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アメリカのマンガ賞ハーベイ賞2021受賞作品をご紹介します
2021年10月8日夜(現地時間)、ニューヨーク・コミコンにて、アメリカでもっとも権威のあるマンガ賞のひとつハーベイ賞2021の受賞作品が発表されました!
ノミネート作品についてはこちらのYoutubeライブ動画でご紹介していますので、ぜひご視聴ください!
2021年の受賞作品についても簡単な動画を作っているので、よかったらこちらもどうぞ!
では受賞作品を詳しく見ていきましょう!
Best of the Year & Best Children or Young Adult Book
2021年のベスト・オブ・ザ・イヤーはTrung Le Nguyen(トラン・リ・グウェン)さんの『The Magic Fish』が受賞しました。
なんと、ベスト・チルドレン・オア・ヤングアダルト・ブックとのダブル受賞です!
作者のトラン・リ・グウェンさんは1990年生まれ。実はこの『The Magic Fish』が単行本デビュー作になります。デビュー作でハーベイ賞ダブル受賞しちゃうなんてスゴイ!
ベトナム系アメリカ人で、幼いときにアメリカにやってきたトランさん。
それは『The Magic Fish』の主人公ティエンと重なります。
主人公の少年ティエンは、英語の不得意な母親のためにおとぎ話を語り聞かせます。語られるおとぎ話は人魚姫とシンデレラをあわせたようなストーリー。王子に秘密を抱えるプリンセスの物語は、幼馴染の少年に片思いしているティエンの現実の物語とリンクしていきます。
現実の世界、おとぎ話のストーリー、過去の回想が交差しながら進むストーリーテリングがとても巧みです。
そしてゲイのティエンは仲の良い母親にカミングアウトしたいと考えるのですが、ベトナム語でゲイを表す言葉がないことに悩みます。
LGBTQをテーマとした作品としても素晴らしいのです。
トラン・リ・グウェンさんは2021年のアイズナー賞で、ベスト・ライター/アーティスト賞にもノミネートされていました。惜しくも受賞にはなりませんでしたが、少女漫画を思わせるようなとても可愛く美しい描画です。
Digital Book of the Year
ベスト・デジタル・ブックは、Rachel Smythe(レイチェル・スミス)さんの『Lore Olympus(ロア・オリンポス)』が選ばれました!
こちらの作品はウェブトゥーンで、LINEマンガでも日本語版を読むことができます。
日本で読めるウェブトゥーン(縦スクロールマンガ)だと韓国の作品が多いですが、レイチェル・スミスさんはニュージーランドの出身。英語圏のウェブトゥーンが日本語で読めるのはかなり珍しいように思います。
ギリシャ神話を現代風に大胆にアレンジした大人のラブストーリーです。
冥府の神ハデスと、神話ではハデスの妻となる大地の女神ペルセポネのロマンが描かれます。ほかにもお馴染みのギリシャ神話の神々がたくさん登場します!
どうやら2021年11月に単行本の1巻、2022年2月に2巻が発売されるようです!(英語版ですが)
Best Adaptation from Comic Book/Graphic Novel
マンガ原作の映像化・ゲーム化作品を表彰するベスト・アダプテーションは、ディズニープラスで配信中のマーベルドラマ『ワンダビジョン』が受賞しました。
『 アベンジャーズ/エンドゲーム 』 のその後を描く、マーベル・スタジオ初のオリジナルドラマシリーズ。60年代のアメリカのホームドラマを思わせるような予告編も話題になりましたね。
残念ながら私は見ていないので、ストーリーについて詳しく語ることはできませんが、ぜひ気になる方はご視聴ください。
Best Manga
日本のマンガを表彰するベスト・マンガ。ノミネート作品の中には、ハーベイ賞と並ぶアメリカのマンガ賞アイズナー賞を受賞した伊藤潤二さんの『地獄星レミナ』も選ばれていましたが、最優秀賞に輝いたのは藤本タツキさんの『チェンソーマン』でした!
日本でも大人気で、つい先日ジャンプ+で公開された『ルックバック』も超絶話題になった藤本タツキさん! アメリカでも人気なんですね。
悪魔と契約して悪魔と戦うデビルハンター。超貧乏な主人公デンジは、チェーンソーの悪魔ポチタとともにデビルハンターとして働いていたが…。
とても勢いのあるマンガです!
Best International Book
最後の部門はベスト・インターナショナル・ブック。
英訳された海外マンガの部門で、2021年の最優秀賞はYeong-shin Ma(マ・ヨンシン)さんの『Moms』が受賞しました。
テーマは、中年女性の恋愛。
安い給料でこき使われるパートタイムの仕事、不誠実な夫、そして夫以外のボーイフレンドに悩まされる50代の3人の母親が登場します。
ハーベイ賞といえば、2020年のベスト・インターナショナル・ブックは、日本語訳も出たキム・ジェンドリ・グムスクさんの『草 日本軍「慰安婦」のリビング・ヒストリー』。
2年連続で韓国のグラフィックノベルが受賞しています。
韓国のマンガというと、ウェブトゥーンがたくさん日本語で紹介されていますが、グラフィックノベルも目が離せませんね。
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