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海外マンガ情報誌「モリマチ。」Web版 海外マンガTOPICS―2025年1月

書肆喫茶moriの店主が気になった海外マンガのニュースをご紹介する「海外マンガ情報誌「モリマチ。」Web版 海外マンガTOPICS」。
本記事では2025年1月のニュースをご紹介します。
バンド・デシネ翻訳者の原正人さんとやっているポッドキャスト「海外マンガRADIO」では、ここで紹介していない海外マンガに関するニュースについてもお話していますので、よかったらこちらもご覧ください。


映画『HERE』のロバート・ゼメキス監督がNHK番組に出演

1月3日にNHK総合で放送された「世界の春日プロジェクト ニューヨークへ行く」に、ロバート・ゼメキス監督がサプライズ出演されたそうです。ロバート・ゼメキス監督と言えば、リチャード・マグワイア原作のマンガHEREの映画公開を控えています。

リチャード・マグワイアのHEREは同じアングルの定点カメラでとある部屋の歴史を映し出す異色のマンガ。これもマンガと言っていいのか、と思うほどマンガの可能性を感じさせてくれる作品です。その一方、わかりやすいストーリーとはいえないため、果たしてこれがどのように映画化されるのかが、いやがおうでも期待が膨らみます。

しかも名優トム・ハンクスをはじめ名作映画『フォレストガンプ/一期一会』のスタッフ&キャストが再結集するということで話題になりました。映画『HERE 時を越えて』は4月4日全国公開予定です。

フランスの漫画賞Fnac France InterBD賞2025の受賞作品発表

1月8日、フランスの漫画賞Fnac France InterBD賞(フナック・フランスアンテールBD賞)2025が発表されました。最優秀賞はWill McPhail(ウィル・マクファイル)のIn: A Graphic Novel2022年アイズナー賞ノミネート2023年にはイタリアのマンガ賞にもノミネートされ、ACBDコミック賞2024のグランプリを受賞しています。さらにアングレーム国際漫画祭2025公式セレクション、ACBD批評グランプリ2025ノミネートされており、英語圏作品ながら2024年のフランス語圏で話題になっている作品です。
ノミネート20作品については以下の記事で詳しく紹介しています。

ユベール&ザンジムのバンド・デシネ『男の皮』映画版のキャスト発表

2024年にクラウドファンディングに挑戦したユベール&ザンジムのバンド・デシネ男の皮。フランスでは2025年1月からミュージカルが上演されるなどとても人気の高い作品です。2023年には映画化されるというニュースがありましたが、1月10日に映画版のキャストが発表されました。
レア・ドムナック監督の前作ベルナデット 最強のファーストレディでシラク元大統領夫人を華麗に演じたカトリーヌ・ドヌーヴが再び出演。カトリーヌ・ドヌーヴというと『男の皮』がオマージュしたとされるシャルル・ペローのおとぎ話『ロバの皮』を映画化した1970年製の『ロバと王女』で主演もしています。そのほか、カリン・ヴィアールや、歌手としても人気のクレール・ポメ(=ポム)(ビアンカ役??)、同性愛者であるとカミングアウトしているエディ・ド・プレット(ジョバンニ役??)の名前が挙がっています。

レア・ドムナック監督のインスタグラムでは「2026年に会いましょう」というコメントが…! 完成が楽しみでならないですし、日本でも劇場公開されてほしいです。

レア・ドムナック監督のベルナデット 最強のファーストレディについてはこちらも記事もご覧ください。この映画も本当に面白かったので『男の皮』の映画も期待大です! 

イザベル・アルスノーさんのトークイベント開催

1月12日(日)、京都国際マンガミュージアムでカナダ・ケベックのバンド・デシネ作家イザベル・アルスノーさんのトークイベント「グラフィックノベルにこめたメッセージ」が開催されました。イザベル・アルスノーさんは店主の大好きなバンド・デシネ作家のひとり。今回の来日で関西でもイベントがあったことがとても嬉しいです。
イベントではイザベルさんのこれまでの来歴や、いくつかピックアップされた作品についての思いを聞くことができました。コレットのにげたインコは邦訳は1冊しかありませんがシリーズ作品で現在3作まで刊行されており、なんと10人の登場人物それぞれの物語を描く予定だとのこと。200ページほどの長編も描いてみたいというお話も聞けてとても楽しかったです。
トークイベントの後にはサイン会もあり、私も大好きなジェーンとキツネとわたしにサインをいただきました!

第18回日本国際漫画賞の受賞作品発表

1月16日、外務省主催の第18回日本国際漫画賞の受賞作品が発表されました。最優秀賞はブラジルのHiro Kawaharaさんによる『A Sereia da Floresta(森の人魚)』が受賞しました、入賞された15作品は地域も内容もバラエティ豊かで楽しいです。詳細は以下の記事にまとめています。

ドイツの女性マンガ『今日が人生最後の日』のクラファンイベント開催

現在、日本語版の翻訳プロジェクトのクラウドファンディングを実施中のドイツの女性マンガ今日が人生最後の日。1月16日には東京・谷中にある雑貨と本gururiにてイベントが開催されました。Twitchで配信されたアーカイブ動画もあります。今日が人生最後の日がどのような作品なのか、日本における海外マンガの状況などもお話されていてとても興味深かったです。

さらに1月22日にはポッドキャスト「ボックス席の深夜2時」でも紹介されています。今日が人生最後の日のクラウドファンディングは2月10日まで。

サウザンコミックス第10弾『ガウディの幽霊』クラウドファンディング開始

1月21日、サウザンコミックス第10弾『ガウディの幽霊』のクラウドファンディングがスタートしました。発起人は京都在住のスペイン人マリアさん。『ガウディの幽霊』はガウディの建造物で起きる猟奇殺人事件を描いたスペインのサイコスリラーマンガ。ガウディの建築に興味があるので、この作品もとても楽しみです。

マリアさんのnoteでも作品について詳しく紹介されています。

海外マンガもOK!「10代がえらぶ海外文学大賞」創設

1月22日に「10代がえらぶ海外文学大賞」が創設されることがSNS上で明らかになりました。その名の通り、10代が主人公の海外文学を、10代がえらぶ文学賞。海外マンガや絵本も対象です。2024年に刊行された作品の中から5月1日から14日までに第1次投票として推薦作品が募集され、その後7作品に絞り、9月に開催予定の第2次投票で受賞作が決定されます。第1次投票は10代でなくても応募可能だそうです!

仏Label 619と米Magnetic Pressが提携

私の大好きなマチュー・バブレやギヨーム・サンジュランが参加するコミックレーベル「Label 619」と北米の出版社Magnetic Pressが提携するというニュースが1月31日にSNSで明らかになりました。Magnetic Pressはこれまでマチュー・バブレ作品やギヨーム・サンジュランの『Frontier』の英語版を刊行してきた出版社。今後、Label 619作品の英語版刊行が増えるものと考えられます。フランス語はハードル高いという方にも英語版であれば手に取りやすくなってたくさんの方に読まれるようになって嬉しいです。

書肆喫茶mori個人的ニュース

好きなことを好きに語るポッドキャスト「ワダモリ」を配信

イタリア在住のイラストレーター・漫画家のワダシノブさんとやっている、好きなことを好きに語るポッドキャスト「ワダモリ」。1月は1月4日に第2回「Alien Stage」と1月20日に第3回「Audible(オーディブル)」を配信しました。

第2回は韓国のMVコンテンツ『Alien Stage』。ご存じの方どのくらいいらっしゃいますでしょうか…? 昨年からドはまりした店主が、各ステージについてながながと解説してます。

そして第3回はワダさんのおすすめオーディブル。オーディブルと言えばニール・ゲイマン作コミックサンドマンが配信されていること(けど聞いたことない…)くらいしか知識がなかったのですが、ナレーターから選ぶ新しい本との出会い方を紹介してくださいました! ぜひお聞きください!

第1回漫海オンライン交流会を開始しました!

海外マンガ好きによる海外マンガ好きのための情報誌「漫海」を制作してきたげそにんちゃんと新たにオンライン交流会をはじめました! 1~2か月に1回くらいの頻度で、海外マンガに関する雑談や交流をする会です。1月26日(日)の夜に第1回を開催しました! 色んなマンガの話ができてとても楽しかったです! ぜひご興味がある方は次回ご参加ください!

白水社『ふらんす』2025年2月号で紹介いただきました!

1月20日発売の白水社『ふらんす』2025年2月号の福島祥行さんと國枝孝弘さんの「2024年の読書体験をふりかえる」という対談記事にて当店の名前が…!! ありがとうございます!

『男の隠れ家 2025年3・4月合併号』で書肆喫茶moriが紹介されました!

1月27日発売の『男の隠れ家 2025年3・4月合併号』で当店が紹介されました。「すべての読書家へ くつろぎのブックカフェ&バー」という特集で、東京と大阪のそうそうたるお店さんの中に当店を選んでくださり、ありがとうございます! この号のテーマは「書斎づくり」だそうで、マイ書斎を造りたいという方もぜひご覧ください!

『地球の歩き方 大阪2025~2026』で書肆喫茶moriが紹介されました!

1月30日発売の『地球の歩き方 大阪2025~2026』にて当店が紹介されました! アニメ・マンガ好きのMBS清水麻椰アナが当店をご紹介くださり、とても光栄です! 大阪に長年暮らす店主も知らなかった大阪情報満載! ぜひご覧ください!

新フードメニューの提供をスタートしました!

書肆喫茶moriで提供しているフードメニューを新しくしました!
ランチの新メニューはホットサンドランチ(スープ付き)。ツナメルトとハムチーズの2種からお選びいただけます。今後、具はいろいろ変えたりできたらなと思っています。ぜひご賞味ください!

スイーツメニューはフランスで人気の伝統菓子フラン・パティシエを手作りしています。カスタードクリームのタルトです。

フランは2月3日にはNHKの番組「グレーテルのかまど」でも取り上げらるとのこと。しかも様々なフレーバーのフランが生まれているそうで、当店でも今後はチョコ味とかフレーバーを変えたフランも作ってみようかなと思っています! こちらもよろしくお願いします!

香港映画「トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城塞」を観ました!

話題の香港映画「トワイライト・ウォリアーズ」を観てきました。1980年代の九龍城塞を舞台にした男たちの熱き絆。魔窟のような九龍城塞を活かしたアクションシーンがひたすらに美しく、強くカッコいいイケおじ(と青年)たちがたくさん出てきて目の保養でした。この作品、原作は余兒による小説『九龍城塞』なのですが、香港の人気漫画家である司徒劍僑さんによってコミカライズもされています。残念ながら現在品切れ中だそうですが映画がすごく良かったのでコミカライズも読みたいですね…。ちなみにコミカライズは第7回日本国際漫画賞の入賞作です。

そして私がいま香港の漫画家の中で注目しているPen Soさんによる関連書籍『浪漫大逃亡』も出ていたようです。Pen Soさんの建物描写は本当にすごいのでこれは見てみたい…!! が、こちらもすでに絶版だそうです。この書籍には付録でカセットテープがついて来たそうなんですが、ネット検索をしていたらPen SoさんのYouTubeチャンネルで主題歌らしき動画を見つけました。

イベント予定

2月4日(火):海外マンガ勉強会#9@オンライン

2月7日(金)~3月2日(日):PETER MANNNNNTION漫画と音楽作品展@京都蔦屋書店(京都)

2月11日(火・祝)~16日(日):「ケベックって、どんなとこ?」@タバネルブックス(東京)

3月:『大邱の夜、ソウルの夜』作者ソン・アラムさんの来日イベント@東京、大阪、福岡

大阪でのイベントは当店も関わらせていただきます。詳細は追ってお知らせいたしますので、楽しみにしていてください。

海外マンガの本棚(2025年1月公開)


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