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父、76歳の人生記-第20話:戦慄の中学ヤンチャ物語-

はじめに

 このnoteを書いているのは、主人公”ぼんちゃん”、の息子です。
 戦後間もない大阪出身で現在76歳の父が、自身が年老いていくことを理解しながら、自身の人生を振り返りパソコンにしたためてきた文章。
 それを私が読みやすく校正し、名前や地名は仮のものに変えながら、ほぼそのままで掲載していこうと思います。
 父が辿ってきたのは波乱万丈の人生なのか、平々凡々な人生なのか、私も楽しみです。皆様も楽しんでいただければと思います。
※”()”の中は私の補足です。

第20話:戦慄の中学ヤンチャ物語

 中学入学祝いに信ちゃんおっちゃん(親戚)にリクエスト言うた。
 勉強机や。今つこてんのはリンゴ箱やもん。嬉しかった。
しやけど、ええ机もうたけどほんまに勉強出来へんかった(´▽`)ごめん、おっちゃん!
 河野は万年筆か腕時計や、嬉しかったで。
 鉄ちゃんオッチャンにはもうた。革やったらええねんけど、ビニール製のんや。こらあかんわと思ったけど、おれ、礼に反したらあかんと思て、ちゃんと「ありがとう」言うといた。気遣た。
 
一回くらい履いたかな。おれ、本革とビニールの違いわかっとった。自分で言うのん何やけど、可愛いないわ。

 中学校の前に文具屋がでけた。丹羽文具店や。
文具以外に模型の組立も売ってた。後にパンとかクラッカーも売ってたかな。よう流行ってた。おれもなんやかやとよう買うた。
 その店の長男が同じクラスに転入してきてん。何かもっちゃりしててワンテンポ遅く田舎の子の雰囲気醸し出してたなあ。ええ塩梅や。全然セコ無いちゅうやっちゃ。

 中学生になって錦小学校の子が入ってきた。
ガラが悪いとの前評判やったけどほんまや。しやけど裏返しは皆んな個性的で人間に深みがあった。
 因みに甲斐田町の子はええ子やけど、鉛の様な重い運命を抱えた子とかはあんまり目立たず、心の絡み合いがあんまり無い奴が多かった。一寸大げさやけど俺はそう感じてた。
 錦の子は田中君、花井くん、山合君。中でも突出してんのんが武田君や。背はそんなに高ないし足は短いけど体に厚味があったな、顔も大きかった。ずんぐりむっくりやな。ホンマヤクザの子分やな。
 そやけど席が俺の横やったけど、偉そうに振舞ったり、手なんか一回も出せへんかった。普通やった。おれ怖い思いなんか一回もせいへんかった。 
 話し好きで色んな事に興味がある奴やった。生活感にも溢れた奴でむしろよう話したで。
 そやけど水泳の時間にプールのヘリに腰掛けて、なっ何と、おもむろにたばこを吹かすではないか。それも学校の先生の中でも一番怖いて言われてる先生やのに平気でやで。先生見て見ぬ振り。先生もほんまはびびってたんやな。おれら空いた口が塞がらないとはこの時の事や。
 それと勉強せえへんのに国語の点が良かったな。「女買いにいった。360円や」言うてたな。へえー。
 その後、風の便りに刑務所に入ったやて。ほんまかいな!?

それから瓜生君が居ててこの子は武田くん程威圧は無かったな。カタギの子には何もせいへんかった。暫くして武田くんと瓜生君が取っ組み合いのケンカしてた。甲斐田中一、二の凶暴を争う熾烈な闘いや。
 教室の中ドスバタ!バタグアン!とまるで輪島の闘牛相撲や。引き分けや!瓜生君はその後単行本の小説読んでたな。
 それから元気な大元君もいてた。細かったから武田君に「ポネ・ポネ夫」言われとった。大元君はわるさやけど悪とちゃうかったな。

 そうやこの時分、靴底が2,3センチある真っ白い運動靴が流行ってたな。勿論俺は特注して5センチのん履いてた。解るやろ!(;_;)  うそや!

 荒木のよっちゃん。よっちゃんは靖さんに連れられて行った喫茶店コーリンの息子?やったかな。とにかく凄い。甲斐田中同級生ナンバー1の仕切り屋や。武田君や瓜生君とちごて、目つき、暴力で威嚇せいへん。普通や。むしろニコニコして穏やかやった。
 おれは靖さんの親戚やから言うて「もし何かあったら俺に言うてこい」言われてほんま嬉しかった。頼もしかった。 
 よっちゃんの親類かな?”金沢のパーやん”言うて、いっこ上の生徒やけど、背が高こうて男前の兄ちゃんやった。この人も凄い。 
 見たことないけどまだ怖いのん錦にいてんねん。チュリ言うて喧嘩ごっつい強いらしい。そやけどこいつはいかれた奴やと思てた。

 塩原君と中村君のシゴキ。
なんやよう解らんけど7,8人並ばされてビンタ受けた。その後先生から何の話も無かったな。わからん。うやむや??
普通やったら暴力事件で大騒ぎのはずがやのに、わからん。わけワカメやった。誰も親にこの話せえへんかってんな。こんなんまかり通るやなんてちょっとした恐怖や。何でこんなんがのさばるんや??

(第20話ここまで)

息子から

 これまで全く知らなかった父、ぼんちゃんの中学時代の話が始まりました。
 パンチのありすぎる同級生にまぎれて、おそらく至って普通の生活を送るであろう父、巻き込まれるのか、傍観する立場を取るのか、楽しみです。

 ちなみに途中の運動靴の部分でのノリツッコミは、『自分の背が低いから』という自虐的ノリツッコミです。たまにこういうのもありますが、どうぞ温かい目で見てやってください。。笑
 それでは、今年も綴っていきますので、引き続き読んでいただけると幸いです。イイねをくださりありがとうございます。



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