かき氷と写真。タイムリミットは10秒。
かき氷の寿命は短い。
食べごろは到着後すぐ。
なぜって?
時間の経過とともに溶けてしまうから。豪勢なトッピングの場合、アイスや果物の重さに耐えられず、沈んでしまうこともある。
できることなら美しいまま、氷の食感を損なわずに召し上がりたい。
ゆえに撮影時間は短くなる。
わたしのタイムリミットは10秒。
カメラの設定は事前に。
絞り値、シャッタースピード、ISOは待ち時間に決めておいた。面倒なときはオート設定に頼ることも。
到着後、心の中でカウントダウンが始まる。
10_____________
位置を調整
9______________
カメラを手に取り
8______________
照準を合わせる
7______________
真横から撮影
6______________
斜め上からもう1枚
5______________
仕上げに真上から
4______________
ついでに寄りで撮っておこう
3______________
カメラを置いて
2______________
手を拭く
1______________
スープンを手に取り
いただきます。
動作を含めた10秒間。
スムーズにことが運べば4枚も撮れる。
だけどもし、思い描いた写真を撮れず、時間がかかってしまいそうだったら…。
潔く諦めることにしている。
目的を見誤ってはいけない。かき氷を撮りにきたのではなく食べにきたんだ。写真撮影に夢中になり、美味しさが損なわれてしまっては本末転倒もいいところ。
人によって「10秒は長い」と感じるかもしれないが、かき氷を食べるのと同じくらい撮るのが好きなので、10秒間だけ許してほしい。
撮影時間は人それぞれ。
だけど短いに越したことはないと思う。
目の前に運ばれてきたら、サッと写真を撮って食べよう。
友達のかき氷を待たなくても大丈夫。2つ並べて撮りたい気持ちも分かるけどね。
できるだけ早く食べた方が、かき氷も喜んでいると思うよ。実際に話したことはないから勘だけどさ。
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文・写真:わたし
イラスト:MihoMiyata
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氷曜日のエッセイは毎週水曜日に更新予定
人のお金でかき氷を食べたい。