東京のひまわり畑
最寄り駅は西武池袋線の清瀬駅、場所は清瀬市下清戸3丁目の農地。第13回の「ひまわりフェスティバル」がここで開催されています。期間は7月22日~30日まで。見ごろを迎えた背の高いひまわりが、視界を一面黄色に彩っています。
訪問には事前予約が必要です。
https://www.city.kiyose.lg.jp/bunkasportskankou/shinaimidokoro/himawari.html
まさか東京都内にひまわり畑があるとは知りませんでした。映画「ひまわり」に洗脳されている私は、「ひまわり畑といえばあの映画」をすぐに連想してしまいます。
名画「ひまわり(1970年公開)」は、戦争で行方不明になった夫のアントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)を妻のジョバンナ(ソフィア・ローレン)が死に物狂いで探し出すという、シンプルですがとても切ないストーリーです。映画のハイライトシーンでは、執念のジョバンナとひまわり畑(ロケ地:ウクライナ)がスクリーンいっぱいに映し出されます。
この映画が強烈すぎて、先日のNHKの紹介番組を観たときには、正直「東京のひまわり畑は小さそう…」と期待値を半分ぐらいに下げていました。ところが、実際に足を運んでみると、想像を超えるそのスケール感です!もちろん、ウクライナ級には遠く及ばないにしても、2万4000平米の広大な農地に植えられたひまわりは10万本にも上り、訪れた多くの訪問客も「点景」と化していました。
このひまわり畑を所有するのは2つの農家さんで、緑肥としてひまわりを育てているそうです。
緑肥とは育った植物をそのまま田畑に混ぜ込んで肥料にすること。ひまわりはその代表格です。ほかにレンゲソウやクローバーも緑肥ですね。化学肥料がなかった時代は人糞や余った魚などを肥料につかっていましたが、昔は「カタクチイワシを撒いたら五万俵のコメができた」なんてこともあったようで、「ゴマメ(五万米)」を正月のおせち料理で食べるのはそんな由来からだとか。
この景観は、2つの農家さんと地元の多くの農業従事者の方々や「清瀬市・清瀬市農ある風景を守る会」に支えられ、東京都清瀬市を代表する“顔”になっているそうです。
自然が持つチカラで土を元気にする緑肥、これが与えてくれるものは安心安全の農産物だけではないんだな、と思いました。人々に感動を与える景観も緑肥から生まれてくるんですね。
便利さという近道ではなく、手間や費用もかかるけれどちょっと遠回りをしてみると、それが意外な副産物を生む……そんな大事な事例を清瀬に見た気がしました。
(ちなみに日本は肥料をほとんど輸入に依存しています)