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2029年にはこのレベルの新社会人が量産されるのか…

本のご紹介

機械学習のコンサルティングや企業研修などに取り組んでいる中山心太氏による著書「高校生だけじゃもったいない 仕事に役立つ新・必修科目 情報Ⅰ」です。

2025年1月の大学入学共通テストから新科目「情報Ⅰ」が始まります。また、国立大学受験者には旧来の科目に「情報」を加えた6教科8科目が課されます。

「情報Ⅰ」が受験科目になったのは、現代ビジネスにITのスキルと知識が必須だからです。社会の要求に応えている訳です。

少なくとも2025年以降に国立大学に入学した学生は、「情報Ⅰ」レベルのITに関する知識と実習の経験を持って社会に出てきます。

年齢的に彼らは自分の同僚や部下になるケースが多いと思いますが、漫然と生きていると新入社員の方がITスキルが高い状況が当たり前に発生します。という訳で、本書で解説されている「情報Ⅰ」の内容を学習して、デキる先輩だと胸を張れるようにしたいと思います。

自分自身あいまいだった用語や様々なテクノロジーの仕組みが明確になりました。重要だなと思ったトピックを6点引用して思ったことをメモっていきます。

ムーアの法則とコンピュータが普及した理由

ムーアの法則は有名なので聞いたことがありましたが、それが何?と思ってました。自分にも関係があることだったんですね。

ムーアの法則とは、半導体集積回路が1年半から2年で、単位面積当たりのトランジスタ数が2倍になるという経験則です。
(中略)
半導体集積回路とは何か?をざっくりと説明すると、シリコンウェーハの上に回路を「印刷」したものです。
そして、半導体メーカーの市場競争と技術革新の結果、「印刷」技術の向上により、より細かい線を印刷できるようになり、単位面積あたりに描けるトランジスタの数が増えたのです。
(中略)
半導体集積回路の集積度は指数関数的に成長し、同時に指数関数的に価格下落しました。これが過去50年以上繰り返されたのです。

P.33から引用

集積回路の性能が上がって、価格が下がってコンピュータを利用したビジネスが発展してきました。自身の周りをみれば、集積回路が搭載された製品が無数にあります。また、仕事でも当然コンピュータを使うし様々な業務システムが必要です。つまり、ビジネス・業務においてコンピュータが利用されている以上、ITスキル・知識が必須な訳です。

P.35から引用

現代の業務改善はこういうもの

現代の業務改善は、どんな職種についていても関係があります。
「自分は知らない」は通じなくなってしまいました。

すべての産業でコンピュータが利用されるようになった結果、多くの職業・業務がソフトウェアによって代替されていきました。そして、現代の業務改善は、いまある仕事をソフトウェアに置き換えることや、すでに動いているソフトウェアの設定変更や改修と同義になりました。
実際にソフトウェアを設計したり開発、改修したりするのは、IT技術者です。つまり、IT技術者と会話し、要件定義を行い、指示をしなくては業務改善が行えません。逆に言うと、ITスキルを持っておらず、IT技術者と話をすることができない社員は、業務改善が行えないのと同然の時代になったのです。

P.40から引用

これも「情報Ⅰ」が必修になった理由ですね。業務はソフトウェアで成り立っているので、業務を改善するにはソフトウェアを替えるか、改修する必要があります。それをしてくれるIT技術者と会話するための共通言語が「情報Ⅰ」なんですね。

耳が痛い人もいるかもしれないですね。ITのことは専門家任せでいいという考え方は通じない世の中になってます。

DXとはなんぞや

DXを明確に説明できる人っているのでしょうか?様々なメディアで取り上げられたり、事例を目にしますがよくわかりません。転職市場でもDX人材を求める記載を目にしますが、何ができるとDX人材なのでしょうか。
ということで、本書が説明してくれています。

P.52から引用

同じ「DX」について話しているつもりでも、人によって全く別のことを想像していることはよくあります。
「DX」は頭がよさそうに聞こえる言葉なのでつい使ってしまいがちですが、「DX」という曖昧な言葉を使っていては合意形成が困難です。話をしている相手が「DX」という言葉を使った際には、それがどのような意味なのかを確認するクセをつけることが大事です。

P.52から引用

まさしくその通りだと思います。すぐ「DX」って言う人がいますが、何を意味しているかを抑えないといけないですね。その際にも上の表にある5つの方向性は参考にできそうです。

DX前後で変わる働き方

上の表にもありますが、DX前と後ではビジネスの内容から雇用まで変わってしまいます。なので、経営者・従業員・IT部門それぞれに要求される働き方や資質も変わります。どう変わるのか本書が教えてくれています。

P.57から引用

DXを推進する企業は最終的に「DX後」の姿を目指すことになるので、その前提で自分の立ち位置や必要とされるスキルを考えていきましょう。

クラウド登場で変わるIT技術者

ITシステムを使う側のユーザ企業だけでなく、ITシステムをつくる側のSI企業も変革が求められています。その背景にはクラウドの存在があります。

現代はクラウドサービスの登場によって、ITシステムの更新コストは格段に減少しました(下図右側の小規模ソフトウェア単位での内製)。クラウド上で新しいサーバを借りて、新しいソフトウェアをインストールして、市場に投入するまでを全てプログラムで行えるようになったのです。この流れをIaC(Infrastracture as Code)と呼びます。

P.123から引用
出典:経済産業省「DXレポート2 中間とりまとめ

大規模更改の時だけITエンジニアの需要が強烈に高まるので、その波を吸収するためにはSI企業に外注する必要がありました。それがクラウドの登場で波が平準化したことで外注せず、IT人材を直接雇用する方向に切り替わっているようです。

そうした状況でSI企業に求められるのは、一時的な需要に対応する労働力の供給ではなく、高度なスキルをスポットで提供する形に変わってきているようです。

ChatGPTの使い方

話題のChatGPTについて、どういったものなのか、どう使うのがよいのかを学びたいと思います。

ChatGPTは知識データベースではありません。与えられた文字列から次の文字を予測して出力するAIです。その性質上、「繋がりやすい言葉」を出力するのであって、「事実に基づいた言葉」を出力するわけではありません。
ChatGPTにはある種の「常識」はあるが「知識」はないのです。

P.222から引用

ChatGPTに個別具体の知識を聞いても、ChatGPTは「知識」を持っていないので誤った回答が返ってくる訳ですね。例えば「新宿でおすすめのイタリアン」を聞いてもイタリアンぽい店名に聞こえる適当な言葉を繋いでしまうようです。

ChatGPTを検索エンジンと同じように、個別具体の知己を調べるために使おうとする人は、ドリルで釘を打とうとする愚者なのです。
賢者はChatGPTのもつ演繹能力・帰納能力・抽象化能力を活用し、議論のパートナーにします。

P.225から引用

ChatGPTには「常識」や「知性」があるのでアイデアを出してもらったり自分のアイデアに意見してもらったりといった、自分の考えを深めるパートナーになってもらうのが賢い使い方です。

いつでも、どこでも、何度でも質問できる相談役が出来たと思えばその有用性がわかります。仕事でもプライベートでもどんどん使おうと思います。


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