海外マンガ情報誌「モリマチ。」Web版 海外マンガTOPICS―2024年10月
書肆喫茶moriの店主が気になった海外マンガのニュースをご紹介する「海外マンガ情報誌「モリマチ。」Web版 海外マンガTOPICS」。
本記事では2024年10月のニュースをご紹介します。
バンド・デシネ翻訳者の原正人さんとやっているポッドキャスト「海外マンガRADIO」では、ここで紹介していない海外マンガに関するニュースについてもお話していますので、よかったらこちらもご覧ください。
「タテ読みマンガアワード2024」推薦作品の投票開始
10月1日、ユーザー投票によって決定する縦読みマンガの漫画賞「タテ読みマンガアワード」がコミックナタリーで公開された。部門は連載中の「国内作品部門」、「海外作品部門」と、完結済みの国内外作品を対象とする「完結済み部門」の3部門。10月21日まで推薦作品の受け付けられ、12月2日にノミネート作品発表。結果は2025年2月3日に発表予定。
サウザンコミックス第10弾スペインのマンガ『ガウディの幽霊』事前登録開始
早くもサウザンコミックス第10弾の企画が始動したとのことが、10月1日夜の原正人さん主催の「海外マンガ勉強会」でお知らせがあった。スペインのマンガ『ガウディの幽霊』で、ガウディの建造物で起きる猟奇殺人を描いたサイコスリラーものとのこと。原作はジャパニーズホラー『自殺の森』(河出書房新社)や、『ナンシー・イン・ヘル』『Roman Ritual 退魔師ジョン・ブレナン』(WagaComix)の邦訳が出ているエル・トーレス(El Torres)。作画はアニメーション映画『スパイダーマン:スパイダーバース』にキャラクターデザインとしても参加していたヘスス・アロンソ・イグレシアス(Jesús Alonso Iglesias)。ただいま事前登録受付中。
ピエール・クリスタン死去
「スターウォーズ」にも影響を与えたと言われるフランスのSFバンド・デシネの金字塔『ヴァレリアン』の作者として知られるバンド・デシネ作家ピエール・クリスタンが10月3日この世を去った。享年86歳。
『ハートストッパー』Netflixドラマシーズン3配信開始
10月3日、アリス・オズマンのマンガ『ハートストッパー』のNetflix実写ドラマのシーズン3が配信をスタートした。全8話で、原作マンガの4、5巻を描く。
そして原作マンガ(英語版)も10月1日に新章である第8章がスタートした。原作は全6巻で完結予定。果たしてチャーリーとニックの物語はどのような結末を迎えるのか…?
フランスACBD子ども向けマンガ賞2024ノミネート作発表
10月4日、フランスのACBDが主催する子ども向け漫画賞のノミネート作品5作品が発表された。グランプリは11月23日、ブロワで開催されるbdBOUMフェスティバルで発表される予定。
「-BLOSSOM- 台漫満開・百花繚乱」開催
アニメイト池袋では10月11日から、角川武蔵野ミュージアムでは10月14日から台湾マンガのイベント「-BLOSSOM- 台漫満開・百花繚乱」が開催された。
アニメイト池袋では台湾のBL・GL作品13点が展示。18日には台湾のマンガ家MAEさんと日本のマンガ家ためこうさんとのトークイベントも開催された。
角川武蔵野ミュージアムでは台湾の人気漫画家である常勝、高妍、AKRU、星期一回收日、簡嘉誠、韋蘺若明の6名が「台湾の日常風景」をテーマにしたオリジナルイラストを展示するほか、国際漫画賞を受賞した10作品や、メディアミックス作品などの貴重な資料が展示された。10月14日にはオープニングイベントとして6名のマンガ家によるトークショーが開催された。
アメリカのマンガ賞「ハーベイ賞2024」発表
10月17日から20日にかけて開催されたニューヨーク・コミコン。そのなかでアメリカのマンガ賞「ハーベイ賞2024」のグランプリが発表された。Best of the YearとYoung Adult Bookには、マリコ・タマキ、ジリアン・タマキの『ローミング』が選ばれた。
『ネオノミコン』シリーズ完結記念対談イベント開催
10月20日、アラン・ムーアのクトゥルー神話4部作「ネオノミコンシリーズ」が完結したことを記念した翻訳者の柳下毅一郎さんと風間賢二さんのトークイベントが開催された。オンライン視聴は11月4日まで購入可能。
台湾のマンガ賞、第15回「金漫奨」発表
10月25日、台湾の文化部主催のマンガ賞、第15回「金漫奨」が発表された。グランプリに選ばれたのは、日本統治時代に作家の頼和が発表した小説を漫画化した阮光民さんの『一桿秤仔(漫画版)』。阮光民さんは邦訳された『用九商店』の作者でもある。新人賞には呉識鴻さんの『OKEN:詩的端倪』、年度漫画賞には『一桿秤仔』のほか、鸚鵡洲さん、薛西斯さんの『不可知論偵探2:悪人正機編(上)』、廃廃子さん、簡莉穎さんの『直到夜色温柔』、盧卡斯 Lucas Paixãoさんの『性星冒険記:盧卡斯情色漫画精選』、阿宝灰灰さんの『大猫族石橋之後』、銀甫さんの『人偶3(完)』がそれぞれ選ばれた。
フランスの「ケ・デ・ビュル漫画祭」マンガ賞受賞作品発表
25日から27日にかけて、フランスでアングレーム国際漫画祭に次ぐ漫画祭であるケ・デ・ビュル(Quai des Bulles)漫画祭が開催され、マンガ賞の受賞作品が発表された。Prix Ouest-France(西フランス賞)にはLou Lubieの『Racines』、Prix Révélation ADAGP(新人賞)はSalomé Lahoche『Ernestine』が選ばれた。ノミネート作品については以下の記事で紹介している。
第2回カタカナマンガ虫干会が開催
10月27日、海外マンガ蒐集家やつはしさんが蔵書を披露する「第2回カタカナマンガ虫干会」がなかのZEROで開催された。会場ではやつはしさんが作成中の未邦訳バンドデシネ紹介誌「ベデケート」も配布された。
女性マンガの編集・出版で有名なシュークリームがドイツのマンガのクラファン準備中
10月29日、フィールヤングなど女性マンガやBLの編集・出版で有名なシュークリームの新たなプロジェクト「ShuCreamGW(=ShuCream Global Women's comics)」が始動した。第1弾として11月8日からドイツのコミックス『今日が人生最後の日』(著ウリ・ルスト)のクラウドファンディングを開始する。世界の女性マンガをどんどん邦訳してもらいたいので要注目。
書肆喫茶moriがFM京都ラジオに出演
10月29日、京都FMαステーションの番組「ONE FINE DAY」に書肆喫茶moriの店主が、関西日仏学館広報の長谷川さと子さんと出演した。海外マンガや書肆喫茶moriのこと、現在クラファン中の『男の皮』についてもご紹介させてもらった。
イベント予定
9月7日〜12月8日:マンガ表現と〈自由〉-アジアの女性作家を中心に-香港・シンガポール・マレーシア@北九州市漫画ミュージアム
11月5日:海外マンガ勉強会#6(オンライン)
11月8日:「バンド・デシネの旅:ケベック、フランス、日本を巡って ―フレデリック・アントワン氏との対談」@書肆喫茶mori(大阪)
11月9日:「世界探訪#9 フランスのB.D.&MANGA 日仏マンガ交流@池袋」@としま区民センター(東京)
11月10日:「フランスMANGAはおもしろい!大人気作家に聞く、MANGAの魅力と創作のアイデア」@北九州市漫画ミュージアム(福岡)
11月11日:「バンド・デシネから二人三脚の翻訳へ ー フレデリック・アントワン氏と四方弥生氏(翻訳者)による講演」@京都外国語大学(京都)
11月13日:対談「フランスにおけるマンガ文化」@横浜日仏学院(神奈川)
11月15日:「フランス産マンガのパイオニア 『ドリームランド』のルノー・ルメールを迎えて」@明治大学中野キャンパス(東京)
11月16日:第9回アメコミビブリオバトル@日比谷図書文化館(東京)
11月16日:ルノー・ルメールサイン会@メゾン・プティ・ルナール(東京)
11月17日:ルノー・ルメール トークショー「マンガを受け継ぐ:マンガからMangaへ、そしてMangaからマンガへ」@京都国際マンガミュージアム(京都)
11月30日、12月1日:ジャパンコミックアートエキスポ2024@科学技術館(東京)
12月17日:「世界のマンガについてゆるーく考える会#21」@としま区民センター(東京)
書評・レビューなど
『ガザ 欄外の声を求めて』(ニューズウィーク、早尾貴紀)
『ローミング』『カデギ』『LA BOMBE 原爆』『パレスチナに生まれて』『亀裂』(荻上チキSession、倉本さおりさん&三辺律子さん)
『ジェンダー・クィア』(小林美香さん、赤旗)
『アステリオス・ポリプ』(漫棚通信さん、漫画の手帖)
『DUCKS 仕事って何?お金?やりがい?』(椎名ゆかりさん、TOUTEN BOOKSTOREさん、本チャンネル)
海外マンガの本棚(2024年10月公開)
書肆喫茶mori個人的ニュース
10月はクラファンの宣伝も兼ねていろんなイベントごとが多くてあっという間に過ぎ去りました!
4日:吉良佳奈江さんと『男の皮』トーク
『大邱の夜、ソウルの夜』『わたしはマラン/シャイエン、トランスジェンダーです』の翻訳者である吉良佳奈江さんが当店に遊びに来てくださいました!『男の皮』の原書も見てもらいながら、スペースでおしゃべりしてます。スペース後には鶴橋のコリアンタウンでスタミナ満点の参鶏湯を食べに行きました!
7日~9日:東京ツアー!
交流会と開いたり、書店さんを巡ってクラファンのチラシを置いてもらったり、「世界のマンガについてゆるーく考える会」に参加したり、マンガ展を観に行ったり。お世話になった皆さま、本当にありがとうございます!
12日:ワダシノブさんと『男の皮』トーク
イタリア在住のイラストレーター・マンガ家で、さいきんはタイ沼にハマって『タイドラマにときめきながら覚える きほんのタイ語フレーズ』のイラストまで手掛けたワダシノブさんとYouTubeライブで『男の皮』についておしゃべりしました!
14日:げそにんちゃんと『漫海』第4号完成記念トーク
ようやくとうとう完成した海外マンガ情報誌『漫海』第4号! げそにんちゃんと完成記念トークということでYouTubeライブで第4号の中身やいろいろおしゃべりしました!
19日20日:キタカガヤフリー2024オータム&アジアブックマーケット
今年3年目の出店です! 左隣はロンリネスブックスさん、右隣はrn pressさんという絶好のロケーション。rn pressさんもバンド・デシネがお好きとのことでめっちゃ話が盛り上がりました!
『漫海』第4号を初売りしたり、『男の皮』の原書も持参してご来場の皆さまにクラファンの宣伝もさせていただきました!
22日:『男の皮』第2回作戦会議
クラファン開始して約1か月。3か月のクラファン期間のうち中だるみしがちと言われる魔の2か月目突入してクラファン活性化のためにどうするのがいいのか皆さまのお知恵を頂戴するために作戦会議を開催しました!クラファン経験者の方のご意見、本当にありがとうございました!!!!
そして29日には、本編ニュースでも紹介した京都FMの番組「ONE FINE DAY」の生放送に出演させていただきました! YouTubeやポッドキャストはやっているもののラジオ出演は初めて! ドキドキしましたが、パーソナリティの牧野晴歌さんもとても素敵な方で、和やかにトークができました!本当にありがとうございました!
そしてこのイベントラッシュは11月も続きます!
自分でも詰め込みすぎでは…と若干不安をいだいていますが(笑)、行楽の秋、読書の秋、いろいろ目白押しですので、ぜひ遊びに来てくださると嬉しいです!
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『男の皮』クラファンへのご支援・情報拡散をお願いいたします!!
ニュースのところでも触れましたが、書肆喫茶moriの店主が発起人となるサウザンコミックス第9弾ユベール&ザンジム『Peau d’Homme(男の皮)』のクラウドファンディング。90日のクラファン期間のちょうど折り返し地点にやってきました!
12月16日までです! ぜひ応援をお願いします!