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件の如し(あとがき)
■ミステリーなんて書けないと僕は言った
今回書いた『件の如し』はミステリーとして初めて書いた作品になります。
ずっと私はミステリーなんて書けない! と思っていました。緻密な論理を組み立ててとか、頭を酷使しないといけないものには向いていないのです。特にnoteに書くようになってからは、プロットもなにもなく、思いつくままに書いているので、綿密な文章の組み立てが必要なミステリーとは相性が悪い。
それでも書いたのは、創作大賞に向けて、これまでと違うことを挑戦してみたい、という思いと、既にアップした作品だけでは、インパクトが弱いか、と判断したためでした。
アップしたものはいずれも短編で、2万字強の分量。出版社側の思惑としてはすぐに出版できるような、ある程度の長さがあるものが好ましいのではないか、と思いましたので、それまでの分量の倍以上はある『件の如し』が生まれたわけです。
正直、ミステリー? と首を傾げてしまうような(主に殺し屋たちが)論理よりも暴力が目立つ作品なのですが、解決できる事件は解決しよう、論理を構築するクダンに花をもたせようと、懸命に組み立てました。
全話ほぼアドリブで書いています。プロットなしです。話を書く前日に、次の話の内容を決めてメモし、当日はメモを参考にしつつ筆に任せて、という感じです。
書きながら広げられる風呂敷は広げ、回収できる道筋を考えて、と頭を酷使しながら、普段使わないような部分を使いながら書いたので、非常に疲労しました。
なので、今日は小説を書かず、あとがきのようなものをだらだらと。
そもそもミステリーを書こうとは考えていなかったのです。
探偵を主役にこそしましたけど、犬猫探しを主にして、推理要素は少なめに、コメディチックにハートフルに。と思っていたのに、何を血迷ったか主婦を失踪させ、偽物の依頼人はやってきて、挙句の果てには女暗殺者が登場する。どんどん不穏な要素を詰め込んでいくので、どうしたものかと。風呂敷を広げちゃった以上は畳まないわけにはいかないだろう、と風呂敷を広げては畳み、広げては畳むことを繰り返し、今のような決着に。
■殺し屋たちの饗宴
作中では論理の力など力でねじ伏せそうな、超人的な暗殺者たちが目白押しです。ガーネットを筆頭に、アキ、クロダ、カクタス、ラピス。
この中で早い段階で対決を考えていたのが、ガーネット対クロダ、ガーネット対カクタスでした。ガーネット対クロダは単に書きたかったというのもあります。映像にすると映えるかなと。ガーネット対カクタスは、ここは暴力でしか決着をつけられないだろうと判断しました。
彼女たちの動きは、人体でできるのか、というほど超人的です。その辺、リアリティというよりは頭の中で映像にしたときの迫力や見栄え、を重視しました。
クロダは書く最後の最後まで迷いました。男性とするか女性とするか。バランス的には男性にした方がいい気もしたのですが、アキとの関係をシンプルに主従関係に留めるなら、と女性にしました。小中学生に見えるほどの小柄な女性にしたのは、リーチの差を補って戦うスタイルの女性として描きたかったからです。そのため、蹴りなどの打撃技はあまり使わず、関節を極めて折る戦い方が主になりました。
悩んだ分、クロダは気に入っています。見た目も、小柄なのにクールビューティなところとか、かっこいいなと思います。何気にカフカの字句を暗記している教養人でもあります。作中では触れなかったのですが、犬のツェーザルの名付け親はクロダです。
気に入っている分、作中あのような展開を迎えさせるかどうかは決めかねたのですが、主に見捨てられた、裏切られたクロダとしては、あのような行動に出るしかなかったかなと。
カクタスはもっと圧倒的な実力をもっているところを描きたかったのですが、ちょっと見せ場が少なく、消化不良な感じで。本当に強かったのか、こいつは? という状態になってしまったのが残念なところ。
■件の如し
作品のタイトルが『件の如し』ですが、実はタイトルは後決めで、探偵のクダンの名前の方が先に決まっていたのです。探偵を出すなら、名前はクダンだ、と作品を書き始めたらすんなりと決まって。なぜクダンという名がすんなり決まったのかは、私にも分かりません。まるであらかじめ決まっていたように、迷いなく頭の中に浮かびました。
そして第一話を書き終えて、タイトルを決めようと考えたときに、探偵がクダンだから、件。妖怪にもいますけど。他に件の如し、と慣用句のように用いられている言葉があるなと思って、よし、件の如しにしよう、と決めました。
結構安易ですね。でもそれぐらい安易でちょうどいいかなと思いました。かっこつけて英語にしたりするの苦手ですし。そもそも、タイトルつけるセンスがないのは分かってますし。
件の如し、で「前に述べたとおりです」という意味になります。
創作大賞の投稿作はこれで終わりかな~と思います。後はオールカテゴリに単発の短編を出すかもしれませんが、小説部門に出すのは以上になりそうです。
結構頑張って書きましたよ。出来不出来はともかく。
期待したいのは『ゆうぐれあさひ』、『写真小説家』、『件の如し』でしょうか。この辺りに確実に選考を突破してもらいたいところ。
後は祈るしかできませんが……。
もちろん、細かい手直しはぎりぎりまでやります。
有言実行です。
なんだかとりとめがありませんが、今日はこの辺で。
よって件の如し。