見出し画像

海外マンガ情報誌「モリマチ。」Web版 海外マンガTOPICS―2025年2月

書肆喫茶moriの店主が気になった海外マンガのニュースをご紹介する「海外マンガ情報誌「モリマチ。」Web版 海外マンガTOPICS」。
本記事では2025年2月のニュースをご紹介します。
バンド・デシネ翻訳者の原正人さんとやっているポッドキャスト「海外マンガRADIO」では、ここで紹介していない海外マンガに関するニュースについてもお話していますので、よかったらこちらもご覧ください。


アングレーム国際漫画祭各賞発表

1月31日から2月2日にかけて開催されていたフランス最大規模のマンガの祭典「アングレーム国際漫画祭2025」にて、今年のグランプリと漫画賞が発表されました。受賞作品につきましては以下の記事に詳しくまとめています。ぜひご覧ください。

フランスのウェブトゥーンプラットフォーム「Allskreen」がLe Lombardと提携

フランスの出版社Ankamaが運営するウェブトゥーンプラットフォーム「Allskreen」と出版社のLe Lombardが提携することが2月1日の記事で明らかになりました。この記事のよると両社の提携によってLe Lombardの新作バンド・デシネ『Daemon』のウェブトゥーン版がAllskreenで配信されるとのことです。

Allskreenでは、日本でもアニメ化されたトニー・ヴァレントラディアンやユーロマンガで連載されていたマリキのブログのウェブトゥーンが掲載されているほか、Ankamaが運営するMMORPGWakfuのマンガ版も配信されています。そのあたりの事情は以下の記事にもまとめていました。

Ankamaの作品は若年向けのMANGAに近い作品が多い印象だったのですが、今回の提携によってまた違う対象へとターゲットを広げたいという目的のようですね。本記事についてはいつも拝見させていただいてる菊池健さんの「マンガ業界Newsまとめ」で知りました。

チェコの漫画賞「ムリエル賞」で『ひこばえ』収録の『さようなら』が最優秀短編コミック賞にノミネート

2月2日、ぺピーク・ストジェハの大冒険の翻訳者でありチェココミックの紹介者でもあるジャン=ギャスパール・パーレニーチェクさんによる、チェコ共和国で最も権威のある漫画賞「ムリエル賞」のノミネート作に関する投稿がありました。最優秀短編コミック部門でひこばえに収録されたドミニカ・リザノヴァさんの『さようなら』がノミネートされたそうです。
なお2月25日にひこばえを紹介する動画3本を書肆喫茶moriのYouTubeチャンネルにて公開しました。下の「書肆喫茶mori個人的ニュース」に詳細をお知らせしていますのでご覧ください。

チェコ語なので自信がありませんが、当店にも来てくださったカタリナさんの『V oku lišky』が最優秀作品賞と子ども向け部門賞にノミネートされています。この作品は第16回日本国際漫画賞に入賞したサイレントマンガ『リサイクルきもの』にテキストとイラストを追加した増補版。前日カタリナさんが来日された際にプレゼントしていただきました。日本人が描いたのかと思うほどレトロ日本な雰囲気の漂う作品です。そして翻訳マンガ部門には私の大好きなマチュー・バブレの『カーボン&シリコン』も選ばれていました。

2月26日にはミュリエル賞の各受賞作品が発表されました。

アリソン・ベクダル原作『ファン・ホーム』のミュージカルが3月に上演

アリソン・ベクダルの傑作自伝マンガファン・ホーム(椎名ゆかり訳、小学館集英社プロダクション刊)のブロードウェイミュージカルが2025年3月20日から23日まで東京の池袋シアターグリーンBASE THEATERで上演されます。

アリソン・ベクダルのファン・ホームと言えばバンド・デシネ翻訳者の原正人さんとやっているポッドキャスト「海外マンガの本棚」でも取り上げたばかり。再読して改めて素晴らしい作品であると確信しました。

マチュー・バブレ『Silent Jenny』の原画がアングレームで展示

2月11日、COMICSBLOGでマチュー・バブレの新作『Silent Jenny』に関する記事が掲載されました。1月31日から2月2日に開催されたアングレーム国際漫画祭でボードが展示されたそうで、記事中にも画像が公開されています。女性科学者が主人公でマチュー・バブレ版ナウシカ(?)という触れ込みもありましたが、今回の記事では「モナド」と呼ばれる巨大な移動都市の姿があらわになりました。ますます刊行されるのが楽しみでなりません。刊行は2025年9月とのことです。待ち遠しいです。

フランスのイベント「Paris City Pop」のアートブックがクラファン中

日本にもさまざまな同人誌即売会イベントがあるようにフランスにも同じようにアーティストの出店イベントがあります。その中で私が気になっているのが「Paris City Pop」です。規模的にはコミケやコミティアほど大きくはなさそうですが、好きな漫画家さんが参加されてたんですよね。いずれ行ってみたいです。
その「Paris City Pop」参加アーティストの作品が収録されたアートブックのクラウドファングがフランスのクラファンサイトUluleで2月10日にスタートしました。3月11日まで実施されています。どうやら毎年こういうアートブックを出しているようですね。日本にも配送してくれるようです。

韓国のウェブトゥーンプラットフォームPeanutoon2月末でサービス終了

女性向け作品を中心に配信している韓国のウェブトゥーンプラットフォーム「Peanutoon(피너툰)」が2025年2月末でサービスを終了しました。日本で配信されていたPeanutoon作品も2月末で配信終了となりました(購入済み作品は読むことは可能)。
プラットフォーム自体がサービスを終了してしまうと、購入済みの作品を読むことができなくなるというのがウェブメディアの辛いところです。

以下はPeantoon作品の邦訳版を9作品刊行していたフォー・リーダーズさんの投稿です。フォー・リーダーズさんは韓国のウェブトゥーン作品には珍しく翻訳者さんの名前の明記にも力を入れておられたところ。再配信や続きの配信も期待しています。

タテ読みマンガアワード2024結果発表

コミックナタリーが主催する「タテ読みマンガアワード」2024の結果が2月20日に発表されました。国内作品部門、海外作品部門、完結済み部門の3つの部門で作品の推薦を受け付けたのち、投票によって受賞作品が決定されました。

海外作品部門の1位は夫を味方にする方法、2位今世は当主になります、3位悪役のエンディングは死のみ。4位のゴッド オブ ブラックフィールド19位全知的な読者の視点から以外は女性向けロマンスファンタジーものです。女性向け作品が強いですね。
完結済み部門は1位阿賀沢紅茶さんの氷の城壁をはじめ、2位かたわれ令嬢が男装する理由、3位サレタガワのブルーと上位は国内作品が占めるものの、4位以降は韓国の作品が多数を占め、世界的にヒットしている俺だけレベルアップな件は8位、私が唯一最後まで読んだ皇帝と女騎士は15位でした。

バンド・デシネ翻訳者の原正人さんの新しいポッドキャスト「マンガ翻訳なんやかんや」スタート

2月23日に、バンド・デシネ翻訳者の原正人さんの新しいポッドキャスト「マンガ翻訳なんやかんや」がスタートしました。第1回はご挨拶として、原さんの経歴や今後のポッドキャストについて紹介されました。

2月26日に配信された第2階では世界のマンガを翻訳出版するレーベル「サウザンコミックス」についてご紹介されています。

ホビージャパンが海外BLの新レーベル「ルナティックロマンス」を3月スタート

ホビージャパンが、台湾・韓国・中国などアジア圏を中心とした海外で人気のBLコミックを翻訳出版する新レーベル「ルナティックロマンス」を2025年3月から始動するそうです。公式Xの紹介文では「まるで一本の映画やドラマを見るような、満足度の高いストーリーをお届けします!」とのこと。とても楽しみですね。
その第一弾は台湾のTaaROさんの『彼のシュシュと消せない夏』『青春△(トライアングル)』第1巻。特に『彼のシュシュと消せない夏』は台湾の第12回金漫賞で年度漫画賞を受賞した作品。台湾ではR18のBLマンガとして刊行されたもので漫画賞に入選することにめちゃくちゃ驚き、読んでみたいと思っていました。邦訳してくれて本当にありがとうございます。

ヨルダンの漫画家Dee Juusanさんのインタビュー記事が公開

第18回日本国際漫画賞『Grey is…』が入賞したヨルダンの漫画家Dee Juusanさんのインタビュー記事が2月25日アラブニュース・ジャパンで公開されました。『Grey is…』は過去のトラウマを抱えたホワイトと、彼の幼馴染で正反対の性格をしているブラックとの友情の物語です。またウェブトゥーンの形式で描かれたサイドストーリー『Grey is Clipping』第23回メディア芸術祭マンガ部門で審査委員会推薦作品にも選ばれています。

『Grey is…』は記事にもある通りウェブ上で公開されています。以下のサイトから読むことができますのでご覧ください。

実はありがたいことに自費出版で刊行された『Grey is…』の単行本1-9巻を当店に送っていただきました。ご興味のある方はぜひお店に読みに来てください!

書肆喫茶mori個人的ニュース

ベトナムの漫画喫茶事情の記事に引用いただきました!

2月9日に公開された下のnote記事に書肆喫茶moriの記事を引用していただきました。拝読したのですが、めちゃくちゃ面白い記事でした! ここのところ私がとても気になっているベトナムのマンガ事情、漫画喫茶事情が紹介されています。ベトナムで日本のマンガも人気だろうなぁとは思っていたのですが、韓国のマンガも人気なんですね。

ベトナム、日本国際漫画賞でもちょいちょい入賞していて、ただいまとても気になっています。なかなか東南アジアのマンガ情報は入ってこないのですが、とても貴重な情報ですね。ベトナムのマンガについては以下の記事にも少しご紹介していますので、ぜひご覧ください。

ワダシノブさんとのポッドキャスト「ワダモリ」第4回を配信しました!

イタリア在住のイラストレーター・漫画家のワダシノブさんとやっている、「好きなことを好きに語るポッドキャスト ワダモリ」。ゆるいオタクのふたりがゆるーくオタク話をしています。2月10日には第4回『Arcane(アーケイン)』を配信しました。ネットフリックスで2024年にシーズン2が配信されたアニメ。映像も音楽も本当に素晴らしいのですが、その中の登場人物のひとりについて熱く語っています。ぜひお聞きください!

チェコから来日されたシュライフさん、パーレニーチェクさん、西ボヘミア大学の学生さんの動画をアップしました!

実は2024年8月に、チェコから素敵なゲストが当店を訪問してくださいました! それはぺピーク・ストジェハの大冒険の翻訳者でもあるジャン=ギャスパール・パーレニーチェクさんと、チェコの漫画家ヴァーツラフ・シュライフさん、そして西ボヘミア大学の学生さんたちです。
日本をテーマにチェコの学生さんがマンガを描くアンソロジーIOGIの第2弾になるひこばえで舞台となった場所を訪問するツアーのラストに当店に寄ってくださいました。動画では発案・監修をされたシュライフさんとパーレニーチェクさんにプロジェクトについてお聞きしたり、学生さんに実際にマンガに描いたスポットを訪問した感想を聞いたりしています。ぜひご覧ください!

チェコの学生さんが日本をテーマにマンガを描くアンソロジーひこばえは日本語版も刊行されています。

書評・レビューなど

DUCKS(ダックス)仕事って何?お金?やりがい?』(伊藤剛さん)

隙間』(高妍さん×奈良美智さん対談、コミックナタリー)

マンガでわかるカルロ・ロヴェッリの物理学』(ドミニク・チェンさん、読売新聞)

マンガでわかるカルロ・ロヴェッリの物理学』(ヤマケイの本)

未来のアラブ人』(著者インタビュー、朝日新聞)

イベント予定

2月7日(金)~3月2日(日):PETER MANNNNNTION漫画と音楽作品展@京都蔦屋書店(京都)

3月2日(日)16:00~:『大邱の夜、ソウルの夜』読書会~著者ソン・アラムさんを囲んで~@雑貨と本gururi(東京)

3月4日(火)18:45~:ソン・アラムさん講演会@ブックハウスカフェ(東京)

3月4日(火)20:00~:「海外マンガ勉強会#10」@オンライン

3月5日(水)19:00~:ソン・アラム×森崎雅世×青木鋼浩トークライブ「世界のグラフィックノベルを考える」@梅田Lateral(大阪)

3月6日(木)19:00~:『大邱の夜、ソウルの夜』著者と語る読書会 ソン・アラムさんを囲んで@書肆喫茶mori(大阪)

3月7日(金)19:30~:「韓国マンガ『大邱の夜、ソウルの夜』 作者来日記念  ソン・アラムさんトークイベント」@本屋ルヌガンガ(香川)

3月7日(金)20:00~:サウザンコミックス第10弾『ガウディの幽霊』翻訳出版プロジェクト作戦会議@オンライン

3月9日(日)16:30~:「大邱の夜、ソウルの夜、そして福岡の夜」@本のあるところajiro(福岡)

3月27日(木)19:00~:「言葉の職人」インタビューbyワイズ・インフィニティ・スクール@オンライン

3月29日(土)19:00~:「推しマンガを語る会」@書肆喫茶mori(大阪)

4月17日(木)18:30~:「世界のマンガについてゆるーく考える会#22」@としま区民センター(東京)

海外マンガの本棚(2025年2月公開)


いいなと思ったら応援しよう!

書肆喫茶mori~海外コミックスのブックカフェ
海外マンガの情報発信とお店を続けていくために大切に使わせていただきます!応援よろしくお願いします!