見出し画像

相談がきた -パート2-

友人が物件を店舗として借りることになり、
その契約書がちゃんとしているのか不安だから見てほしいという依頼

しかし、そう簡単な話でもなかったようだ

2つの大きな物件があり、それをAさんが一括で借りる
その1つをAさんが使用し、もう1つを友人がAさんから借りるというわけだ
これは、いわゆる『サブリース契約』に該当してくる
そんな高度なことを・・・

サブリースはいわゆる又貸しとなる
借りる側が安く借りて、中をオシャレに直して別の借主に貸す
というのが、事例としては多いかもしれない

今回は、一括でなら貸してもいい、という大家さんと
他の人に貸してもいいなら一括で借りるよ、という借りる側と
さらにそれの一部を借りたい、という友人からなる構成だ

ここで注意するべきは、大家さんが又貸しについてちゃんと理解しているのか、
ということが最初に出てくる話だ
これは、何度も伝えておいたらしく、問題ないというのが確定しているらしい
ただ、これを契約書に入れないのは怖すぎるので、その文言を追加してもらう
しかし、これがクリアできるのであれば、通常の賃貸契約と
そこまで変わらないので、ほっと一安心だ

契約書を読み進めるにあたり、次に当たるのが、
所有者と実際に会っている人が同一人物か問題。
「そんなことある?」
と思うだろうが、祖父(90歳)が所有者で、
実際に話をしている大家さんぽい人(65歳)が別人ということはあるのだ。
大家さんぽい人が勝手に独断で所有者に告げず貸すなんてことも。
あとでモメて、出ていってくれと割を食うのはしんどいので、
こちらも確認!

お次は、よくある話で、中にたくさんの荷物がある問題
なにが問題かというと、荷物自体は大家さんは片付けをせず、
借りる側がそれを横に寄せるや一部処分するなどをするということ
この労力はなかなかのものだが、賃貸等が一般的ではないと
貸す側がそれをやるのが当たり前だ、という認識にはなっていない
それでも良し!ということで借りるのだから!
別に問題ちゃうやろ!
というのだが、その中にあるものを使えるものがあったら使っていいよ、
という言葉を言われて、借りる側も中にある木材なんかを利用する気でいる
そうなった時に、途中でアレが必要だ、とか、コレは返してほしい、
場合によっては、ここまで使われるとは思ってなかった、
というのが出てくると大変だ
ということで、やんわりと内部にある残っている荷物類(残置物という)は、
大家さんは所有権を放棄し、借りる側がどう使用しても問題ない、
という内容にした。

そしてそして・・・
まだあるんかい!となるが、あるんよ、ほんまに
店舗なので当然リフォーム、それに付きものが原状回復
大家さんと借りる側のやり取りでは、たくさんリフォームをするが、
原状回復はしない、というやり取りだったという
しかし、契約書では、原状回復が謳われている
ほな、あかんやん!
ということで、口約束の通り、原状回復はしない、
ただ、追加で設置した設備の一部については、退去時に撤去するということを
細かい部分まで追加して了承を得た

なんでここまでするんだ、となるかもしれないし、
結局、大家さんとの話で問題ないならええんちゃう?
ということだ
それはそうなのだ、問題ないのだ、バカボンのパパなのだ
でも、ことはそう簡単ではない
コレって、2、3年だけの話?
もし、大家さんになにかあって、別の相続者がコレを引き継いだ時、
その相続者が大阪にいて、現状について全く知らない場合、
なにが形として残っているのか、
それは契約書に他ならぬ、ということだ
相続後、新たな大家さんに変わって
「退去します。前の大家さんとは原状回復しないって話になってるんで。」
「ああ、そうですか。分かりました・・・」
・・・
「いやいや、契約書では原状回復になっとるやろがい!」
「契約書には書いてるんですけど、実際はしなくていいって
 前の大家さんが・・・」
「そんなんどこにもないやん!ウソ付いてない?」
と、なる
どちらも悪くない!
ただ、実情と違う契約書があることで、こうなる

契約書があるだけまだマシということかもしれないが、
契約書があることで、ということもある
今回は、あまり事情を知らず、そこまで経験のない
宅建業免許のだけある業者が契約書作成業務だけ行い、
それをもっての契約締結という流れだったそうだ
しかし、免許者であれば、名前も載るし、その責任も当然ついてくる
であれば、ちゃんと責任もってやろうよ、なっちゃう

「いや、契約書だけ作ってくれって頼まれただけやけん」

とはいっても、相手側もよくわかってないで、
契約書があれば安心だからという軽い気持ちで依頼している
それを軽い気持ちの契約書を渡して、あと知らないというのも
軽い気持ちすぎではないか。
と、まあ、よくあることなんだろうなと心に留めた

こういう相談を介して、大家さんも借りる側も、
なんかちゃんとしてよかったな、と思ってくれてたらええな

いいなと思ったら応援しよう!