小1 味噌おにぎりはすぐ出来る
小学校に入学すると姉とのバス通学が始まった。
当時我が家は江戸川区篠崎というところに住んでいたが、小学校はバスで十五分ほど駅の方に行った別の小学校に通っていた。家の近くにも小学校はあったと思うが、母の意向でそうなった。だから家の近くには同じ学校に通う子供はおらず、友達と遊ぶのにもわざわざバスに乗らなければならなかった。
朝は早めに家を出て、バス停でバスを待つ。ストライキでバスが走らないときは姉と一緒に江戸川の土手を歩いて学校まで行った。忘れ物をしても取りに帰れないからあきらめるしかなかった。
小学校入学後の初めての遠足に何日も前からワクワクしていた。
ところが、昨夜からの雨が朝になっても止まず、当然遠足は中止になると母は判断した。
私は何度か母に確認したが、
「この雨じゃ無理よ」という声にやっぱりという思いで、傘を差してランドセルをしょってバスに乗った。
しかし、・・・学校が近づくにつれて空がだんだん明るくなって
・・・雨がやんできた。
あれ、もしかしたら遠足あるかもと思いながら不安な気持ちでバスを降りた。
学校に着くと先生から、雨が止んだので遠足は予定通りに行くことが告げられた。
わー・・・やっぱり。
私のように遠足の用意をしていない子はすぐに家に戻ってリュックをしょってくるように言われた。
私は大急ぎで学校を出て、遠足の支度を取りにバスに乗って家に戻った。
駆け足で家に走り、母に遠足に行くことを伝えた。
「え?・・遠足行くの?・・・じゃ、おにぎりでいいね」という母の声。
「何でもいいから早く作って!」
母は大急ぎで白い大きなおにぎりを一つ作って、周りにお味噌をたっぷりつけて包んでくれた。
水筒とおにぎりを入れたリュックをしょってバスに乗り込み、なんとかみんなと合流して遠足に行けたのである。
あの遠足でどこに行ったのかは覚えていないが、味噌おにぎりの手軽さはしっかりと記憶に刻まれたのだった。
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