいいのだと思う。いますぐには見つからなくとも、それは「ない」ことを意味するものではないはずだ。
【お知らせ】
1/1~1/20分の「戯れうたCOMPLEX」17000文字を1ファイルにまとめ、ダウンロード購入いただけるようにしました。¥300です。ご支援・ご指導のほど、お願い申し上げます。
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