小品盆栽、東京支部講師陣の楽しみ方 (04-中編)
(前編からのつづき)
【超小盆栽・はさみづくりについて】
ーー先にお話が出ましたが、土屋さんの盆樹といえば東京盆栽の代名詞「古くて小さい」の究極だと思いますが、超小盆栽について教えてください。
小品盆栽、ミニ盆栽よりもっと小さいから、超小盆栽。誰も名乗ってないものをと思って私が名付けたのです。
超小盆栽は、まず、こんな社会(鉢)でどの木が生きるか、というのがあるでしょう。だから、小葉性のものばかり集める。ちっちゃい葉っぱになるものを。たとえば、ほおのきは小品盆栽にするのは難しいのと同じことで、これ(鉢)よりでかい葉っぱになっちゃいけないよなと。
ーー超小盆栽におすすめの樹種などありますか?
松柏では、杜松がいちばん葉っぱが短い。真柏はでかくなっちゃうし杉もけっこう伸びちゃうでしょ。ソナレもいい。五葉松はいい葉性のものはちっちゃくなるね。
とにかく葉っぱをでかくしない。要は葉っぱが太くなれば枝も太くなるわけだから。だけどこれが難しくてね、葉っぱがないと木が水を吸わない。五葉松はそれで苦労したことがあります。
雑木なら紅葉、石化檜、チリメン、つげがいいね。つげは最近3種類ほど小葉のものを買ってきました。それから、唐楓はひとりでに、自分でちいちゃくなるよ。
ーーどのように超小盆栽に仕立てていきましょうか?
小葉の犬つげなら一葉ぐらいのところで挿しちゃう。
枝なんてなくたっていいじゃない? 来年再来年、枯らさなければ次のチャンスでまた(枝もできて)見せられると思ってね。
ーー唐楓はひとりでに小さくなる?
唐楓は根がパンパンになってくればだいぶ葉っぱが小さくなる。葉刈りはまずしません。鉢が大きいときは大丈夫だけど超小では無理。
最初から小さい鉢に入れて覚えさせる。木は覚えるんですよ、自分の世界を。これ以上は大きくなれないんだってちゃんとわかるから。だから最初に植え替えるとき、どの鉢に入れるかが重要。でも不思議だよ。幹は太ってちゃんと根張りができるの。
俺、この前の展示会で唐楓飾ったじゃない。そうしたら写真を撮ってた人たちがね「こんなにちいちゃい!」って。そうじゃない、根張りを見なさいよって大野さん(盆栽大野 大野朝美氏)が言ってくれてたね。切って挿せばできる、そんな簡単なものじゃないよと。けっこうかかるよ、唐楓。前回(第50回全国小品盆栽名品展)飾った唐楓は10年以上鉢に入れっぱなしだよ。
ーー土屋さんは「はさみづくり」で盆栽を作っておられますよね。
そう。本当にいい盆栽を作るのはね、はさみづくりです。針金は針金の限界があるでしょう? 木っていうのはだいたいこうなってる(手で自然な形を作りながら)んですよ。それがね、針金では出せない。針金はS字型の曲はできるけどね。はさみづくりは、自然のような枝ができる。それを続けていくと本当にいい木になる。味が出ますよ。
剪定する枝の見極め? それはもう強い枝を切ります。この枝に対してこっちの枝はもう将来ダメだということで切る。混んでるところは透かしてやる。じゃあどの枝から切るかって言うと、忌み枝から切っていくわけです。
【飾りについて】
ーー先に「飾りは土屋さんの頭の中」だとおっしゃしました。それを、どのように表現されておられるのでしょうか?
ほぼ毎回設計図を描いてます。こんなふうに設計図を残しておくと後々も面白いじゃない?
飾りで俳句を表現したりもしますよ。私の雅号、「琢柿(たくし)」は、日本画の先生が付けてくれました。「60過ぎたら『烏柿(うし)』と名乗りなさい」って。烏(カラス)ですよ。縁起がいい鳥なの。あんまり使ってないけど。フフ。そういうのが面白いよね。盆栽以外に視野を広げて綺麗なもの貴重なもの美術館でもなんでも見に行くのがいいですよ。
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