移住はステップアップが大事
テレワーク、リモートワーク、ワーケーション、都会から田舎へ、コロナで蜜を避ける、地元に帰る、等々。『都市で仕事をする』当たり前さが薄れてきている。
■当たり前を疑え
今まで当たり前に思っていたことが
「あれ、なんでこれが当たり前だったんだっけ?」
と、自己矛盾を起こすとそこが分岐点になってくる。電通の本社ビル売却に代表されるように、たっかいお金かけて都会のど真ん中にオフィスを設けて、ステータスを誇示する『当たり前』だったことが崩れてきた。しかも、同じ都会のエリアに集中して皆が同じ時間、同じ電車に乗り込むのだから、当然起きていた満員のギューギュー詰め電車。
「家でも同じ仕事できるやん」という新たな『当たり前』に気づいた。
そうすると、所属しながらも好きな遠隔地でリモートワークをしても良し!という企業も増え、自分の新しい居場所を探し始める。さらにコロナで密を避けることも当たり前になり、少し田舎も次の居場所候補ということでフィーチャーされてきた。
■成功の移住とは
不動産に従事しているとそんな方々の『移住相談』が増えてくる。やはり、地元が函館なので函館に帰ろうか、という選択肢が多い。そして、家族の場合、夫婦のどちらからが函館出身でもう片方は別の地域出身というパターン。
函館自体に詳しく情報もよく仕入れていた人になると、こちらもさほど心配もせず、土地を買って建てる、中古住宅を購入、と『家を買ってしまうパターン』もそれなりにある。融資については、少し問題も出てくるが、それはまた別のお話で。
ご夫婦どちらかは函館をあまり知らないということも非常に多く、函館出身者も30代半ば以降で帰ってくる人も多いので、20年近く離れてしまっているという場合も多い。そうなると実際には別の街だし、実際に自分で生活した経験は出身地といえど無いに等しい。
自分も徳島県出身で、今、徳島に帰ろうとなった場合、どこのエリアがよくてどういう状況になっているかはさっぱり分からない。不動産に従事しているので、色々と先に考えた方がいいなとも思うし、なんとかなるやろ!でパッと買って帰るという考えにはならない。
何が言いたいかというと、結構いろいろ相談して、何度か訪れるなりして決断してほしいということ。
■まずは賃貸から
ざっくばらんにいうなら、とりあえず賃貸で2年くらい住んだらええと思う、ということ。このエリアが観光にきて気に入った、だからここにずっと住む!と思ってもやはり観光でくるのと実際に住むことのギャップは大いにある。生活に必要な買い物が不便なのかもしれないし、交通機関が充実してないかもしれない、あっても自らの生活スタイルでは使えないかもしれないし、長く滞在してみないと分からないことも多い。なので、その気に入っているエリアの賃貸に住んでみて、その賃貸物件は仮だ!と思って住むならあまり気にしないという選択ができるはずだ。それで、日々暮らしてやはりこのエリアの自分の好きな物件を見つけて購入したいなら、する!
「あれ?ちょっと思ったんとちゃうな」
となれば、再度考えればいい。住宅を買ってしまうとフットワークが失われる。所有してしまうと執着が生まれ、失敗を肯定できなくなる可能性もあるし、すぐ売ればいいじゃん、となってもそうなるかは分からないし、実際に損をする可能性だってある。家賃が自分ものにならないものに払うのが嫌だ、お金を捨てている、という理論もあったが、そういうことではないと思う。
■暮らすように旅をする
以前にこのスタイルいいなと思ったのは、
あるご夫婦で、ご主人は函館出身、奥様は函館出身じゃないが、函館への移住を希望している。その奥様だけ安いゲストハウスに2ヶ月滞在して、函館の移住を決定するか判断する、ということで相談に来られた。函館の街を暮らしながら眺めて、その上で物件も同時並行で探してみるという試みだった。
それを聞いて、「へ〜、おもしろいな〜」と思った。結局、函館自体を気に入り、函館山の麓周辺、いわゆる西部地区が雰囲気も良し、ということで賃貸の物件もご紹介し、めでたく移住。新しい居場所探しへの挑戦に関われたことは嬉しい経験だった。
今でも函館をエンジョイされているようだ。函館らしい古民家の賃貸が出たのを受けて、最初のアパートから引っ越した。函館ライフをさらに充実して満足がいくようにステップアップしている様子も窺えて、こちらとしてもとても嬉しい、勉強にもなった経験だった。