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64歳 国によって書き方が違う1と7
数字の書き方が国によって違うと知ったのは、今から36年前にスペインに行ったときのことだ。
ホテルやアパートの家賃の領収書に書かれる文字をよく見ていると、日本で書かれる数字とは少し違っていた。「1」は上から下に書くのではなく、まず下から上に書きそれから下に長く書く。「7」はカタカナのフのように書いてから真ん中に右下がりにメのように書くといったことだ。
友人に聞くと、「1」の書き方はアルファベットの「L」と間違わないようにするためで、「7」の書き方は「1」と区別するためと教えてくれた。それを知ってから、私も間違われないように現地ではスペイン流に書くことにした。
娘のベルギーの小学校の宿題で数字やアルファベットを何度も枠線の中に書いていくというのがあった。数字の「0」もアルファベットの「O」も必ず反時計周りで書くように先生からうるさく言われたという。文字は常に右に向かって進んでいくから初めにしっかりと右に向かって反時計回りのらせんが書けるようにとのことだった。
日本では「〇」(まる)が文字によって書き方が違う。数字の「0」やアルファベットの「O」は上から反時計回りに書くのに、文章の最後の丸(句点)やパピプペポなどにつく丸(半濁点)は下から時計回りに書く。そして、そう書く習慣が知らないうちに身についている。
あれれ・・・今書いてみたら、何と私は半濁点(ぱ)を逆に書いているではないか。もう大人だから問題ないけど、いつの間にか自分で変えてしまったのだ。
娘はベルギーの小学校と日本人学校の補習校に5年生まで通っていた。もしかして、娘は句点も何もかもアルファベットのように反時計回りで書いているのかもしれない、と今さら気になる。そういえば割り算の筆算の書き方も違った記憶がある。割られる数字と割る数字が同じ高さに並んでいて、その間に縦棒を長く引いて左右の数字の下に数字を書いていくのだった。私はそれで筆算をやったことはないが、これも娘は日本式ではなくずっとこの書き方でやっていたのだろうか。
先日、数字の「1」と「7」についてオーストラリア人の男女に聞いてみた。するとさらに違う書き方があり、異文化理解に花が咲いた。オーストラリアでは「1」は下から上に書きそれから下に書き、さらに下には必ず横棒を入れるそうだ。「7」はカタカナのフのように書くだけだという。
でも、そこにいた女性は母親がイギリス人なので、「7」はカタカナのメのように斜め線を入れるという。これはヨーロピアンスタイルと言っていた。
ひょんなことから知った数字の書き方だったが、それよりも娘の句点の書き方と割り算の筆算を一度この目で見なければと思った。
そういえば、ベルギーで1桁の掛け算を娘が即答するのを見て、先生はコメント欄に「天才!」と書いて成績も最高点を付けてくれた。娘は単に日本式の九九を覚えていただけのことなのだが。
「先生に日本の九九の話をしようか」と娘に言ったら、
「それだけはやめてちょうだい」といわれた。