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俺の読書感想文 #1【有頂天家族 二代目の帰朝 森見登美彦】

2024年最初の本はこちら。

【有頂天家族 二代目の帰朝 森見登美彦】

 単行本で発売されたのは2015年2月26日。俺が読んだ文庫版は2年後の2017年4月5日に発売された。

 2007年9月に発売された『有頂天家族』の続編で、3部作となる予定の『たぬきシリーズ』の第二部である……らしい。

「阿呆の血のしからしむところ」を合言葉に、化けたぬきの主人公が天狗やら人間やらとドタバタする話で、森見登美彦らしいマジックリアリズム(名前がカッケーな)を駆使し奇天烈な世界観をもったいぶった文章で描くコメディ作品だ。

 俺自身、森見登美彦のファンなので第一部は読んでいたが、ぶっちゃけ森見作品の中ではそこまで好きじゃない作品だった。
 森見作品だと腐れ学生が主人公のコメディ系の恋話(雑な分類)系が好きで、『きつねのはなし』とか『夜行』とかっていうホラー寄りの作品とかは微妙だなって思ってた。

 ま、有頂天家族はコメディだし、世界観は森見作品で毎度の森見京都(俺の造語。森見作品が全部うっすら繋がってる世界)だし、好きそうな作品なんだけど、アホなタヌキが主人公だし、人間らしい恋はしないし、なーんか微妙だったんだ。

 なので、続編があるのは知っていたが、なんとなく手が出なかった。
それが今年、たまたま暇で本でも読むかって時に書店で目に入ったから買って読んだのだけど、めちゃくちゃ面白かった。

 前作を読んでから時間が経ってるので、設定やらキャラやらをすぽーんと忘れてて、軽く置いてけぼりになりかける瞬間はあったので、初見でここから読むのはオススメできないが(ま、そんなやついないか)
 ともかく、よかった。

 昔は主人公のタヌキの素行やら言動やら考え方やらが、妙にやだなーって思ってたのに、それが全部裏っ返った。

「タヌキだから良いんだ。」って。

 最近の社会やら自分の周りの環境やらのせいで、人間に対してある意味での諦観があったからなのか、昔はなんだか妙にいけすかねーって思ってた作中のタヌキどもが愛しくてたまらなくなったわけだ。

 主人公タヌキの兄弟四人とも愛しいし、雷が鳴ると尻尾が出ちゃって化けの皮が剥がれちゃう母ちゃんも可愛いし、敵役の夷川家のアホタヌキの兄弟のムカつく感じも可愛く見えるし、姿を現さない主人公の元許嫁で、口がすこぶる悪いの海星ちゃんも可愛いし、みんな可愛いの。

 もちろん、赤玉先生(天狗だけど、もう何もできなくて偏屈なだけの爺さん)とか、弁天(半天狗で美女だけど、タヌキ鍋するし高飛車だしムカつくけど、時々寂しそうな感じがグッときちゃうクソ女)とかも、全部キャラがいいのよ。

 そこが有頂天家族のっていうか、森見作品の良さなのよ。
まー、ハマらない人はとことんハマらないんだよなって感じだけど。

 そうだなー、
 現代社会に疲れてて、でも人間辞めるわけにもいかないし、仕事だってやらなきゃいけないし、歳食ってきてだんだん社会的にも身動きがとれなくなってきたくらいの層の人で、でもファンタジックな世界にはやっぱり憧れるし、ちょっと世の中の隙間を覗いたら、面白い世界が広がってたらいいのになーって妄想とかしがちな社畜なんかには大変お勧めできる作品なんじゃないでしょーか!!

以上!
俺の読書感想文!
第一回、有頂天家族 二代目の帰朝

でした!

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