“差別”と言う名のウイルス🦠(🇫🇷仏時事問題)
2月14日時点で11人のコロナウイルス感染が確認されているフランス🇫🇷
中国への空港便は全面運休、帰国者の隔離を徹底しているフランスでは、市民の危機感はまだ薄い。街中でマスクをしている人を見かけることは無い😷
だが、“差別”と言う名のウイルス🦠は確実に広まっているようだ。
僕は先日、約束があってトラム(路面電車)に乗ってパリ東部の待ち合わせ場所に向かっていた🚋
空いていた席に座って、携帯電話でコロナウイルスの現状に関する記事を読んでいたちょうどその時、突然僕の額に何かが当たり💥膝の上に赤い熊のグミ・キャンディ🧸が転がり落ちた。顔を上げると、3メートルほど離れた所で小太りな黒人女性が手すりに寄り掛かり、袋に突っ込んだ手からグミを貪り食べている。
僕は指ではじかれたような軽い痛みを感じた時、確かに「シノ…」という低い呟き声を聞いた。まるで豆鉄砲を喰らった鳩のように驚いて🐦すぐに状況が理解できなかった。
シノワ…(Chinois=中国人め…)
彼女は確かにそう言った。
僕のことを中国人だと思い、手に握っていたグミを僕めがけて、節分の豆まきのように👹悪意を込めて力一杯投げつけたのだ。
彼女が僕に投げつけたのは所詮グミ…大したことはない。だが目を直撃していたら笑い事では済まない。
憎しみに満ちた差別行為を受けたと理解すると、激しい怒りが僕を襲った🌊
黒人女性の胸ぐらを掴んで車外に引き摺り下ろしたい衝動を、必死になって抑えた。幸い、黒人女性は次の駅で降りた。
怒りで気分が悪くなるが、しばらくして落ち着くと、ふと…あることを思い出した。
2011年、僕がまだパリの日本食材輸入会社で働いていた頃、東日本大震災が起きた。当時、水素爆破で大破する福島第一原発の映像が、連日メディアで流れていた。
フランス人の顧客たちの中には、僕の手を握り「ご家族は大丈夫?友達は?日本のことを思っているわ!」と、涙を浮かべて慰めてくれる人たちがいた。だが…お見舞いの言葉と同時に「日本からの輸入食品は大丈夫?本当に安全なの?」と心配する声も多く、会社の売上げは瞬く間に半減した。
「今店頭にある製品は、震災前に入荷したものです!今後、福島の製品を入荷する予定はありません」と、胸が張り裂ける思いで説明した。
気持ちは十分に理解できたけれど、恐怖がここまで人の態度を豹変させるものかと、現実を見せつけられた気がした。
1980年代のエイズ禍も同様である。ゲイである、外国人であるというだけで毒虫のように扱われた。
恐怖や無知による「差別」と言うウイルス…🦠 その拡散力と破壊力は凄まじい。
アルベール・カミュの“ペスト”を彷彿させる🐀このパンデミック。
我々は今、改めて“不条理とは何か?”と問われている。
これ以上の拡散を防ぐためにも、患者の隔離は必要である。一人一人が自分の身を守らなければならない。それが、他の人を守る手段でもあるから。
しかし、接触を避けても心は寄り添いたい。マスクをしていても、武漢の人々を思っていたい。
我々にできることは限られているが、お花畑と嗤われても良い。連帯と希望を失いたくない。
1日も早く事態が収拾し、また元の生活が、笑顔で抱擁できる日が戻ってくることを願ってやまない。
何だか申し訳なくて、お願いするのは苦手ですが…。 サポートして頂いたら、もっと様々な経験をして、もっと色々なことをお伝えできればと思います。頑張りますので、どうぞ宜しくお願いします!