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映画『Pearl パール』愛に飢えていた老女パールの若い頃の話は、視点を変えるとめちゃくちゃ怖かったの巻



2022年に公開された、ホラー映画『X エックス』。
無断でポルノ映画の撮影を始めた若者達が、鬼畜老夫婦に襲われるというホラー映画で、「史上最高齢の殺人鬼夫婦が登場」というキャッチフレーズが話題を呼んだ作品でした。

その『X エックス』に登場した、老婆パールの若い頃の話を描いたのが、本作『Pearl パール』です。
『X エックス』の上映終了後に『Pearl パール』の予告が流れていたのですが『サウンド・オブ・ミュージック』のパロディみたいな映像だった為、多くの人が「おまけ程度の悪ふざけ」と思った事でしょう。

ですが、本当に公開されたんですねぇ。

『X エックス』で悲惨な最後を遂げる、パールは若い頃に何があったんでしょうか?

『Pearl パール』あらすじ


人里離れた農場で暮らすパールは、異常な程に厳格な母親と、病気の父親と3人で暮らしていました。
母親の束縛に強い反発心を抱いていたパールは、ある事をキッカケに映画スターへ憧れを抱くようになります。
映画スターになり、窮屈な農場からの解放を望むパールですが、そのパールの望みが惨劇の連鎖を呼ぶ事になり…。

若き日のパールの苦悩と葛藤を描いた青春映画…じゃなかった!

前作『X エックス』の主人公たちが、自身の欲望剥き出しの「いけ好かない連中」だったのに比べ、『Pearl パール』では農場で不満を抱きつつも、歌とダンスを愛し、ひたむきに頑張る、純粋なパールの姿が描かれています。

ですが、突如現れたアヒルを農具で串刺しにし、名前を付けて可愛がっているワニ(『X エックス』にも出てきた奴)のエサにするという、異常性を見せます。
アヒルに食らいつく、ワニのショットをバックに、タイトル『Pearl』と大々的に出るのですが、この時点でこの映画がいかに狂っているか?が分かりますね。

地獄ような農場と鬼のように厳格な母親

パールは『X エックス』にも登場した農場に、若い頃から住んでおり、もともとは両親の農場だった事が本作で分かります。
若き日のパールは、この農場で家畜を世話し、病気で体が動かない父親を介護します。
実に、献身的に見えますが、パールは望んでいる訳ではなく、鬼のように厳格な、母親の監視体制にあり、一切の自由が認められません。
つまりパールは、この農場から出る事すら許されず、母親の前では純粋で、献身的な娘を演じ続けないとならないのです。

まさに「地獄」!

そりゃ「性格も屈折するよね?」と思っていましたが、作中の母親のある台詞から、本作は、視点を変えて観る必要がある事が分かるのです。

パールはもとから異常で、農園に閉じ込めるしかなかった!?(ネタバレ)

厳格な母親のもとで、地獄のような農園生活を送るしかないパール。
中盤までは「可哀そうに…」とか思っていましたが、母親の「あなたは病気なの」という台詞から、パールの本質が見えてきます。

というか、映画終盤のパールは異常なのです。

パールは、映画のオーディションに挑戦する事すら反対する、母親に重度の火傷を負わせ、地下室に閉じ込めます。
その後、自身に好意を寄せていると思っていた映写技師に拒絶された事で、映写技師を殺害。
パールが映画オーディションに落ちた後、オーディションに誘った友人が合格した事を知り殺害。

最後は、父親と母親の死体と、ウジが湧いた豚肉をテーブルに置き食卓を囲みます。

パールが友人を殺す前に、これまでの独白を始めますが、そこから分かるのは、パールはもともと異常だったという事。
つまり母親は、異常なパールが世に放たれないよう、農園に閉じ込め監視していた訳ですね。
愛情と言えば、愛情のような気もします。

母親亡き後、戦争から戻って来た、夫のハワードがパールを農園に閉じ込め続けないとならなくなりました。

そう考えながら『X エックス』を再度観賞すると、ハワードの気苦労が理解でき、可哀そうにすらなってきます。

エンディングのとびっきりの笑顔に注目!(ネタバレ)

『Pearl パール』は『X エックス』同様に、ミア・ゴスが主役のパールを演じています。

オーディションに落ちたパールが、凄まじい量の鼻水を垂らして泣くなど、全身全霊でパールを演じています。
特にラストシーンで、帰還したハワードを迎える、パールのとびっきりの笑顔からの、泣き顔に変わっていくところは、まばたき禁止でご覧下さい。

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