告白撃感想(独断と偏見)


表紙



俺はですね、ハードカバーのでかい本嫌いなんですよ(この本はハードカバーのでかい本)。値段高いし持ち運びだるいの2つが理由なんだけどね。
なんと、その俺が手を出すほどに期待して買いました。出会いは住野よるさんのnoteです。俺がこの本を買った経緯は以上。



そもそも住野よるさんって「君の膵臓をたべたい」で有名になりましたよね。俺はっきり言ってあの小説、映画が感動できるのは結構きつい言い方かもしれないけど当然だと思っています。なぜなら、命を扱ったテーマだからです。あれを見た時、俺は別にそこまで惹かれなかったんですよね。

俺に刺さったのは「青くて痛くて脆い」という小説を読んでからです。すごい、内容は抽象的で閉鎖的です。世界は変わらないしSF要素もないし、人も死にません。要は涙を誘うとか、感情大爆発させるような展開はここ!って指せない、それでもやはり小さな心の動きひとつで読者、あるいは登場人物たちの感情を揺さぶれる、そんな小説だったんですね。



というわけで長い前置きをしつつここで本題。「青くて痛くて脆い」にやられた俺は迷わず今作も買ったわけです。こうやって文字を書いているわけですから良い小説であることは間違いない。そして、今作も世界は変わらないしSF要素もないし、人も死にません。要は涙を誘うとか、感情大爆発させるような展開はここ!って指せない、それでもやはり小さな心の動きひとつで読者、あるいは登場人物たちの感情を揺さぶれる、そんな小説だったんですね(要は俺好みだったってこと。)


少しネタバレ載せてるからもう何も知らない状態で読みたい!って人は引き返して。






この表紙に描かれてるのは響貴と千鶴です。まぁ一旦この情報入れてあらすじをどうぞ



千鶴は自分のことを好きだと感じている響貴を結婚式に呼ばなくても良いように、響貴に「告白させてから、断る」ことを思いつき、果凛に協力を仰ぐ。大学時代の同級生6人(果凛、千鶴、響貴、華生、舞、大賀)の一泊二日の旅行、クリスマスディナーと響貴に告白させようと奔走するがうまくいかない。翌年、千鶴、響貴を除いた大学時代の同級生4人で新年会を行い、その際、果凛は舞と華生から響貴と千鶴をくっつけようとしていたことを打ち明けられる。果凛は舞の幹事力や華生の容赦ないところがあれば自分たちの作戦がうまくいくのではないかと考え、自分たちの作戦を舞たちに伝える。華生は「婚約ぐらい破棄できるのだから、千鶴を心変わりさせよう」と提案し、葛藤はありながら最終的に皆その意見に賛同し、千鶴を心変わりさせる第2弾の“告白撃“が始動する。響貴と千鶴をくっつける作戦はうまくいかず、千鶴の結婚式当日を迎える。披露宴の厚紙でできた二つ折りの席札には新婦からの個別メッセージが書いてあり、響貴の席札にはお約束で千鶴らしい前向きなメッセージがあった。千鶴の花嫁の手紙のスピーチ内容も普遍的なものであったが、響貴の席札の内容を踏まえて聞くと、千鶴のスピーチは新郎新婦について語っているものではなかった。千鶴が新居に引っ越しをする日、響貴は自分の気持ちを千鶴に告白する。




そしてこの話、頻繁に実在するバンド a flood of circle の「Honey Moon Song」が引用されてるんですね。特に大事なのはこの一節「君を縛るやつから 奪い去ってやる」これの解釈の仕方ですね。これはねぇ。感動しました。


正直この話は千鶴の結婚式より前は序章(と言っても絶対に必要な過程ですよ。ミステリで言う伏線貼ってるみたいな感じ)でそれ以降が本編(ミステリで言う伏線回収的な。今回はここで感情が放出される)な気がしてます。結婚式での千鶴の一撃から響貴の迷い、前を向くまでここがすごい感情の入り混じったフェーズなんですね。ここの描き方が極上。着地点も完璧です。2人の人生を壊しかねない、身を切る一撃。これまでの千鶴は果凛に助けを求めたりしてきたけど最後は、自分の独断で、しかも告白させるためだけじゃ無い、これからも共に親友として歩む道を指し示す文言を公の場で2人だけ伝わるように言うっていうのが凄い俺に刺さるポイントだし、序章で見せた千鶴らしいやり方だなって思って感動しました。そして響貴も優しいやつなんですよ。千鶴の幸せを願うあまり、思考が空回っちゃった良いやつです。「好きだったよ」に全て詰まってます。もう言うことはないです。
















終わりに
全人類この本買え


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