1号車1番A席
あれから7年が経過しました。
あの日の母娘は、どうしているのだろうか?
新幹線でのちょっとした出来事です。
盛岡から乗り込むと、私の指定席(1号車1番A席)に先客がありました。
A席に、20歳前後の若い女性。
となりのB席に、いかにも母親という感じの40歳代くらいの女性です。
私「あのう、そこ、私の席なんですが…」
ふたりに声をかけたら、顔を見合わせてキョトンとしています。
娘「これが私の切符ですが…」
娘さんが私に切符を見せてくれました。
そこには、はっきり『C席』と書かれてありました。
私「ああ、これ、窓側がA席で、通路側がC席なんですよ」
娘「そうなんですか!ごめんなさい」
母「慣れてないもんで、すみません」
私「いいんですよ、そのままで。実は私、新幹線に乗ると朝っぱらからビールが飲みたくなるんですよ。今日も買ってしまいました。トイレが近くて迷惑かけるから、このまま通路側に座りますので…」
娘「どうもありがとうございます」
少し話をすると、娘さんが東京で就職試験だということがわかりました。
私「じゃあ、お嬢さんが東京で暮らし始めたら、お母さん、新幹線で通わなきゃならないですね」
母「そうなんですよ、ねえ」
約3時間後、私は、上野で降りる支度を始めましたが、ふたりは降りる気配がないので、終点の東京まで乗るのでしょう。
ここで気が利いたセリフを…。
私「私、上野で降りますので…」
母「お気を使っていただきまして、ありがとうございます」
私「お嬢さん、1号車1番A席、全部が1番だから、きっと良いことがありますよ」
よし、決まった!
母と娘の笑顔を背に新幹線をあとにした私でした(*^^)v