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【100分de名著を語ろう】折口信夫『古代研究』②
こんにちは。
本日(10月13日)のclubhouseのルーム「100分de名著を語ろう」では、今月度の放送内容である折口信夫の『古代研究』からの第2回分「国文学の発生」について取り上げます。ここでは、国文学の「成立」ではなくて、「発生」という語を用いていることにも注目していきたいと思います。
これは、折口において、「古代」が「時代区分」の用語として用いられていたのではなく、あるものが「生まれてくる瞬間」のことを指している(p.6)ことと照応していると思われます。そこでは、時代区分としての「いつ」ではなくて、「どのように」「なぜ」発生したのかに力点が置かれているように思われました。それでは、以下、小見出しに連番を振って、内容を確認してまいります。
①呪言と言霊信仰
人間は、神を精一杯もてなします。一定期間とどまってもらったのちに、お帰りいただかなくてはならない(逆に、短期間だから、精一杯おもてなしできるのです)。
ではまれびとは(略)何をしにやって来るのでしょうか。折口は、幸福と共に「神からのメッセージ」を届けにやって来るのだ、と考えていました。
②日本文学は「叙事詩」から始まった
授かったありがたい言葉を、次は構成に伝えようとする。折口は、この時、日本における文学が生まれたと考えていました。
これは、文学は最初から文学だったわけではなく、ある過程を経ることで「文学になった」ということも意味します。
まれびとから授かったありがたい言葉を、後世に伝えようとする時に、その素晴らしさを損なわないようにしなければならないとも考えた。そのために言葉が磨かれてゆきました。
③「貴種流離譚」という物語の型
物語の「かたち」「型」ができていく過程に、神と人との関係性が重要な役割を果たしていると考えたのが折口でした。
④「掛け合い」や「歌」の型
つまり、神話というものは、人類の知の一つなのです(略)「儀礼」や「かたち」「型」通して、大切なメッセージを古代の人びとは伝えていました。
文学を通して、人は神から言葉を学んだのだという、折口のメッセージが聞こえてくるようです。
「型」を手がかりとして、日本を「全体」として捉えると、「文化の厚み」が見えてくる。
⑤実感する創作者・釈迢空として
「実感をもって理解する」ということは、言い換えると、古代の人たちと目線を同じくする、ということでもあります。
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今回は以上です。最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。それではまた!
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