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【読書会】宮本輝『流転の海』第3部『血脈の火』第1章

こんにちは。

今回も読書会当日の公開になってしまいましたが、第3部に突入する宮本輝さんの『流転の海』全巻読書会・第3部の第1回分についてのレジュメをお届けします。今まで行ってきた分のレジュメは、以下の「マガジン」に登録してありますので、適宜ご覧になってみてください。


このレジュメでは、
・第1部『流転の海』
・第2部『地の星』

の概略に触れた後で、第3部『血脈の火』の第1章に言及していきたいと思います。

第1部『流転の海』の概略

昭和22年(1947年)、中国に出征していた松坂熊吾が大阪に戻ってきた。戦前、自動車の部品の貿易で財を成していたが、戦争のため、事業は頓挫していた。その事業を再建するため、熊吾は奔走した。戦前からの仕事仲間や部下たちと再会するが、裏切りにもあった。

しかし、熊吾には、妻・房江との間に、50歳にして初めて授かった長子・伸仁がいた。この物語では、熊吾たち3人と、その眷属が織り成す小宇宙が描かれていく。第1部では、熊吾と房江の出会いについても言及され、妻子の健康を得るため、事業をたたんで故郷・南宇和に戻ることを決意するところまでが描かれる。

第2部『地の星』の概略

熊吾たち一家は、南宇和にあった。そこで出会った網元の魚茂、熊吾を執拗につけ狙う伊佐夫らとともに、ドラマが展開していく。

県会議員に打って出ようとする魚茂の選挙参謀を務める中、熊吾は妻・房江に対する猜疑心から、再び暴力を振るうようになってしまう。このことで、房江はアルコールに手を伸ばすようになる。

幾人もの生と死が描かれていくが、熊吾は再び大阪に戻って事業を再開する決意を固める。

第3部『血脈の火』第1章(~67頁)の概略

  1. 松坂家が大阪に戻って10か月。伸仁はまもなく小学校に入学する。伸仁は、近くを流れる川を行き来するポンポン船に乗る家族と親しくなる。

  2. スターリンが死去(1953年3月)。舞鶴に中国からの引揚船が着く。

  3. 旧知の中国人・周栄文の生死についての手がかりを得る。

  4. 高瀬と出会い、河内モーターを世話する。

  5. 筒井医師に再会。布地用の接着剤を、消防用のホースの修繕に転用するという新事業の着想を得る。併せて、いくつかの事業についても着想する。

ピックアップ

  1. 終戦から八年・・・。八年も抑留しとったんやのお。徹底的に洗脳して共産主義を叩き込んでから帰そうっちゅう腹かのう(p.15)

  2. スリ一匹、よう捕まえへんやつが、机に坐ったまま、指揮をとりよる(p.18)

  3. 人間てのは、不思議なもんや。何を縁にして、どんなふうに心が動くのか、自分でもわからへんねや(略)人間の心ちゅうのは、不思議な闇やということだけや(p.20)

  4. 中国が共産主義を棄てて資本主義国となれば、最も困るのは、アメリカと、その属国と化した日本ではないか(p.27)

  5. 厄介やのお。人生、とんでもないことが起こりよる(p.32)

  6. あの子は、おもしろい子ォや。見かけは、お母さんそっくりやけど、気性は松坂熊語や(p.42)

  7. 伸仁はやっと六歳。自分は五十六歳。自分は、まだまだ、汚濁の世で闘いつづけなければならぬ。熊吾はそう思い、そろそろ本腰を入れて、自分の取り組む事業を決めなければならぬと言い聞かせた(p.44-45)

  8. だから、イデオロギーなんか、わしにはどうでもええんじゃ(p.46)

  9. 疑いがあるってな言い方をする医者には診てもらわんことでえす。疑いがあるなら、ちゃんと診察して、結果を出したらええんや(p.54)

  10. しかし、研究者というのは、発明とか発見には血まなこにはなりますが、それをどう展開するかということには、案外、頭を使わんのです(p.65)

  11. 頭を使うたら、いろんな知恵がおのずと湧いてくる(p.66)

追記

※12月20日(火)以降に、余力があれば「追記」の上、再公開いたします。


第1章の「レジュメ」はここまでです。19日(月)20:30からの開催は、以下のURLで、Twitterスペースで行います。終了後は、同一URLに30日間録音が保存されます。

https://twitter.com/i/spaces/1yoKMZYmYdnGQ?s=20

最後までお読みくださいまして、ありがとうございました。それではまた。


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