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映画『貞子DX』WOWOWで放送してたの見たけど、なんで木村ひさしに作らせたの?の巻



日本が誇る、最強のホラーアイコン貞子。
1998年の「リング」以降、今でもその人気と存在感は健在という、国民的な幽霊?です。

私も「リング」シリーズは好きで、劇場で公開されたら、だいたい見ているのですが、2022年に公開された『貞子DX』だけは観ていませんでした。

そんな中、先日WOWOWで『貞子DX』放送してたんで観たんですが、まぁ、何と言うか…という内容でした。
ある程度、予想はしてたんですが、ただ感想としては「もったいない」という感じです。

今回は『貞子DX』について、何が駄目だったのか?など、いろいろ書いていきたいと思います。

『貞子DX』あらすじ

全国で「呪いのビデオ」を見た人達が、24時間以内に死亡する怪事件が勃発。
IQ200の天才大学院生・一条文華は、テレビ番組の企画で、人気霊媒師・Kenshinと「呪いのビデオ」の解釈に関して対峙します。
呪いを全面的に否定する文華は、Kenshinから「呪いのビデオ」のコピーを渡されます。
「呪いの秘密を解明してみろ」という、Kenshinからの挑戦の意味も込められていましたが、その「呪いのビデオ」を文華の妹が見てしまいます。
文華は妹を救う為、何が何でも呪いの秘密を解明する事になり…

「貞子3D」シリーズの最新作っぽい

小説「リング」から、独自に発展していった貞子と言うキャラクター。
小説版に、いわゆる具現化した貞子は登場しない為、もはや映画オリジナルのキャラクターと言っても過言ではないでしょう。
で、この貞子が登場する映画ですが、実は大きく分けて2種類が存在します。
ホラーとしての「リング」を継承したシリーズと、エンタメ路線のシリーズです。

ホラーとしての「リング」を継承したシリーズは『リング』『リング2』『リング0 バースデイ』、近年では『貞子vs伽椰子』や、王道のホラー路線で製作された、2019年の『貞子』です。

エンタメ路線のシリーズは『貞子3D』シリーズがあり、これはホラーというより、タイトルにもある3D専用の映画として製作されており、なんかよく分からない姿になった貞子が登場します。

『貞子DX』はタイトルから察するに、ホラー路線ではなく、エンタメ路線のシリーズ最新作となるのでしょう。
だから、ホラー路線を最初から期待してなかったけども…

「呪いのビデオ」は新たな解釈で良かったと思う

『貞子DX』は「呪いのビデオ」の謎を解明する、一条文華という天才少女が主役です。
もともとの『リング』も、主人公の浅川と、天才的な頭脳を持つ高山竜司が「呪いのビデオ」の謎を解明しようとする物語だったので、原点回帰な気がします。
呪いの発動も7日間から24時間に短縮され、今も尚続く、貞子の呪いがバージョンアップした感じで良かったです。

ここからネタバレなのですが、貞子の呪いを回避するのは、毎日「呪いのビデオ」を見続けて「永遠に呪いを先延ばしにするしかない」という所で、映画は終了します。
「呪いのビデオ」を見る事を忘れた瞬間、死が訪れる…。
この結末は非常に恐ろしいと思いました。『貞子DX』は物語はとても良いのです。

悪いのは監督の木村ひさし

物語は悪くないのに、ここまで酷い作品になったのは何故か?
それは、監督である木村ひさしの作家性にあるのではないでしょうか?

木村ひさしは「99.9-刑事専門弁護士-」シリーズなど、ヒット作も多い監督です。
特徴は、テンポの良い台詞回しと、作中に小ネタが入る事ですが、この木村ひさしの作風が、完全に噛み合っていない。
例えば、霊媒師・Kenshinは「スピリチュアル・バイオレットNo.1」という異名があり、完全に桑名正博の「セクシャルバイオレットNo.1」をもじった、お遊びを入れています。

Kenshin役が桑名正博なら、百歩譲って理解できますが、Kenshin役は池内博之。

その、お遊び必要か?

さらに、呪われた人の前に現れるのが貞子ではなく、その人に因縁がある人が、幽霊となって現れるのですが、文華の妹の前に現れたのは、何故か親戚のおじさんの幽霊。

この親戚のおじさんの幽霊が、最初はハゲ頭で、呪いが進行すると、どんどん髪が生えてきます。
その、おじさんが、どんどん距離を縮めてくるのですが、完全に笑わしにきているとしか思えません。

クライマックスに登場した貞子も、結局何がしたいのか分からないうえに、貞子ですら怖く表現する気は無かったようです。
始球式に登場した貞子と、同じレベルにしか見えなかった…。もう少し演出で怖く見せれなかったのか?

『貞子DX』は、エンタメ路線なのは最初から覚悟していましたが、貞子使った作品なら、せめて怖く見せる努力はしろよ!と思いました。

『屍人荘の殺人』の時に、意味もなくプロレスラーの永田裕志を登場させるような監督に、何故日本が誇るホラーキャラクターの貞子を撮らせたのか?

他にちゃんと作れる、ホラーが得意な監督はいくらでもいたはず。

木村ひさしとホラー映画の噛み合わせの悪さが、この作品最大の恐怖でした。


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