【杜のラボ】読書会は、◯◯をめざす
こんにちは。4月5日(火)15:55です。今日もよろしくお願いいたします。
昨日(4月4日)21時からの読書会には、たくさんの方々のお運びをいただきました。感謝申し上げます。ありがとうございました。その席上でも、特に狙って申し上げたのではないのですが、これからも、「言いっ放し」を確保し、結論を「出さない」「求めない」読書会を志したいと考えています。今回のnoteでは、そんなことを少し書いてみるつもりです。
このタイトルの◯◯の部分には、それぞれ思い思いの言葉を代入していただければと思いますが、さしあたって今回は、「聴き合うこと」と「愉しさ」の二つを入れてみようと思います。なお、この二つでは、どちらを先にするかということは(少なくとも今は)ありません。順不同ですが、便宜的に「聴き合うこと」から先に記述していきます。では。
読書会は「聴き合うこと」をめざす
さて、先にネタばらしからしてしまうと、これから書こうとしていることの多く、いや、ほとんどと言っていいと思いますが、それは内田義彦さんの『読書と社会科学』(岩波新書)に負っているはずです。それをお断りしておきます。
昨夜「結論を求めず」「言いっ放し」をめざしたい旨発言したのは、一つには議論をまとめ上げる力量を欠いていることがあがります。多面的で、多様なお話しを、グイっとまとめる力が、ぼくにはないし、それはぼくが求めている会ではないような気がしています。
むしろ、ぼくはそこで出てくる意見や感想の多様性を重視したいし、確保したいと思います。そのためには、「言いっ放し」でも許されるようでありたいと思うのです。何となれば、AさんとBさんとが、一致すること「ではなく」て、むしろ「違っている」ことを確認することで安心するような場でありたいと思うのです。
しかも、その「違いの確認」が、反目や対立を生むのではなく、相互承認をもたらすようなことは可能なのではないか。そう考えます。しんどいかもしれないけど。
そのためにも、むしろ「聴く」こと、「聴き合う」ことが重要なのだろうと思うのです。自説を開陳することよりも、発話に耳を傾け、「聞く」にとどまることなく、「聴く」です。ぼくが主催しているような、オンラインでの開催時には、特に重要だろうと思います。少しテクニカルなことを書くと、積極的に相槌を打つことで、「私はあなたのご発言を聴いていますよ」というメッセージを伝えることもまた、重要なんだろうと思います。
参加者の中に、こうした「聴く人」「聴ける人」がいることで、会が円滑に、かつ活発に成立していくかと思うんです。「積極的に聴く」ことが、ある種の創造性を発揮していくと思います。内田さんの書き方を借りて言うと、「ああ、私の発言を、そんな風に聴いて(聴き込んで)くださったのか」ということが成り立つ。発話者の思いを超えたところでの「聴く」が発動する。そうした「聴く」「聴き合う」会をめざしたいと思います。そうした会は、安心して違っていられる、違いが確保される会だと考えます。
読書会は「愉しさ」をめざす
1200文字を超えたので、そろそろもう一つの項に移ろうと思います。これまた内田さんの書き方なのですが、読書会をするにあたっては、「有意義」であることよりも、むしろ「楽しい」ことをめざすのがよいと思うのです。ここでは、ちょっと気取って、「愉しさ」と書いていますが、深い意味を添えているわけではありません。ちなみに「愉」には、「不快を抜き取る」との字義があるそうです。
さて、その「愉しさ」あるいは「楽しさ」も、その内実を深めていくことは可能であり、重要だと内田さんはおっしゃっています。おおよそ、「楽しいとは、魂がその妨げを排除しながら伸び育っていくときの、充実した情念である(主旨)」ということが、前出の『読書と社会科学』で書かれています。そのような「愉しさ」「楽しさ」をめざすことは、可能だろうと思っています。
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今回は、読書会にあって「聴くこと」と、充実した「愉しさ」をめざすことは、可能かつ重要だろうということを書いてみました。では、具体的にはどうしたらいいのか。ぼくは愚劣な人間ですので、こうすれば確実に、ということは申せません。愚直に経験を積んでいきたいと考えている次第です。幸いなことに、clubhouseで読書会・100分de名著の会を重ねるようになって、計100回を超えるようになりました。これに先立つZoom時代から数えると、170か180回程度になろうとしています。「洗練」「充実」には程遠いと思いますが、今後も経験を重ねていきたいと思っていますので、どうぞお運びくださいますよう、お願い申し上げます。
読書会は毎週月曜21時から、「100分de名著を語ろう」は毎週木曜21時から実施しています。新規のご参加については、ぼくのTwitterアカウント @Showji_S までお問い合わせください。開催に関する情報は、努めて配信するようにしています。今回も最後までお読みくださり、ありがとうございました。それではまた!