普通が正しいなら正しくない生活をしていた話

私は物心ついた頃には、異常に明るく馬鹿げた事が大好きで、愉快な少女だった。
家では常に笑いを追求し、どんな顔なら人を笑わせられるだろうかと顔中にセロハンテープを貼るような娘だった。
私自身にもその自覚があったし、父も母も
もちろんそう思っていた。この子はとことん明るい子だと。

小学校2年生になるまでは。
の、続きを書こうと思ったが、少し箸休めに「人面木」の話をしよう。
学校に行く途中に殿様公園という公園があった。
本当の名前は知らないけど皆んなそう呼んでいた。
その公園の前には街路樹が何本か植えてあるのだがその中の一本が

なんか、「あー」って言ってる人の顔みたいな木だった。
一度そう見えると、もうそうなんだとしか思えず、

怖かった。
怖かったのだが、その道を通らないと学校に行けないのでそこを通らない訳にはいかなかった。
なので、自分の中でルールを勝手に決めた。
通る時は木と目を合わせず、息を止める。そうすれば助かる。(←?)
私は一人でそれを遂行して世界の平和(なんか目を合わせたら、木が「あーーー!」と叫んで動き出すような気がしていた。)を守っていたのだが、
ある日いつものように勝手に息を止めてデットゾーンに突入した時、一緒に歩いてた妹がボソっと呟いた。
「この木のもこっとしたところさ、村子のへそに似てるよな。」

その日からその木は「村子のへその木」と呼ばれるようになり、息を止める必要もなくなり、そのうちその存在すら忘れ去られたのだった。
(この話は終わり)

いいなと思ったら応援しよう!