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U2が影響を与えた音楽⑦21世紀イギリス編


U2が影響を与えた音楽⑥

Coldplay

地元のショッピングモールに行って、見知らぬ人に「もっともU2のように聞こえる最近のバンドは?」と尋ねてみてほしい。賭けてもいいが、トップアンサーはColdplayだろう。彼らはそのキャリアを通じて常にU2と比較され、実際、マーティンのボノのような高揚感溢れる歌い方からジョニー・バックランドのエッジのギター演奏法に対する強迫的なレスペクトまで、両者には共通点が多い。Coldplayにとって初めてのスタジアムアンセムであるViva La VidaはU2のHow to Dismantle an Atomic Bomb(2004)のオープニングを飾ってもいいような曲で、そうなっても両者のファンは驚きもしないだろう。

The 15 Best Songs From This Century That Wouldn't Exist Without U2: Critic's Picks

キング・オブ・U2フォロワー。U2とRadioheadの間を埋めたのがColdplayではないでしょうか?クリス・マーティンのヴォーカルはボノよりもスティングに近い気がしますが。そのクリスは14歳でアクトンを聴いて以来のU2ファン(ちなみにノエル・ギャラガーがTop of the PopsでFireを演奏するU2を見てファンになったのも14歳の時)。大学の卒論もU2。曲作りしている時はいつも念頭にU2があるのだとか。1度自分たちが築き上げたスタイルをブライアン・イーノでぶっ壊して(が、イーノが関わっていない『Ghost Stories』が1番イーノぽいという不思議)……というところもU2に似ており、お互いにリスペクトし合っています。

僕ら、どのミュージシャンのこともリスペクトしている。とくに、メンバーを変えずに長いこと活動し続け、いつも素晴らしいってバンドをね。U2を超えるのが難しいのは、僕らはまだ4枚のアルバムしか出してないということだ。5枚目のアルバムを出したバンドと競ってるところなんだ。彼らが『Revolver』(ザ・ビートルズ)や『The Joshua Tree』(U2)を作っていた段階にようやくたどり着こうとしている。レベルが違い過ぎるよ。
(クリス・マーティン)

コールドプレイ「U2からの悪口は気にならない」

そしてコープレの3rdアルバム『X&Y』はU2の影響下で作られたそうで、「X&Y」を引っさげてのツアーはU2のライブみたいと言われていたそうです。

U2のZOO-TVツアーの映像(この秋にDVDが出るらしい)を観ると、クリスの登場の仕方から、いろんな細かい演出まで、あまりのU2への憧れぶりを素直に出していることに驚くのだけど、それだって普通の人たちが夢見る「ああ、おれはルックスは冴えないけどせめてボノみたいになれたらなぁ」を現実にしているのだ。

2014年12月1日にニューヨークで開かれたRed主催の世界エイズデーのイベントには、怪我で欠席したボノの代役でクリス・マーティンが登場。「Beautiful Day」を熱唱しました。

 クリス・マーティンがローリング・ストーン誌に寄稿した文。

僕は週末のアイルランドのライブのチケットを買っていないし、会場の前をうろついてもいなかった。けれどもU2はそのすべての作品を空で言える唯一のバンドだ。「The Unforgettable Fire」の最初の曲の「A Sort Of Homecomig」――もちろんその前後の曲も知っているけれど――は興奮するし、素晴らしくて美しい曲だ。僕の子供に初めて聞かせた曲の一つでもある。
初めて聴いたU2のアルバムは「Achtung Baby」だ。91年、僕は十四歳だった。その前は、僕はアルバムというものがなんなのかさえ知らなかった。それから僕は彼らの過去の作品を遡っていった。六ヶ月ごとにU2の新しいアルバムを買った。彼らが生み出したサウンド――ドライブ感のあるベースとドラム、天上から降りてきたかのようなこの世のものとは思えないエフェクトの効いた曲ーーはこれまで聴いた
ことがないものだった。彼らは唯一アンセムロックバンドだと思う。間違いなくベストだ。
U2でもっとも好きなのは、曲やアルバムよりもバンドを重視していることだ。いまだに親友同士で、お互い不可欠な役割を担っているということころが好きだ。変わらないところもね。たとえばラリーが一週間スキューバダイビングに行ってしまったら、残りのメンバーは何もできない。 U2 —ーColdplayもそうだけれどー— アルバムに収録されているすべての曲にバンドがクレジットされている。それに彼らは三十年間もメンバーチェンジなしにやってきて、解散もしていない。
世界一のバンドがその音楽の中に誠実さ情熱を持っているのは素晴らしいことだ。僕たちの社会はまったく捻くれているし、名声はくだらないほど時間の浪費だし、セレブリティ文化はくだらない。勇敢にも反対の声を上げたり、名声をいいやり方で使う人は、ほんのひと握りしかいない。そういうことをする度に、僕は間抜けになった気分になる。ボノは実際にそれらのことを成し遂げているからね。みんながジョージ・ブッシュに忠誠を誓っている間、ボノはブッシュを説得して、アフリカのために何十億ドルもの金を拠出させら人物だ。人々はシニカルになりがちだーー善行を積むのを好まないーーけれどもボノの態度は「他人にどう思われるかは興味ない。僕は僕の意見を述べるよ」という感じだ。彼はグリンピースと一緒に、サラエボで、セラフィールド核燃料処理施設反対コンサートで、実に多くのことを成し遂げ、いまだに人々の非難を受けている。Coldplayがフェアトレードに関わろうとしたとき、僕たちは他人の意見なんてお構いなしに、堂々と自分たちの意見を述べたよ。それが僕たちがU2から学んだことだーー自分自身に勇敢であれ、と。

そして世の中にはColdplayに似ているためにU2ぽいといわれているバンドが存在するのです。

Coldplayに似ているためU2に似ているバンド

White Lies

PVの日本人女性のダンスも印象的なUKのバンド。あちこちでU2のフォロワーと書かれていますが、こういうダンサンブルなバンドはU2というよりも寧ろColdplayでしょう。

Razorlight

UKのバンド。1stアルバム『Up All Night』はリリーホワイトがプロデュースし、U2の前座も務めています。ここもColdplay。

Mornig Parade

UKのバンド。ここもColdplay。

Interpol

アメリカのバンド。The Chamaeleonsの直系といわれているそうです。これもU2というよりColdplayに近いような気がします。

for King & Country

オーストラリアのクリスチャンロックバンド。ウィキに思いきりオーストラリアのColdplayと書かれてありました。

Muse

Museは2009年と2011年にU2の360度ツアーの前座を何度か務めたが、このチョイスにはこの時代のトレンドを感じるだろう)。そしてシンガーのマット・ベラミーは、特に1991年のActung Babyにおけるエレクトロ・ロック・スタイルのU2のサウンドがMuseの2012年のアルバムThe 2nd Lawに多大な影響を与えたことを認めている。先例に倣って、アルバムに収録されている脳裏に焼き付いて離れないMadnessは、時代の主役たらんとしてエッジのワープペダルと格闘しながらジョージ・マイケルのFaithをイメージして歌ったボノのように聞こえる。

The 15 Best Songs From This Century That Wouldn't Exist Without U2: Critic's Picks

デビュー当初はレディへのフォロワー扱いされていましたが、グラストンベリーでエッジとStreetsを共演し、360度ツアーで前座を務めると、急速にU2に接近。2013年の6th『The 2nd Law』では、アクトンからの影響を公言していました。

U2とは去年南米をツアーしたんだよね。その影響がちょっとだけこのアルバムにも表れてるんだよ。『アクトン・ベイビー』がちょっとずつそこかしこで顔を覗かせてるんだよね

ミューズのマシュー・ベラミー、新作がU2に影響されていると語る

Editors

ジャックナイフ・リーがプロデュースした2nd『An End Has a Start』はネオサイケ路線で初期U2を思わせ、フラッドがプロデュースした3rd『In This Light and On This Evening』はイアン・カーティスをヴォカールにしたNew Orderという感じで、2013年の4th『The Weight of Your Love』は、まんまU2といわれました。この曲は「Even Better Than the Real Thing」のギターのリフをまるまるコピーしています。個人的にはここはスタイルは変えるのはいいですが、前後のつながりにかけるというか、その変化に必然性を感じません。器用なんでしょうけど、それを通り越して器用貧乏のような気がします。
ちなみに「いつかは、R.E.M.やU2の域に達したい?」という質問に対して、彼らはこう答えています。

次のU2になるぞ、という気持ちはないな。自分達自身が誇りに思える作品を作り続けていくだけだよ。でも、僕らは、最高傑作を産み落とせるだけの力は秘めていると思うよ。

The 1975

2013年に彗星のごとくデビューしたThe 1975。トーキング・ヘッズ、プリンス、マイ・ブラディ・ヴァレンタイン、マイケル・ジャクソン、ピーター・ガブリエル、ブライアン・イーノ、ディアンジェロ、シガー・ロスなんかの影響を受けているらしく、U2には全然似ていませんが、1stアルバムだけU2ぽかったです。

既発EPの表題曲“ザ・シティ”、“セックス”、“チョコレート”――どれも掛け値なく素晴らしいポップ・ソングで、押し並べて狂おしく、切ない――では、どこか初期U2的な憂いを漂わせていたのに対し、アルバム初お披露目曲の大半の彼らはタガが外れたかのように、すっかりはっちゃけている。これはU2のキャリアで言うなら、1stアルバム『ボーイ』とよく似たアルバムで、未熟さや稚拙ささえもかけがえのない魅力として味方につけることに成功してさえいる。アーケイド・ファイアとはまったく別の、まったく違ったアングルから、彼らザ・1975がU2の胸元に挑みかかる存在へと成長する姿を見たい。と、切に思う。
(田中宗一郎)

新世代随一のポップ・ポテンシャルを持つバンドによる壮大なサクセス・ストーリーの第一歩

The Twang

バーミンガムのバンド。mixiのU2コミュにU2ぽいとありました。最近、ちょっと名前聞かなくなりましたね。

The Upper Room

ブライトンのバンド。2006年に発表した1stアルバムがUKチャート50位と健闘(U2の『Boy』は52位)。「I Will Follow」をカバーしていますが、影響を受けたのはU2ではなく、フィル・スペクターのようです。が、「16、17歳あたりから20、21歳あたりへと変化する。そういった時期の気持ちを反映した曲が多いんだ」というメンバーの言葉どおり、このアルバムからは、どこか『Boy』に似た印象を受けます。最初から最後まで同じテンションの曲が続くのも『Boy』ぽい。今後の活躍が期待されましたが、デビューしたそのの2006年の11月、バンドはウェブ上で突然解散を宣言しました。

その後、アレックス君が結成したのがVoxpop。これこそが私がThe Upper RoomがU2の影響下にあると(勝手に)断ずる所以です。ボノはBono、その前はBonovox(ダブリンにあるBonavoxという補聴器屋から採ったもの)。そしてU2には『Pop』というタイトルのアルバムがあり、voxとpopを合わせてVoxpopというわけです。強引でしょうか? 私はそうは思いません。が、そのVoxpopもマイスペに数曲デモを挙げただけで、姿を消してしまいました。才能溢れるアレックス君は一体どこへ行ってしまったのでしょう? このまま消えてしまうのは本当にモッタイナイ。

Glasvegas

スコットランドのバンド。『AHK-toong BAY-bi covered』に「Acrobat」を提供、360度ツアーの前座、2ndアルバムのプロデューサーにフラッドを起用とここもフォロワー道を歩んでいるように見えますが、色々調べてみると、ジザメリとかマイブラの名前は出てきますが、U2とはあまり関係ないようですね。でも『Achtung Baby』は好きらしいです。

そして(フラッドが関わった作品で一番好きなものといえば)、U2の『Achtung Baby』。彼は『Joshua Tree』にも関わってたよね。そういうアルバムはすごく好きだ。アルバムの中の、センティメントが好きって言うか……『Achtung Baby』のなかには、自分でこんな曲を書けたらなって思ったような曲が何曲もあった。

The Courteeners

マンチェスターのバンド。「U2みらいにビッグになりたい」と公言しているらしいですが、いまいち没個性のような。

Some Velvet Morning

ロンドンのバンド。U2に影響を受けていると公言しているらしいです。バンド名はThe Velvet Undergroundからでしょうね。

Chapel Club

ロンドンのバンド。「Editorsとエコバニ足したみたい」という評価があるそうです。

The Boxer Rebellion

アメリカ人のボーカルとオーストラリア人のギターがロンドンで出会って結成。バンド名は「義和団の乱」の意味。曲がドラマの主題歌に使われたりもしているようだが、セールスはいまいち伸び悩んでいるそう。

U2が影響を与えた音楽⑧

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