片岡義男が好き #2
彼の小説の、何よりも魅力的なのは、登場人物の名前。男性の名前は、ほとんど、記憶に残らない、よくある、普通の名前。女性は、3文字で子で終わる、平成が終わる今となっては、懐かしい響きのある名前。
彼は、彼女を名前で呼んで、彼女は、彼を‘さん’付けで呼ぶ。2人のスタンスは、変わらず、一定の距離があり、同等の関係。大学生だった当時、それは、クールで素敵な関係だ、と思ったし、今でも、そういう関係性の方が、良いと思う。
案外、飛行機の話がないような気がする。機内という空間より、新幹線の方がドラマティックなのか。匿名性がある新幹線の方が、偶然という避けられないなにかを予感させるからなのか。