ハーベイ賞2024が発表されました!
2024年10月19日、アイズナー賞と並ぶアメリカの漫画賞「ハーベイ賞」2024がニューヨーク・コミコンで発表されました。
6つのカテゴリーでそれぞれ最優秀作品が選ばれました。
ノミネート作品については以下の記事をご覧ください。
では受賞作を見ていきましょう!
Book of the Year
Roaming
画:Jillian Tamaki(ジリアン・タマキ)、作: Mariko Tamaki(マリコ・タマキ) (Drawn & Quarterly)
2009年3月。高校時代の親友ダニエルとゾーイは、大学1年の春休みにニューヨークで再会することに。ダニエルの大学のクラスメイト、フィオナも一緒にさまざまな観光スポットをめぐる3人。お互いの大学生活、家族や将来のこと、セクシャリティについて対話を重ねるうち、長年の友情がゆらぎ始め——。大都市ニューヨークを舞台に繰り広げられる、繊細でみずみずしいクィア・ロマンス。
アイズナー賞2024でBEST GRAPHIC ALBUM—NEW、BEST WRITER、BEST PENCILLER /INKER OR PENCILLER/INKER TEAMと3冠に輝いた作品。
日本語版も2024年9月にトゥーヴァージンズさんから刊行。
原正人さんとのポッドキャスト「海外マンガの本棚」でも取り上げています!ぜひご視聴ください!
Digital Book of the Year
Friday
作:Ed Brubaker、Marcos Martin (Panel Syndicate)
クリスマス休暇に実家に戻った大学生フライデーに降りかかる不穏な出来事…。
アイズナー賞2021、2024のBEST DIGITAL COMICを2度受賞。
2021年から3年連続Digital Book of the Year受賞の『ロア・オリンポス』、4年連続ならず! まぁ2024年で完結してしまって今後どうなるのかなとは思ってはいたんで、違う作品が選ばれたことはとても興味深いです!
とはいえ『Friday』はアイズナー賞で2回Best Digital Comicを受賞しているすでに評価の高い作品。2024年にアイズナー賞、ハーベイ賞を両方獲得したというのは、今回の巻で面白い展開になってきたのか…私は未読ですが気になってしまいます。
Best Children's Book
Mexikid
作:Pedro Martin (Penguin Random House)
ペドロは彼のAbuelito(スペイン語でおじいちゃん)の話を聞いて育った。彼のおじいちゃんはメキシコ革命に参加した伝説的な人物。おじいちゃんが家族と一緒に暮らすことになったが、家はすでに8人の兄弟で大混雑。それほど喜んでいたわけではなかったが、おじいちゃんを家に連れて帰るためにメキシコへと向かうロードトリップで大切な体験をする。
アイズナー賞2024BEST PUBLICATION FOR KIDS受賞。
今年のハーベイ賞、完全にアイズナー賞とかぶってますね。それだけそれぞれの作品の評価が高いということなのかもしれませんが、個人的にはそれぞれの賞の特色が見えなくて少し残念です。
Best Young Adult Book
Roaming
画:Jillian Tamaki(ジリアン・タマキ)、作: Mariko Tamaki(マリコ・タマキ) (Drawn & Quarterly)
Book of the Yearと2巻です!アイズナー賞でも3冠しましたが、ハーベイ賞も2冠。賞の数が少ないハーベイ賞の2冠は大きいですね。圧倒的でびっくりです。
Best Manga
Delicious in Dungeon『ダンジョン飯』
作:Ryoko Kui(九井諒子)、翻訳:Taylor Engel (Yen Press)(日本語版はKADOKAWA)
アニメ化の影響もあると思いますが、本当に海外の方の『ダンジョン飯』人気はすごくてSNSでめちゃくちゃファンアートが流れてきてました!
ハーベイ賞ではここ2、3年、藤本タツキの『チェンソーマン』が席巻してましたが、新風が吹き始めていますね。
Best International Book
Blacksad Vol. 7『ブラックサッドそして、すべて堕ちる[後編]』
作:Juan Diaz Canales(フアン・ディアス・カナレス)、画:Juanjo Guarnido(フアンホ・ガルニド)、翻訳:Diana Schutz and Brandon Kander (Europe Comics)(日本語版はユーロマンガ、大西愛子訳)
原書は『Blacksad Tome 7, Alors, tout tombe. Seconde partie』(フランス、Dargaud)
50年代のアメリカを舞台にした黒猫探偵ブラックサッドの大人気ノワールシリーズ最新作。
アイズナー賞2024のBEST U.S. EDITION OF INTERNATIONAL MATERIAL受賞。
これもアイズナー賞と同じですね。6巻が刊行された時もアメリカのマンガ賞を占有しましたが、やはりアメリカでの『ブラックサッド』人気は根強いのですね。
Best Adaptation from Comic Book/Graphic Novel
X-Men ‘97 by Marvel Animation & Disney+, based on X-Men (Marvel)マーベルアニメ『X-Men ’97』
残念ながら私はこのアニメを視聴していないし、X-Men自体もあまり詳しくないのですが、ハーベイ賞を受賞したのでちょっと見てみようかなと思います。
Hall of Fame(殿堂入り)
2024年10月11日には殿堂入りしたアーティストの発表もされました。
今年は3月にお亡くなりになった鳥山明 (『ドラゴンボール』『SAND LAND』)、Arthur Adams (Uncanny X-Men)、Larry Hama (G.I. Joe: A Real American Hero)、Sergio Aragonés (MAD)、John Buscema (The Avengers)の5人が受賞しました。
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さて今年のハーベイ賞2024受賞作品はいかがでしたでしょうか?
けっこうアイズナー賞2024の受賞作品と同じだったりして少し物足りなさもありましたが、それだけ各作品がアメリカで評価されているということなんでしょうね。
ハーベイ賞は今年からノミネート作品がかなり増えました。ノミネートされるだけでもすごいことだし、興味深い作品も多かったので、そちらもぜひチェックしてみてください!
参考資料:過去の受賞作品
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