なんでもない、いつもの朝のこと。
午前6時、携帯電話にセットしたアラームが鳴りはじめる。
夢から現実に引き戻された衝撃と、もう朝が来てしまったという事実に、すこし黙ってて、と思いながらアラームを止める。
少し夜ふかしすると眠くて仕方ない。あと5分だけ、と思いながら枕に顔をうずめる。起きてお弁当作らなきゃという気持ちと、今日くらいいいじゃんという気持ちが喧嘩しながらウトウトしていると、携帯のスヌーズが「起きて」と叫ぶ。わかったから、とアラームを切った。
猫が背伸びするみたいに、ベッドの中で身体を伸ばす。布団から出ると少しだけ空気が冷たい。まだ2月だもんな、と思いながらスリッパを履いて寝室を出る。
ガス栓を開けてコンロに小鍋とフライパンを置く。小鍋に水と出汁を入れて火にかける。冷凍庫を開けて、小分けに冷凍している野菜やお揚げを適当に鍋に入れる。耐熱ボウルを出して、冷凍していたブロッコリーを入れて電子レンジに入れる。小皿に冷凍食品をいくつか出して置いておく。
プラスチックの小さめのボウルを出して、冷蔵庫からウインナーと卵を取り出す。ウインナーは2本、直接フライパンに入れる。卵はプラスチックのボウルに割り入れて、砂糖と塩を少し入れる。ブロッコリーがチンできたら、次は冷凍食品を電子レンジに入れる。
フライパンを温めて油を敷く。ウインナーの隣で卵液を流し込む。固まってきたところで、菜箸でくるくると巻く。卵液を流し込む、巻くを繰り返す。焼き上がったらウインナーと一緒にまな板に置く。
小皿に出しておいた冷凍食品を電子レンジにかける。卵焼きを6つに切り分けて、ウインナーを1本だけ半分に切る。
お弁当箱を取り出して、まずは菜箸で卵焼きを入れる。冷凍食品を入れて、ウインナー、ブロッコリーの順に入れる。冷凍食品の小皿にあまった卵焼きとウインナーを置く。
「おはようございます」
旦那さんが起きてくる。キッチンの壁が邪魔して表情までは伺えないが、眠そうな声でそう言って洗面所に向かっていく。わたしは「おはよう」と返す。
小鍋の火を緩めて味噌を溶く。火を止めてお弁当の味噌汁の段とお椀を並べて味噌汁を分ける。お弁当はすぐに蓋をして魔法瓶のケースにセットする。
旦那さんは戻ってくるとお茶碗を手にとってご飯をよそう。木のトレーにご飯と卵焼きなどが乗った小皿とあまったブロッコリーのボウルとお箸を乗せてリビングに行く。わたしは冷蔵庫から納豆と、先程よそった味噌汁をトレーに乗せてリビングに向かう。
リビングダイニングのソファに座ると、お互いにそれぞれのトレーにあるご飯や味噌汁をお互いのトレーに置く。これでご飯の用意は完了。
ふたりで手をあわせて「いただきます」。
何気ない、いつものこと。なんでもない、いつもの朝のこと。
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