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どんな時でも自分は自分の最大の理解者でありたい

急性骨髄性白血病の治療を始めて3ヶ月半。約4週間1クール抗がん剤治療を3回終えて、現在は骨髄移植に向けて、全身の検査や新薬の投与を行うために入院しています。

毎クールちょこちょこ嫌なこと(皮疹、食欲不振、下痢、便秘、発熱、カテーテル挿入による不自由感、カテーテル挿入失敗、骨髄穿刺、皮膚の生検、輸血によるアレルギー等)はありましたが、大きな問題はなく無事に治療が進んでいます。

3回の抗がん剤治療を経て、がん細胞である芽球の数値は1.6%。血液学的寛解を保てている状況(5%までは血液学的寛解と呼ばれます)。入院した当初は80%という驚異の値だったので、抗がん剤の効果てきめんです。

急性骨髄性白血病のスタンダードな治療では、寛解導入療法と呼ばれる抗がん剤治療1クール+地固め療法と呼ばれる抗がん剤治療3クールの計4クールで入院治療は終了となります。しかし遺伝子に変異が認められた場合は、造血幹細胞移植(いわゆる骨髄移植)を行わないと再発のリスクが高いと言われています。

私には2つの遺伝子変異が確認されていて、ひとつはFLT3-ITD遺伝子変異。もうひとつはRUNX1という遺伝子の変異です。なので移植マスト。

骨髄移植の段取りが整うまでひたすら抗がん剤治療で繋ぐ、という話も医師からあったのですが、抗がん剤をやり続けることへの不安(身体への負担)を伝えたところ、先生同士で話し合ってくれた様子で「抗がん剤治療は今回でやめて、遺伝子変異の阻害薬で移植まで繋ぎましょう」ということになりました。

RUNX1についてはレアであり研究も進んでいないようですが(進めてほしいな…)、FLT3は急性骨髄性白血病患者の3分の1に認められる遺伝子変異ということで研究が進んでいて、2018年12月にギルテリチニブ(商品名ゾスパタ)という阻害薬が日本でも承認されています。

ニーズがある分野についての医学の進歩は目覚ましく、つい3年前にできた薬にお世話になることになりました。おかげで抗がん剤4回目を免れることができて開発者に感謝です。1錠2万円の高価な薬を、1日1錠からスタートし血液検査で様子を見ながら、最終的には1日3錠の服用となります。1日6万円…!!次は日本の保険医療制度に感謝…。

さて本題の骨髄移植。当初は「抗がん剤3クールやったら移植」と言われており、今頃移植している予定だったのですが、その後「コロナ禍で骨髄バンクもドナーさんを受け入れる病院も身動きがとりにくい状態である」ということで「移植は3月末か4月に」と言われて一昨日までそのつもりで過ごしていました。

しかし、昨日の朝主治医から「まだドナーさんの最終同意は取れていない状況だけど、最速でも(骨髄)採取日は4月18日になりそう。本来ならば採取日に移植するので、その日に合わせて前処置(抗がん剤+放射線治療10日間)を始めておくのだが、コロナ禍では、いつドナーさんがコロナになって採取できなくなるとも限らないし、濃厚接触者になって病院に来られなくなる場合もあるので、採取できたことを確認してから前処置に入る。そうすると移植日あたりにはGWがやってきて病院が手薄になるので、移植のための入院はGW明けにする方が良い」という話がありました。そして、それまでの2ヶ月は新薬で繋ぎつつ、定期的に血液検査を行う通院治療となります。

ゴールテープがどんどん遠ざかっていく感じがして、気持ちを保てるか不安になりました。しかしすぐに「すべては自分の最善のタイミングで起きている」と思い直して深呼吸。これでいいんだと思うことにして過ごしました。

思い直したはずなのに、その夜は眠れませんでした。

不安な気持ちを無理やり急いでかき消したので、まだ不安が残っているのだなと判断。「そうだよね、不安だったよね。うまくいけば5月中に退院できると思って今後の生活を組み立ててたのが崩れちゃったもんね。スケジュールが延期になって嫌だったよね。このままの勢いで移植に向かいたかったのに、2ヶ月もシャバにいたら治療へのモチベーションがダウンして逃げ出したくなるかもしれないもんね。梅雨時に入院してるのも鬱々しちゃうよね。」と、不安な自分に寄り添いました。

ポジティブ思考は良いことだけど、ネガティブ感情を焦ってかき消すと逆に残りがち。一旦落ちてからゆっくり戻ってくればいい。その方が長い目で見るとずっといい。無理やりかき消されて成仏していない不安は夜な夜なやって来そうだから。

どんな状況においても、自分のことは自分が一番理解してあげていたい。なんせいつも一緒にいるのだから。責めたり抑圧したりせずに思いをちゃんと聞いてあげたい。そこから考えよう、一緒に。という気持ち。

なので、今は「シャバの2ヶ月で筋力を元に戻して、皮疹に苦しんだ皮膚もいい状態にして、栄養をつけて、移植に向けて万全な体に整えよう」と思っています。

自分と仲良く。自分にやさしく。

すべてはそこからだと思った出来事でした。



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