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2025年早春エッセイ【4】 新年の盆栽への思い:日本小品盆栽協会東京支部
新年を迎えると、多くの盆栽愛好者にとって楽しみな国風盆栽展が近づく。
しかし、日本の盆栽界の将来は一体どうなるのだろう。
本年1月6日の日経朝刊によれば、この国の盆栽業者には大きな2つの問題があるように思える。
一つは、盆栽の窃盗犯対策が必要になってきたこと、もう一つは国内市場の販売の伸び悩みと共に人手不足や後継者確保が難しく、海外市場の販路拡大が欠かせなくなってきたことがあげられる。
盗まれた盆栽を見つけ出すのは容易でなく(恐らく海外へ持ち込まれるのだろう)、泣き寝入りするしかないようである。
一方、日本の盆栽の輸出額は増加傾向にあり、財務省の貿易統計では2023年の輸出額は9.2億円と前年比で32%増加し、2019年対比で2倍弱に増えている。国別の輸出割合は、中国22%、イタリア21%、オランダ20%、ドイツ10%、スペイン7%、英国6%、その他14%となっている。
訪日外国人は盆栽だけでなく鉢についても興味関心が高く、常滑にも買い付けにきていると私の知人が教えてくれた。
日本の気候に順応している盆栽が海外に持ち込まれた場合、その国の気候に順応していけるのか疑問に思ってしまう。日本から盆栽を持ち込むのではなく、その国の植物を盆栽として育成し楽しむことではないのかとも思う。
外国では、盆栽人気が高まっていると言われるが、世界各地の盆栽事情を具体的に知りたくもなる。
文化庁が、盆栽をユネスコ無形文化遺産に登録申請することも考えられるだけに、日本の伝統文化と言われる盆栽/BONSAIをいつの世も大事に守り育てていきたいものである。
(盆栽老人)
2025年早春エッセイ INDEX
■ 深刻な気候の異変
■ 初秋、畔柳支部長の棚場を訪れて
■ 秋の親睦会 青梅周辺の盆栽園巡り
■ 新年の盆栽への思い