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癌闘病を支えてくれた愛犬Teeとの別れ(後編)

Teeの延命治療を中断して数日。
状態は安定していましたが、おかしな行動を取る事が増えてきました。
ある陽気の良い日のこと、日向ぼっこが好きなTeeを抱っこして
庭に連れ出していました。しばらく抱っこしていたんですが
寝てしまったので、椅子の上にTeeを置いて
Tヨダレを拭くタオルを洗いに行って庭に戻ると


あれ?Teeがいない…


家の周りをぐるぐる探し回るけど見つからない。
近所の方に聞いて一緒になって探してもらい一時騒然となってしまいます。このまま見つからなかったらどうしよう…
かなり焦りました。


が!



お隣さんが「あら!こんなところで寝てるわよ!」と
ダッシュで見に行くと…
うちのフェンスとお隣さんのフェンスの間に挟まったまま


イビキかいて寝てました。


どっから入ったんでしょうねぇ。
何はともあれ、ご近所様にお礼を伝え
その後、気になってかかりつけの獣医さんに電話で相談すると


「痴呆が進んでいるのかも」と。


ご近所の方に「介護大変でしょう?」と言われたのですが
確かに老犬の介護は大変です。
夜中に吐いたり、下痢したり、水飲ませたり
その度に体拭いて、タオル洗って干してしんどいなーって
思うこともありますが


でもそれ以上に


今のTeeの行動や仕草がとっても可愛いというか
どんな姿でもTeeであることを今まで以上に感じられることが



嬉しくて愛おしい。


ボケーっとしながらツーっとヨダレ垂らしてみたり
一人で水飲めないから給水器の前で
こっちを振り返って「トーチャン…」と情けない目線で助けを求めてきたり
足腰弱ってるのに「行けるかも…」と階段降りようとしたり
一つ一つの行動や仕草が可愛くてたまりません。
元気だった頃のTeeの姿ももちろん鮮明に覚えているけど
家族の助けを必要として頼ってくれているTeeの姿は
なんと言えばいいのか、とにかく愛おしい。
夜中に何度も起きるので体力的には辛い時もありますが
でもこの状況すらもTeeとの思い出の一部。
そう思うと不思議と嫌ではないのです。
笑いさえ込み上げてくる時も。


Teeは家族みんなが明るくしてるととっても喜ぶ子でしたから。
Teeの記憶にはもう残らないかもしれないけど
今できることを思い残すことなくやってあげたい。
恐らく、持ってあと数日。もうすぐ来るその時まで
飼い主として、相棒として、最後までTeeを
沢山の愛で包んであげよう。




さようなら、Tee。


いつものようにTeeを抱っこしていると
いつもと違う違和感を感じます。何か期するものを感じたと言いますか
全く声を発しなかったTeeが「クゥーン」と鳴いたのです。
少しだけ水を口に染み込ませ、トイプードルのBeeとMeeを連れて庭に出て
少しして家に入って自分の部屋のソファーに座っていた時の事です。



「あ…Tee、逝くのか?」


そう感じました。
伝えなきゃ。そんな衝動に駆られたのを覚えています。
僕の心臓の鼓動が聞こえるようにTeeを抱っこして
今までの沢山の感謝の気持ちを伝えながら
何度もキスをしてありったけの愛情を伝えました。
「また会えるからね」とTeeに伝えると
僕の膝の上でそのまま静かに息を引き取りました。
苦しむことなく、穏やかな最期でした。





Teeを送り出してから…僕と家族は皆一様に
ぽっかりと心に穴の空いたような
時々胸が張り裂けてしまいそうな
そんな思いに駆られ続けました。
Teeがいなくなって5年が経ってもそれは変わりませんが
でも大丈夫。僕もみんなもちゃんと前に進んでるから。

Teeのおかげで「自分らしさ」とは何かを教えてもらったからね。
それは今後の大きな財産にしていくつもりだよ。
一時は癌治療で苦しんでいた自分自身と重なって
生きていてほしい思いだけでTeeには無理をさせてしまったけど
その身勝手な思いを拭い去って、君を穏やかに看取ることができたこと
これは僕の誇りでもあり、そして頑張った君を誇りに思う。
後悔がないと言えば嘘になるけど、後悔に苛まれ続けちゃ
Teeと一緒に過ごした歳月すら否定することになる気がしてる。
僕が苦しかった時に君がしてくれたことの意味を
理解できていない愚かな飼い主ということになってしまう。
それは君が一番悲しむことだよね。


Tee。君は強い子だった。
強さとは何かを僕や家族に教えてくれてありがとうTee。


心からの愛を。




語弊を恐れずにいうのならば、大切な存在の生と死ほど人に大きな影響を与える出来事はないと思います。当たり前に送っている時間がこんなにも尊いものだったのかと気付けるのは大抵、失ってから。
命の時間は限られている。常にそう思いながら生きるってのも窮屈ではあるけど、それでもTeeが教えてくれたことを教訓として生きることにしている。
家族との時間、それまで当たり前だったBeeやMeeが甘えてくる光景。
その瞬間にTeeの事を思い出しては


「あと何回BeeとMeeはこうやって僕に甘えてくれるんだろう」


と思うようになり、この一瞬一瞬こそかけがえのないものなんだと考えるようになりました。Peeちゃんや子供達、お義母さんとの何気ない時間。兄弟と格闘技の話をしている時間。友人と釣りをしている時間。
本来僕はそんな柄ではないんだけど、でも心の中では全てを抱きしめるように過ごさなきゃ勿体無いよね。と思っている。


だからほんと、病気で死んじゃうのなんて
めちゃくちゃ勿体無いことなんです。
時間も勿体無い、お金も勿体無い。
あー勿体無い勿体無い。
無茶ばかりしてた若い頃の自分に言ってやりたいです。



「自分の体を気遣うことが、大切な人への一番の思いやりなんだ!」
ってね。





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