モンペと不良とセンセイと。(1)構ってちゃん不良編
私の通っていた中学校は近隣でも有名な荒れた中学校だった。
バイクで校門に乗り付けてきたり、窓ガラスが割れたり、4階から机と椅子が降ってきたり、飲酒喫煙の噂があったり、髪を染めていたり、教師に反抗したり、急に学校に来なくなったら「ネンショー」:所謂少年院に入院しているらしいと風の便りで聞こえてきたり、と齢14,5にして色々とやらかしまくっている中学生の巣窟だった。
勿論そういう人は一部で、大半はその人達に便乗する中途半端な不良か、事なかれ主義の生徒か、出来る限りそういう人達に目をつけられないようにひっそりと暮らす生徒かだったのだが。
私も御多分に洩れずひっそり暮らす人間だったので、髪をパツキンに染めもしなければ、暴れもしない中学生だった。
ただ、中学生ながらに「どうして不良生徒達はあのような行動をとるのか」が疑問で仕方がなかったので、割と考え抜いた覚えがある。
通っていた中学校は警察署が目と鼻の先、というか両眼の間の距離くらいの近さにあり、学校で何か問題を起こしたらすぐに警察官が駆けつける形になっていたのである。
だから、バイクを乗り回すのが目的なら(本当は乗り回すこと自体やってはいけないことだが)わざわざ学校に来て乗り回す必要はなく、どこかの山奥だとか校区外とかの人目につかないところでやるはずである。
窓ガラスを壊すのが目的なら(これもどこにおいてもやってはいけないことだが)学校ではなく、どこか発覚しにくいところでやるはずである。
となると、彼ら彼女らはその行為そのものが目的となっている訳ではないのではないか。学校でやれば必然的に人目につく。
違法行為だとわかっていながらそれをするのであれば、普通は人に見つからないところでやるのではないか?(そもそもそういう行為をすることがダメなのだが)
それを何故良くも悪くも内側は閉鎖的で外側は割と筒抜けダダ漏れの学校という場でやるのか?
当時の自分が辿り着いた結論としては、「単に構って欲しいから」というものだった。そしてその結論でもって見てみると不良生徒が構ってちゃん攻撃をする幼子みたいに見えたものである。
今もうちょっと考察を深めると、多分こんな感じになる。
教室の廊下の体育館の窓が割れれば騒ぎになる。20歳未満の飲酒喫煙、16歳未満のバイク乗り回しは問題になる。というかこの国では違法になる。
騒ぎが起きれば人の目が集まる。普段家でも学校でも人の目を集めることのできない「不良たる自分」に注目が集まる。心理学とかを修めているわけではないので専門的なことは言えないが、普通は勉強やスポーツや音楽といった「学校生活に於いてそうすることが評価者(教師・保護者に)期待されている活動・行為」によって人の目を集めるか、集めるべく努力する。思春期とはそういう「異常に人目が気になる時期」なのだろう。ただ、「以上のどれもを行う気がない、或いは行ったとしても人の目が集まらない、集めるだけの能力・努力が足りない、能力を伸ばす努力を行う気がない、努力はしたくないが結果は欲しい」みたいなファクターが重なると、安易に注目を浴びられる行動に走ることになるのではなかろうか。
一昔前と言ってしまっていいのか微妙ではあるが、バイト先の冷蔵庫に入ってしまったり売り物に何やかんやしたりした動画や画像をネットに載せる人がいたが、それも多分似たような行動原理を元に動いた結果なのだろう。最近はお手軽に人の目を集められる快感を得られるツールが溢れている、まあその分「やらかした」場合も凡ゆる情報が瞬時に漏れだすのだが。
そして安直に注目を浴びられる状況を作り出し、教師に叱られ(それすらも不良たちにとっては普段得られない「褒賞」なのかもしれない)、全校集会、校長先生のお話、と後はお決まりのルーティンコース。
やってる本人たちは安易に承認欲求を満たせてハッピーなのかもしれないが、ルーティンコースに巻き込まれる側としては「他所でやれよ!!」である。
そんなこんなで。
今から10年以上前のとある地方の田舎都市の片隅の中学校の情景を思い出し、その考察を加えてみた訳だが、今の中学生はどうなんだろう。
現在無職。文章を書いたり、何か面白そうなアイデアを出したりして、誰かの人生が豊かになれば良いなと思っている。